完全無欠の名探偵 の商品レビュー
タイトルからして、メタ的なミステリィかな、と思っていたのだけど、意外とちゃんとした(って言い方もあれだけど)ミステリィでした。ご都合的な部分も多々あったものの、それも含めて作品の味になっているのが巧い。物語としては陰鬱でどろっとしたものなのだけど、それをあまり感じさせない軽妙さ...
タイトルからして、メタ的なミステリィかな、と思っていたのだけど、意外とちゃんとした(って言い方もあれだけど)ミステリィでした。ご都合的な部分も多々あったものの、それも含めて作品の味になっているのが巧い。物語としては陰鬱でどろっとしたものなのだけど、それをあまり感じさせない軽妙さで、とても読みやすかった。 そしてなんと言っても、本作は土佐弁に尽きる。実際に聞いたことがあるわけではないのだけど、血肉の通った方言ってこういうもんだよな、と。ちょっと音で聞いてみたくなった。方言を文字で書き表すのってもの凄く難しいはずなのだけど、いやはや脱帽です。
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山吹みはる、彼を前にすると何故か脈絡もなく話をしたくなってしまう。そしてそれによって過去の事の真相に話した本人自身が気付いてしまうという、一風変わった探偵ミステリー。 勿論、彼自身は自分のそんな不思議な能力に気付いていないし、会話をしている人が自分の過去に思考を走らせているとは思っていないところが面白いです。 そしてそんな展開で果たしてストーリー展開は大丈夫なのかというと、みはるが派遣された原因でもある白鹿毛りんという大財閥の孫娘、彼女が鍵を握っていました。彼女もある“能力”を持っていてそれによってきちんと物語は進行していくのです。 少女視点の“鳩の死骸”の話と白鹿毛りんが高知にとどまっている理由を探っていく話と並行して話は進んでいきます。 登場人物の名前がまた個性的で読むのに難儀しました(苦笑)。 いろいろと普通とは違うなぁと思いながらも、読み終わった時なるほどと思えたのだからミステリーとしてそこそこ楽しめたということです。
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特殊能力を持つ山吹みはる。彼を前にすると人は忘れていた些細な記憶を思い出す。 その彼を取り巻く人々の記憶と現在の事件が絡み合う。 登場人物が多い上に一風変わった名前だから、誰が誰か分からなくなること多々。 あまりにも多くの謎がありすぎて、どう纏めるんだろうと思っていたが、綺麗に...
特殊能力を持つ山吹みはる。彼を前にすると人は忘れていた些細な記憶を思い出す。 その彼を取り巻く人々の記憶と現在の事件が絡み合う。 登場人物が多い上に一風変わった名前だから、誰が誰か分からなくなること多々。 あまりにも多くの謎がありすぎて、どう纏めるんだろうと思っていたが、綺麗に纏めていたので読み応えも十分。 読みながらだいたいのことは予想できたが、満足のいく話だった。
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西澤保彦のデビュー二作目の作品。サービス精神旺盛な西澤保彦らしく,いろいろな要素を盛り込んでいるが,やや過剰に盛り込み過ぎており,逆に「完全無欠の名探偵」である山吹みはるの個性が生きていないのが残念。 山吹みはるが話を聞くことで,人々が勝手に記憶の糸を辿り,意外な真相に気付く話がいくつか並ぶ。そして,これと並行して,白鹿毛りんの少女時代の思い出の話が挿入される。 更に,白鹿毛りんが,「愛」と引換えに能力を手に入れるというSFめいた設定まで加わり,物語全体の構成がややこしくなるが,真相はこれに輪をかけてややこしい。 睡眠薬を使い,襲われたことを理由として自殺したと思われた紫苑瑞枝は生きており,本当に自殺していたのは藤弥生という女性。藤弥生の復讐のために殺人をする朱鷺晃至。しかし,実際は裏で紫苑瑞枝が藤弥生をひどい目に合わそうと陰謀を企てていたことが分かるが,更に山吹みはるが飛行機で隣に座った男性の妻も,関わっていたという設定。 意表をつく真相にしたかったのは分かるが,やや過剰なひねりで,逆にインパクトが削がれているような気がしてしまう。デビュー2作目ということであり,この時点では経験不足でやりすぎてしまったように思われる。 白鹿毛りんの少女時代のハトの死体の謎も解明する。これはすっきりしているので,本筋の殺人事件の黒幕でひねり過ぎない方がよかったかな。 山吹みはるを始めとするキャラクターの魅力はさすが。トータルでは★3で。
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小さな輪が最終的に全てつながるというそんな話。 一つ一つは大きな事件じゃないのですが つながった時はピリッとしました。 タイトルが良いですね。
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ずっと積ん読してた本。かれこれ四、五年ぐらい?高知に行きたくなる本。 ミステリとしてみると、小話がいくつもあって実は繋がってたって構成。登場人物が自分でサクサク謎解きしていくため、こちらが考えてる時間はそんなになかった印象。ただ本全体で扱われる事件に関しては、自分で謎解きできるの...
ずっと積ん読してた本。かれこれ四、五年ぐらい?高知に行きたくなる本。 ミステリとしてみると、小話がいくつもあって実は繋がってたって構成。登場人物が自分でサクサク謎解きしていくため、こちらが考えてる時間はそんなになかった印象。ただ本全体で扱われる事件に関しては、自分で謎解きできるのかも。フラグメントは必要なのかと戸惑ったが、解説によると必要らしいですね。
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本作品における探偵役のみはるは自らは全く推理しない。みはると語る人物が勝手に自分で推理しながら謎を解くだけである。まさに触媒探偵と呼ぶべき存在である。SF的設定がしっかりしており、高知の方言を使ったりとユーモアにも富んでいる。ひとつひとつの謎は個別に解決しながらもそれらはみごとに...
本作品における探偵役のみはるは自らは全く推理しない。みはると語る人物が勝手に自分で推理しながら謎を解くだけである。まさに触媒探偵と呼ぶべき存在である。SF的設定がしっかりしており、高知の方言を使ったりとユーモアにも富んでいる。ひとつひとつの謎は個別に解決しながらもそれらはみごとに結びついていき最後には解決すべき謎が解けていく構成もみごとである。おもしろかった。
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この複雑な構成にして2作目なんですか。暗さはありますが設定といい構成といいおもしろい。みはるのキャラもいいですね。
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「完全無欠の名探偵」とはどんな人か?この小説に出てくる探偵は、自分が探偵であるという自覚はない。事件の謎を自分が解いているとは夢にも思っていないし、目の前に謎があることすら気づいていなかったりする。彼はただ相手の話を聞いているだけだ。話を聞くだけで相手の潜在意識に働きかけ、無意...
「完全無欠の名探偵」とはどんな人か?この小説に出てくる探偵は、自分が探偵であるという自覚はない。事件の謎を自分が解いているとは夢にも思っていないし、目の前に謎があることすら気づいていなかったりする。彼はただ相手の話を聞いているだけだ。話を聞くだけで相手の潜在意識に働きかけ、無意識の中にしまい込んでいた記憶をよみがえらせ、結果的に、今まで誰にも気づかれなかった真相を暴くのである。というより、話をしている人が、勝手に真相に気づくのである。 全体を通じて大きな事件がひとつある。そしてそれを物語る過程で、さまざまな小さな謎が提示され、解決される。たとえば、乗った飛行機で隣り合わせた無関係な人と話をしているうちに、昔の出来事が思い出され、語られ、なるほどそうだったのか、と真相が出てくるって感じである。この部分だけを取り出していけば、連作短編である。そういう小さな謎が、メインの事件と微妙に絡み合うあたりにもおもしろさがあるのだが。 気をつけておきたいのは、そういう独特なスタイルの名探偵が、SFの枠組みの中で存在しているということである。つまり彼の能力は、文句なしの「超能力」としてとらえられているのだ。その部分のために、作者は小説そのものに構造的な仕掛けを組み込んである。最後にきて、「なかなか味なことをやるわい」と思えた。ただ、個人的にはこのテイストはあまり好きになれなかった。素直に、「ものすごい聞き上手」ってやってくれた方が気が利いているような気がする。主人公である名探偵に魅力があるだけに、超能力じゃなくて、能力にしてあげたかった。 同じような「推理という名の解釈」は、その作者の得意とするところであり、僕も大好きである。同じ作者のタックシリーズでは、この作品に描かれている「青春の残酷さと美しさ」を受け継ぎながら、超能力の代わりに酒(を飲む場の独特の雰囲気)を活用している。僕にはそっちの方がいい。 今「青春の残酷さと美しさ」なんてすごい言葉を使ったけど、考えてみれば、ここに描かれている犯人も被害者も、多くは残酷な人たちである。愛と性のどろどろしたところで生きているような感じがする。さわやかで、ちょっとユーモラスな文体で書いてあるからすっと読めるけど、ちょっと考えてしまうとやりきれなくなるような怖さがある。 2009/5/25
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人の心にひっかかった謎をその人自身に推理解明させてしまう男が、金持ちじいさんの高知で就職した孫のもとに送りおまれる話。 高知のお国言葉が出てきます。 小さな事件が解とかれて、それがどんどん連鎖して、という話です。事件ひとつひとつが実はピースで、最終的に大きな絵ができあ が...
人の心にひっかかった謎をその人自身に推理解明させてしまう男が、金持ちじいさんの高知で就職した孫のもとに送りおまれる話。 高知のお国言葉が出てきます。 小さな事件が解とかれて、それがどんどん連鎖して、という話です。事件ひとつひとつが実はピースで、最終的に大きな絵ができあ がる感じ。つながる短編。 人物がいまいち好きになれずにいたんですが、それでも楽しめました。おもしろいです。
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