ロウフィールド館の惨劇 の商品レビュー
かなりの陰鬱さを持った話。 でも語り口が結構あっさりしてるんですよね。 そこがこの作品を名作にしてるのかなと思いました。 怖がらせようとしてる作者が読んでて透けて見えちゃう作品は白けちゃいますからね。
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カヴァディル家の人々が着々と積んでいくのを追いかける話。キ印さんが八面六臂の大活躍。 「文字の読めない人間は、人の心もわからず想像力の欠如した恐ろしい化物である」というのを言うためにこれだけのページ数を割いたのか。この話を日本で書くならともかく、実際に文盲が多少なりとも存在するイ...
カヴァディル家の人々が着々と積んでいくのを追いかける話。キ印さんが八面六臂の大活躍。 「文字の読めない人間は、人の心もわからず想像力の欠如した恐ろしい化物である」というのを言うためにこれだけのページ数を割いたのか。この話を日本で書くならともかく、実際に文盲が多少なりとも存在するイギリスで書いてしまうレンデル、意地が悪いなあ。文盲の人はこの話を読めないという構図もまたなんかなんともいえない気持ちにさせてくれる。
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冒頭から結末が語られ、運命の糸によって被害者と加害者が 引き寄せられていく下りにレンデルの卓越した技巧が光る。 一家惨殺の動機は犯人が長年必死に隠してきた欠点を知られたからであったがそれは……。 純粋な推理モノでは無いが犯罪心理学に興味がある方は 短編の「女を脅した男」と孤...
冒頭から結末が語られ、運命の糸によって被害者と加害者が 引き寄せられていく下りにレンデルの卓越した技巧が光る。 一家惨殺の動機は犯人が長年必死に隠してきた欠点を知られたからであったがそれは……。 純粋な推理モノでは無いが犯罪心理学に興味がある方は 短編の「女を脅した男」と孤独なブラザーコンプレックスの女性が 辿る悲劇の「殺す人形」の一読をお勧めしたい。 英国に行きたくなるなあ。
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この間英語のテキストにルース・レンデルが出てきたもので。 初ルース・レンデル。 長年読んでみたいとは思っていたのだけれど。 私は基本謎解きミステリが好きなので好みのジャンルとは違うのだけど、 面白かった。 隅々まで計算された構成、素晴らしいです。 でも若干設定に無理があるんじ...
この間英語のテキストにルース・レンデルが出てきたもので。 初ルース・レンデル。 長年読んでみたいとは思っていたのだけれど。 私は基本謎解きミステリが好きなので好みのジャンルとは違うのだけど、 面白かった。 隅々まで計算された構成、素晴らしいです。 でも若干設定に無理があるんじゃ…と思わせられたので★は3つ止まり。 「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家4人を惨殺したのは、 読み書きができなかったからである。」 という冒頭の一文は好奇心をそそるのだけれど、 その期待に今ひとつ応え切れていないという印象。
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「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったからである。」文盲であることを隠しながら生きてきた女性が、お屋敷の召使として雇われた。はじめはうまくいくかと思われたが、彼女のぼろがでるに従って歯車が狂い始めた…。何の経験もないにも関わらず、彼女が誤魔化...
「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったからである。」文盲であることを隠しながら生きてきた女性が、お屋敷の召使として雇われた。はじめはうまくいくかと思われたが、彼女のぼろがでるに従って歯車が狂い始めた…。何の経験もないにも関わらず、彼女が誤魔化しながらロウフィールド館で召使としてうまく働けたのは、アッパーミドル階級の一家の思い込みもひとつの要因。この絶妙な勘違いの積み重ねが巧い。無感動な一面(赤ん坊への愛想、難産の娘への気遣いの無さ)は単なるはにかみと解されて、はじめ彼女を寡黙で優秀な召使として評価していた。うまく誤魔化しつつも、文盲がばれることへの恐怖が徐々に彼らに対する憎悪になり、狂気に変わっていく…この過程が、犯罪手記のような丁寧さで描かれていて、読者を恐怖に陥れる。最初の一文で「一家惨殺」という結末を明らかにしたうえで、カウントダウンのごとく進んでいく話に知らず知らず引き込まれていく、傑作ミステリ。※懐かしのレンデル。一時はまっていたのにすっかり内容を忘れてしまったので再読。
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ユーニスは怯えていた。自分の秘密が暴露されることを。ついにその秘密があばかれたとき、すべての歯車が惨劇に向けて回転をはじめた! 犯罪者の異常な心理を描く名手、レンデルの会心作。
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最初に犯行を提示して、何故犯人は殺人を犯したか?を読ませていく。 要所要所で犯行が起こることを再確認させるような文章があり多少気が削がれるが、結末に向かって加速度を増して行く怖さ、緊迫感は圧巻。 少しずつ歯車が狂っていく様は、誰にでもこういうことが起こりうることを暗に表している。...
最初に犯行を提示して、何故犯人は殺人を犯したか?を読ませていく。 要所要所で犯行が起こることを再確認させるような文章があり多少気が削がれるが、結末に向かって加速度を増して行く怖さ、緊迫感は圧巻。 少しずつ歯車が狂っていく様は、誰にでもこういうことが起こりうることを暗に表している。 また決定的な証拠がありながら、なかなかそこに辿り着けないラストは自分が思わず回答を持って本の世界に飛び込んで行きたくなってしまう。 非常によくできた1冊。ミステリと言うよりサスペンスの様だった。
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英国サスペンス・スリラーの女流の才・レンデルを代表する著名な一作。 ロウフィールド館に暮らす一家に雇われた女がいかなる理由で一家に残酷な悲劇をもたらしたのか、その殺伐たる空気に満ちた日々の過程を、犯人の女の非社会的かつ非倫理的な性格を生むことになった出自の物語と織り交ぜつつ描く。...
英国サスペンス・スリラーの女流の才・レンデルを代表する著名な一作。 ロウフィールド館に暮らす一家に雇われた女がいかなる理由で一家に残酷な悲劇をもたらしたのか、その殺伐たる空気に満ちた日々の過程を、犯人の女の非社会的かつ非倫理的な性格を生むことになった出自の物語と織り交ぜつつ描く。 冒頭から残酷な結末が明示されているためか、破滅的空気に向かうまでの物語の展開のただならぬ緊迫感の醸し出し方は、フィクション作品であるにも関わらず、さながら犯罪実話を読むがごとき迫真性すら感じさせ、著者の筆力の表現力には舌を巻く。 傑作サスペンスである。
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「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を惨殺したのは、読み書きができなかったためである」という冒頭の衝撃度はこれまで読んだ現代ミステリのなかで最大だと思う。★こうして最初から犯人は明らかにされてしまうが、この作品はいわゆる正統な「倒叙型」と呼ばれるジャンルに属すものではない。正...
「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を惨殺したのは、読み書きができなかったためである」という冒頭の衝撃度はこれまで読んだ現代ミステリのなかで最大だと思う。★こうして最初から犯人は明らかにされてしまうが、この作品はいわゆる正統な「倒叙型」と呼ばれるジャンルに属すものではない。正統な「倒叙」ならば、「刑事コロンボ」のように、犯行の状況が描かれ、刑事や探偵が犯人を一歩一歩追いつめていく形式を取るはず。この作品はその形式とは明らかに異なる。物語は犯人であるユーニス・パーチマン、そして被害者であるカヴァデイル一家の出自や家族について、続いて犯人パーチマンがカヴァデイル一家に家政婦としてどのように採用されたかを語っていく。そしてそこから犯行が起こるまでの数ヶ月間のパーチマンとカヴァデイル一家の生活が細部に至るまでリアルに描かれる。裕福な一家の平和な生活、その一方で家政婦は文盲を隠し通そうとし、文盲が暴かれるのではないかと常に畏れ続ける。家族のなにげない言葉や、ちょっとした行動が家政婦を追い込んでいく。だがそれを家族は知ることもなく、惨劇は刻一刻と迫る。そしてその悲劇に向かって読者の緊張もじわじわと高まっていく。★リアリティを追求するつもりだったのか、それとも単なる作者がハイブラウなのか、作中には文学作品の引用や文学、神話などからの膨大な固有名詞が登場する。それらに全く註を付けず、カタカナ表記のままにしておくのは翻訳者にとってそれが常識なのか、翻訳者が無教養なのか。気付いたところでは、ローマ神話の「ユーノーJuno」を「ジューノー」と記して理解されるのだろうか。「リドル&スコットを手にとって」というような表現があったが、「リドル&スコット」がギリシア語の辞典だということをミステリ読者のどれだけの人が知っているのだろうか。そういうわけで訳文はかなり読みにくい。
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