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或る女 改版 の商品レビュー

4.1

45件のお客様レビュー

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舞台背景は明治ですが…

舞台背景は明治ですが、現代にも通じる「女性の強さ」がかかれています。性格のキツさとも言ってもよいですが。好き嫌いのはっきり分かれる作品だと思いますが作者が男性であることを考えると、すばらしい心理描写です。

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有島武郎の最高傑作に…

有島武郎の最高傑作にして、明治文学の中でも稀有な印象を持つ女主人公、葉子の登場する傑作です。

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まだ女性蔑視の意識が…

まだ女性蔑視の意識が高かった時代に自我を通そうと生きた女性の姿が描かれています。

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明治時代、近代的な教…

明治時代、近代的な教育を受け奔放的な女性に育った葉子。現代なら何も問題なく生きられた普通の女性が道徳観の厳しい時代の流れに押し流されていく姿に涙でした。

文庫OFF

2024/04/07

日本文学史序説(加藤周一)より ・有島武郎は多くの文学作品を書いた。 そのなかで衆知のみるところ最も優れているのは、小説「或る女」である、 19世紀後半のヨーロッパの小説ーたとえばモーパッサンの「女の一生」やフロベースの「ボヴァリー夫人」ーのように、現実主義的な手法で、美しい奔...

日本文学史序説(加藤周一)より ・有島武郎は多くの文学作品を書いた。 そのなかで衆知のみるところ最も優れているのは、小説「或る女」である、 19世紀後半のヨーロッパの小説ーたとえばモーパッサンの「女の一生」やフロベースの「ボヴァリー夫人」ーのように、現実主義的な手法で、美しい奔放な中産階級の女の生涯を描く。 その生涯の内容は、主として男との恋愛関係で、社会の偏見と偽善に対して、自分自身に忠実な生き方を貫こうとした日本の女の戦いと敗北の歴史である。 有島自身はみずから「自然主義」を唱えなかったが、ヨーロッパの現実主義小説を模範として日本人の書いた小説のなかでは、いちばん成功した作品の一つであることは疑いがない。 「或る女」の主人公は、おそらく有島自身であった。彼はやがてその女主人公の運命を生きる。 日本文学史(ドナルドキーン)より 有島武郎自らが触れている。 「私はあの書物の中で、自覚に目ざめかけてしかも自分にも方向が解らず、社会はその人を如何あつかふべきか知らない時代に生まれ出た一人の勝気な鋭敏な急進的な女性を描いて見たまでで、信子さんの肖像を画こうとしたのではありませんでした」

Posted byブクログ

2024/01/12

葉子をどうしてもめちゃくちゃな女だとか面倒な性格だとか言えない。深いところで彼女と共感してしまう。実際どのくらいの人が葉子のことを「こいつ何?」って思ってるのか気になるところではある。私はかっこいい女だと思ったけどなぁ。弱いのに強がり、と解説でも言われていたので本当に私自身と似て...

葉子をどうしてもめちゃくちゃな女だとか面倒な性格だとか言えない。深いところで彼女と共感してしまう。実際どのくらいの人が葉子のことを「こいつ何?」って思ってるのか気になるところではある。私はかっこいい女だと思ったけどなぁ。弱いのに強がり、と解説でも言われていたので本当に私自身と似ている人物像なんだろうなと感じた。ちょっとほんとに誰かの意見が聞いてみたい、みんな読んで! 岡くんやっぱりいいよなぁ。たしかに葉子の“変身”は男の力強い魅力が溢れる倉地によってでしか実現し得なかったと思うが、私は岡くんとの恋愛も見てみたいなと思った。 二三度ぞわっとするほど的確な描写があった。特に古藤と泊まっている宿の描写のある一文がすごかった。読んだとき何かしらの感覚が直接体に来て、こんなのは初めてだったので驚いた。

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2023/02/06

著者、有島武郎さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 有島 武郎(ありしま たけお、1878年(明治11年)3月4日 - 1923年(大正12年)6月9日)は、日本の小説家。 学習院中等科卒業後、農学者を志して北海道の札...

著者、有島武郎さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 有島 武郎(ありしま たけお、1878年(明治11年)3月4日 - 1923年(大正12年)6月9日)は、日本の小説家。 学習院中等科卒業後、農学者を志して北海道の札幌農学校に進学、洗礼を受ける。1903年に渡米。ハバフォード大学大学院を経て、ハーバード大学で1年ほど歴史、経済学を学ぶ。帰国後、志賀直哉や武者小路実篤らと共に同人「白樺」に参加する。1923年、軽井沢の別荘(浄月荘)で波多野秋子と心中した。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 どうかして心が狂ってしまったんだ。こんな事はついぞない事だのに――。 大正8(1919)年、刊行。が、まるで現代に書かれたような、奔放な恋愛譚。愛に生きた葉子の、その結末とは。リアリズム文学の最高傑作。 美貌で才気溢れる早月(さつき)葉子は、従軍記者として名をはせた詩人・木部と恋愛結婚するが、2カ月で離婚。その後、婚約者・木村の待つアメリカへと渡る船中で、事務長・倉地のたくましい魅力の虜となり、そのまま帰国してしまう。個性を抑圧する社会道徳に反抗し、不羈(ふき)奔放に生き通そうとして、むなしく敗れた一人の女性の激情と運命を描きつくした、リアリズム文学の最高傑作。 巻末に用語、時代背景などについての詳細な注解、および解説(加賀乙彦「愛の孤独と破滅」)を付す。 ---引用終了 そして、本作の書き出しは、次のとおり。 ---引用開始 新橋を渡る時、発車を知らせる二番目の鈴が、霧とまではいえない九月の朝の、煙った空気に包まれて聞こえて来た。葉子は平気でそれを聞いたが、車夫は宙を飛んだ。そして車が、鶴屋という町のかどの宿屋を曲がって、いつでも人馬の群がるあの共同井戸のあたりを駆けぬける時、停車場の入り口の大戸をしめようとする駅夫と争いながら、八分がたしまりかかった戸の所に突っ立ってこっちを見まもっている青年の姿を見た。 ---引用終了 現在、私がブクログに登録している白樺派の作家は、 ・武者小路実篤(1885~1976) ・志賀直哉(1883~1971) ・有島武郎(1878~1923)

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2022/12/25

有島武郎は本当に男だったのだろうか… 読み進めていくうちに頭の中を何度もそんな思いがよぎった コロコロと変わる気持ち、想いが強い故に起こしてしまう真逆の行動 女にしか分からない、何とも言えない表現し難い心理描写が手に取るように描かれている 愛情、嫉妬、母性 女なら少なからず誰...

有島武郎は本当に男だったのだろうか… 読み進めていくうちに頭の中を何度もそんな思いがよぎった コロコロと変わる気持ち、想いが強い故に起こしてしまう真逆の行動 女にしか分からない、何とも言えない表現し難い心理描写が手に取るように描かれている 愛情、嫉妬、母性 女なら少なからず誰しもが表裏一体に持ち合わせている心の動きが見事に表現されている これは小説ではなく、誰かの手記なのではないかと疑いたくなる

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2022/12/08

有島はなんでこんなに女がわかるの...... 前半の葉子の華麗で奔放な振る舞いとテンポの良さ、後半の葉子のダラダラずるずる落魄していく様の対照的な感じが本当に山のようであって、確かにピークはあった。 結局不倫から始まった恋なんだからそう上手くいくはずないのは分かってたけど、あれだ...

有島はなんでこんなに女がわかるの...... 前半の葉子の華麗で奔放な振る舞いとテンポの良さ、後半の葉子のダラダラずるずる落魄していく様の対照的な感じが本当に山のようであって、確かにピークはあった。 結局不倫から始まった恋なんだからそう上手くいくはずないのは分かってたけど、あれだけ自分を持っていると思った葉子が簡単に壊れ始めていくのを見ていて、愚かと言うよりも恐ろしかった。

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2022/04/03

ひとりの人間を描くということで、これほど没入させてくれるとは。 描写が精緻で些細な感情もリアルすぎるほどリアル。 読みながらアンナ・カレーニナを思い出したのは、有島武郎がトルストイを敬愛していたと言うからごもっとも。 自然描写をメタファーにしてあると解説はいうが、それは少し...

ひとりの人間を描くということで、これほど没入させてくれるとは。 描写が精緻で些細な感情もリアルすぎるほどリアル。 読みながらアンナ・カレーニナを思い出したのは、有島武郎がトルストイを敬愛していたと言うからごもっとも。 自然描写をメタファーにしてあると解説はいうが、それは少し安直だろう。 嵐の描写が、揺れ動く心理を表すというには、少し幼い。嵐が”人間の心理に起こる何かのきっかけになること”そのものを謳うように書き上げるべきなんだとこの小説を読んで思う。 雨は悲しいだけじゃない、落ち着きを与えたり、生きる実感を与えることもある。 作者の意図はどこにあれど、雨が降るとはまさに”雨が降っている”こととしてそのまま読めばいい。 メタファーさぐりは読み方として面白くないと僕は思う。

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