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贖罪(下) の商品レビュー

4.6

30件のお客様レビュー

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2015/11/02

隠れた真実。生涯にわたる贖罪。戦争の描写がなまなましく、突き刺さる。映像では、吐き気がしそうなシーンは、このように選び抜かれた言葉で知るのが良いのだと、頑張って耐え、読み進めながら思った。

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2014/12/04

傑作ですな、これは。あまりに周到過ぎて謝るしかない。色んな読み方を赦す力も傑作の傑作たる所以。 一人の女性の時々の妄想が共鳴し、究極のエゴが剥き出しになっている。作家はそれを冷徹に抉り出しながらも、そこに小説が成せる価値を見い出しているよう。第3部の締めはそれこそ衝撃的事件かと。...

傑作ですな、これは。あまりに周到過ぎて謝るしかない。色んな読み方を赦す力も傑作の傑作たる所以。 一人の女性の時々の妄想が共鳴し、究極のエゴが剥き出しになっている。作家はそれを冷徹に抉り出しながらも、そこに小説が成せる価値を見い出しているよう。第3部の締めはそれこそ衝撃的事件かと。とにかく読まれたし。

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2014/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初は、今時こんな古めかしい小説と思って読み始めたら、いつのまにか、現実と小説の虚構にはまり込む。ラストの数ページは、久々の衝撃。本読みには、たまらない小説。

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2013/04/29

人間は思い上がった自責の念ゆえに必要以上の罪を背負いこむこともある。 ~(下巻p127より) 自分が作りあげたもののどこがブライオニーを興奮させたかといえば、それは作品のもつ純粋な幾何学美と本質的な不確定性であって、彼女の考えでは、そうしたものこそが現代的感性の反映なのだった。...

人間は思い上がった自責の念ゆえに必要以上の罪を背負いこむこともある。 ~(下巻p127より) 自分が作りあげたもののどこがブライオニーを興奮させたかといえば、それは作品のもつ純粋な幾何学美と本質的な不確定性であって、彼女の考えでは、そうしたものこそが現代的感性の反映なのだった。明快な解答の時代は終わったのだ。人物と筋書の時代も。 ~(下巻p154より) 下巻p184でブライオニーに手当てを受けている兵隊が「糞ったれ!」と叫んで、ドラモンド主任看護婦が怒るところは泣けた。 早い話が、物語という背骨が必要なのです。 ~(下巻p209 『ホライズン』編集長シリル・コノリー

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2012/05/29

久しぶりに「やられたー!」と言いたくなる小説。 純愛小説という殻を被った小説論であり作家論。その構造がだんだんと明らかになっていく過程に痺れる。まさか上巻の冒頭部分を「読みにくいなー」と思いながら読んでいた(いや、読まされていた)、あれすら仕掛けだったとは…。

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2012/02/26

夕闇に「彼女」を襲った男は誰だったのか。時は過ぎ、男はダンケルクへの泥沼の撤退戦を戦っている。見習い看護婦のブライオニーは作家への夢を紡いでいる。恋人たちは引き裂かれ、再会を夢見ている。彼らの運命は?真の犯人は?1999年、すべての謎は明らかになるが―。

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2012/01/24

2012/01/24 映画化もされているイギリスを代表する作家イアン・マキューアンの代表作とも言える著書。 原題"atonement"。他者とひとつ(at one)なることや、和解を意味する。 キリスト教でいうatonementは、キリストが磔刑に処せられ...

2012/01/24 映画化もされているイギリスを代表する作家イアン・マキューアンの代表作とも言える著書。 原題"atonement"。他者とひとつ(at one)なることや、和解を意味する。 キリスト教でいうatonementは、キリストが磔刑に処せられることで人間が神から赦されたことを指すらしい。 傷ついた恋人たちの邂逅に恍惚とさせられます。

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2011/10/03

素晴らしいの一言。幼い子供のちょっとした誤解が、愛しあうカップルを引き裂く。その子供が成長し、贖罪の為に人生を捧げる。しかし、小説家の大家となり、アルツハイマーに侵された状態で描いたその自叙伝的作品が結局どこまで真実なのかわからず。戦争部分が異常に長くて、ちょっと辟易する部分もあ...

素晴らしいの一言。幼い子供のちょっとした誤解が、愛しあうカップルを引き裂く。その子供が成長し、贖罪の為に人生を捧げる。しかし、小説家の大家となり、アルツハイマーに侵された状態で描いたその自叙伝的作品が結局どこまで真実なのかわからず。戦争部分が異常に長くて、ちょっと辟易する部分もあるが、それも子供の勘違いが産み出したものがいかに悲惨さを示す手立てとなっており、納得。ひとりひとりの細かな心理描写に引きこまれました。

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2011/09/03

最後の最後で、ああそうだったのかと思い。あー、なんかもう一回読めばもっとあれかも。と、思ってしまったので★5つ。鏡の中の鏡というか、迷宮というか、藪の中式ですね。真実は人の数だけ在ってどれが正しいかはわからない。人の気持ちはわからない。最初の方の戦争の描写にいったん読み進めなくな...

最後の最後で、ああそうだったのかと思い。あー、なんかもう一回読めばもっとあれかも。と、思ってしまったので★5つ。鏡の中の鏡というか、迷宮というか、藪の中式ですね。真実は人の数だけ在ってどれが正しいかはわからない。人の気持ちはわからない。最初の方の戦争の描写にいったん読み進めなくなったものの、まあそれもクリアして。当初の物語が読みたいという欲求は十二分に満たされたのでした。今は早速、『アムステルダム』を読み始め。。。

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2011/04/18

愛は物語にはもってこいの主題で古くからある。そりゃもう伝統といえるくらいに。しかし、愛が手垢にまみれているからこそ、愛の持つ重要な本質性は確保しながらいかに巧妙な環境、人的配置をするかが勝負になっているんじゃないの?もはや我々は純粋なラブストーリーに満足できない人間だと言いたい。...

愛は物語にはもってこいの主題で古くからある。そりゃもう伝統といえるくらいに。しかし、愛が手垢にまみれているからこそ、愛の持つ重要な本質性は確保しながらいかに巧妙な環境、人的配置をするかが勝負になっているんじゃないの?もはや我々は純粋なラブストーリーに満足できない人間だと言いたい。そしてタイタニックやムーラン・ルージュなどの「悲劇」の恋愛が消費対象の物語になった。悲劇性が持つこの魔力とは何なのか。この本も素晴らしいのだが、どうも僕にはその延長の感覚で読んでしまった。もちろん愛以外に深い主題はあったのだけれども。

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