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アメリカの経済政策 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2017/01/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2008年刊行。著者は財務省国際局次長。  リーマンショックを踏まえて、米国の金融・財政政策、あるいはその政策の底流にある思想とこれを支えてきた経済学説の変遷、さらには米国の金融諸制度の変遷も叙述する意欲作。  当然だが、米国においては台頭著しい中国への目線は抜きにしては語れず、米国の政策論の書なのに中国の叙述量は少なくない。  他方、基本的に経済格差の拡大には問題ありとの認識は有るようだが、その処方箋たるや何も言っていないのと同じに見える。また、労働分配率の議論もお座なりで、それなりでしかない感は一杯である。  現在は、8年前よりも格差が拡大傾向と言うのが正しければ、著者も多少なりとも違う視点で議論するのかもしれないが…。  かように、倫理的にも経済成長という観点からも問題山積の米国。この現状分析や史的な展開の解説は読み応えがあり、読んで損はないと思える一書だ。

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2012/05/13

▼「行政学Ⅰ・基礎」の参考文献として通読。もともとは、アメリカ関連の文献としていつか読もうとリスト・アップしてあった一冊である。 ▼内容としては、2001~07にかけてのアメリカの経済政策について(タイトルの通りですネ)。日本でもこの頃は新・自由主義路線がハッキリと打ち出された時...

▼「行政学Ⅰ・基礎」の参考文献として通読。もともとは、アメリカ関連の文献としていつか読もうとリスト・アップしてあった一冊である。 ▼内容としては、2001~07にかけてのアメリカの経済政策について(タイトルの通りですネ)。日本でもこの頃は新・自由主義路線がハッキリと打ち出された時期なので、同時期のアメリカ、つまりブッシュ政権期の経済・社会政策を見ることは、日本の今の社会問題を考える上でも有意義ではないかと考える(もっとも、アメリカの経済格差に関する著書としては、堤未果『ルポ・貧困大国アメリカ』シリーズ(岩波新書) に詳しい)。 ▼財務官僚の方が筆者とあって、理詰めの文章かな……と、思っていたが、この時期ちょうど在米国日本大使館公使を勤められていたこともあり、比較的体温の感じられる論調であった。内容については「薄く広く」感も否めないが、終章、日本経済の在り方への言及箇所において、「生産力に力点を置くより、サービスの質、ブランド力を誇れるようになればいいのではないか」という提言もあり、全体的に読後感は悪くない。

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2011/12/03

少し前のアメリカ経済の様子を俯瞰的に記した一書。章の始めにポイントと証したまとめがあるなど、読者を置いてきぼりにしない優しさが伺える。個人的には格差に関する内容が勉強になった。

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2011/09/18

現在の世界経済の急速なグローバル化は、 ・長い間努力が続けられてきた貿易の自由化や資本移動の自由化の成果 ・旧ソ連、東欧、中国、インドなどの市場経済化と世界市場への統合 ・IT革命 より長期的に見ると、アメリカの財政には歳出の中でも裁量的経費は政治的な意思により抑制可能だが、歳...

現在の世界経済の急速なグローバル化は、 ・長い間努力が続けられてきた貿易の自由化や資本移動の自由化の成果 ・旧ソ連、東欧、中国、インドなどの市場経済化と世界市場への統合 ・IT革命 より長期的に見ると、アメリカの財政には歳出の中でも裁量的経費は政治的な意思により抑制可能だが、歳出の過半を占める義務的経費、特に社会保障、メディケアについては今後ともGDP比での拡大が予想される。 アメリカの対外経済政策を論じるときに援助政策の重要性を忘れることはできない。

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2011/03/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] アメリカ経済がどうなっていくかを判断するためには、ここ数年、あるいはここ数十年のアメリカの経済政策を丹念に読み解く必要がある。 これまで、高い成長を維持してきた一方で、所得格差は拡大しており、家計貯蓄率はゼロに近づいている。 また、好調に見えていたところに出現したサブプライム問題も、暗い影を落としている。アメリカの底力は今後も続くのか。 現地での観察・対話・分析を通して展望する。 [ 目次 ] 第1章 アメリカ経済一〇年間の成果と課題 第2章 グローバル化と技術革新がもたらす変化 第3章 マクロ経済政策の視点 第4章 新たな地政学的環境の中での対外経済政策 第5章 変革の進む金融セクターとその政策 終章 日本へのメッセージ [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2010/07/31

尊敬する現職の財務省国際協力局長の本。大学院で授業をとって、この本を読んだおかげでわからなかった新聞や経済のニュースが楽しくなって世界がひろがった。 国際協力に対するアメリカや日本のスタンスだけでなく、金融危機以降の国際経済情勢の変化がよくわかる。 巻末に大好きな奥さんへの感謝が...

尊敬する現職の財務省国際協力局長の本。大学院で授業をとって、この本を読んだおかげでわからなかった新聞や経済のニュースが楽しくなって世界がひろがった。 国際協力に対するアメリカや日本のスタンスだけでなく、金融危機以降の国際経済情勢の変化がよくわかる。 巻末に大好きな奥さんへの感謝がかいてあるのが先生らしい!

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2010/05/09

国際局長中尾さんの著作。 アメリカの経済について分析したものだが、あとがきとかでも言及しているようにリーマンショック以前に書かれたものなので、一瞬にして状況が変わっており、ピントはずれな気がしないでもない。

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2009/10/04

 本作は、財務省の国家官僚の米国の経済政策についての考察である。中尾 武彦によるものであるが、第一章には米国経済の十年間の成果と課題。コラムに、購買力平価によるGDP、経常収支と投資・貯蓄バランス。この辺はまともな経済学によっているので、非常に読みやすい。  2章にグローバル化と...

 本作は、財務省の国家官僚の米国の経済政策についての考察である。中尾 武彦によるものであるが、第一章には米国経済の十年間の成果と課題。コラムに、購買力平価によるGDP、経常収支と投資・貯蓄バランス。この辺はまともな経済学によっているので、非常に読みやすい。  2章にグローバル化と技術革新がもたらす変化。成長の中での賃金の低迷、所得格差の拡大の原因、機会への均等への疑問と対応策。など政策家であるが故の「切実」且つ現実的な問題が冷静に取り上げられている。  マクロ経済政策の視点  国際金融のトリレンマとして、為替の安定、中央銀行としての独自性、資本の移動の自由の相互の制約性が取り上げれ、極めてまともな「経済学による俯瞰を述べる。中国は、固定相場制の一種のドルペッグ制をとり、資本に移動の自由の制限がある。中国の金融政策の制約性が、指摘される。  バーナンキFRB議長の米国の経常収支の赤字についての仮説。米国の貯蓄率の低さは第三諸国の米国に対する輸出にあるという仮説。この仮説の詳しい説明が掲載されている。  97年以降のアジア通貨危機以降、アジア諸国が、多くのアジア諸国が固定相場制から離脱。それにもかかわらず、自国通貨の減価政策を通じた米国ドルの買いによる預金準備額増額、また、通貨減価政策による米国への輸出、すなわち外需依存への変更。米国への輸出超過は、米国への資本の輸出=米国に対する債権の累積、米国側にとっては、途上国による貸し出しが増えるという、特異な国際経済米国の経常収支赤字、つまり米国の貯蓄不足と投資過剰を第三諸国が維持サポートするという、状態が続いている。  米国の財政赤字の縮小が、高い名目経済成長率による自然増収に依存することが、示唆されているが、現役の財務省の官僚としては、この指摘は十分意義のあることだろう。財務省としては、税収の安定を本義として政策を組み立てるが、経済成長に税収が依存するということを、基本据える議論は、彼らにとっては禁じ手であるはず。そこには、苦笑したが・・・・。  バーナンキのインフレターゲット論の説明もコラムで取り上げられている。近時の原油高、穀物関係の資源高、サブプライム問題に対するFRB、FOMCの対応策も掲載。その印象を言うと、まず不良債権をFRBが買い付けること、公定歩合の引き下げはほどほどに、通貨供給量の拡大は積極的に行っているようで、米国のサブプライムローンのバブル破裂による金融不安は、早晩解消されると思われる。   米国に在住したこともあって、サブプライムローンとバーナンキの金融政策が、現場にいるように丁寧に述べられていて、日本の経済紙や経済欄では伺えないところまで詳説。    新たな地政学的環境の中での対外政策  米中の戦略的経済対話の内容に突っ込んだ解説。他には、中々見当たらないところも掲載。米国の対中貿易赤字の拡大。貿易赤字の大きさは27パーセントに達したこと。また、中国のドルペッグ制による人民元の増価を米国ドルを買うことによって、人民元安/ドル高政策を採り、輸出競争力を「不当」に向上させていることへの「非難」。米国内の繊維、靴、雑貨、金属業界の雇用被害の米国からの不満。知的財産権保護を反故にし、安価な労働力と食品の安全性を犠牲にしてまでも、輸出力の強化に努めていること。国際社会で問題視されている資源国への援助により資源を買い漁っていること。中国共産党の一党支配による軍事費の増大、外交的な影響力の拡大を志向し、不透明で理解しにくい政治形態であること。  米国の他国への援助対策などが日本のODAと比較して採り上げられている。

Posted byブクログ