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文豪のミステリー小説 の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2023/03/11

文豪が書いた怪談や推理小説、「ミステリー」の原義どおり不思議な作品を収録したアンソロジー。 以下は印象的だった作品 ・夏目漱石「琴のそら音」 犬の遠吠えがおかしい、婚約者に異変があるのではないかと訴える婆や。はじめは相手にしていなかったが次第に気になってきて… 落語のような結...

文豪が書いた怪談や推理小説、「ミステリー」の原義どおり不思議な作品を収録したアンソロジー。 以下は印象的だった作品 ・夏目漱石「琴のそら音」 犬の遠吠えがおかしい、婚約者に異変があるのではないかと訴える婆や。はじめは相手にしていなかったが次第に気になってきて… 落語のような結末がいかにも初期漱石。 ・岡本綺堂「白髪鬼」 成績優秀なのだが、弁護士試験を受けるたびにいつも白髪の女が現れて失敗してしまう。 ・大岡昇平「真昼の歩行者」 真昼の街なかに突如現れた記憶をなくした青年。近くの医者が面倒をみることになったが、彼が偽札を持っていたことから調査を始めることになったが… ・幸田露伴「あやしやな」 熱病で男が死んだが、看取った医者は証明書を書こうとしない、という騒ぎがおこり捜査が始まった。 西欧を舞台とする推理小説だが、文語で書かれているのでどこか滑稽で、強引な謎解きも文語の勢いと愛嬌で、独特の味わいがある。 ・久米正雄「嫌疑」 父からの送金が途絶え、落第すればあとがない学生。寄宿舎で放火があり、追いつめられれば自分もやりかねないと思いながら、試験準備に焦っていた。そんななか第二の放火が起こり、そこに彼も居あわせていた… ・柴田錬三郎「イエスの裔」 善良な老人が義理の孫娘を刺殺する事件が起こった。老人は「子供を生ませたくなかった」とだけ語る。参考人として集められた老人の幼友達、孫娘の実父と知り合いの作家、そして孫娘の情夫によって語られる、老人の送った半生とは… ・芥川龍之介「藪の中」 藪の中で起こった殺人事件。当事者たちの証言はそれぞれに食い違う。

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2022/10/11

様々な文豪たちのミステリーが読めて良かった。少し表現が古いところもあり、分かりづらかったけど、面白かった。

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2021/11/08

なんかこの…ミステリー? 全体にホラーか、イヤミスなんですが。 どれも別に謎解きとかに 主眼をおいてるわけではなく そういうことに至る人間の心理とかを 書きたかったような感じの作品。 あ、でも『出来ていた青』が トリックとかあって、推理小説ぽかった。 『真昼の歩行者』もサスペ...

なんかこの…ミステリー? 全体にホラーか、イヤミスなんですが。 どれも別に謎解きとかに 主眼をおいてるわけではなく そういうことに至る人間の心理とかを 書きたかったような感じの作品。 あ、でも『出来ていた青』が トリックとかあって、推理小説ぽかった。 『真昼の歩行者』もサスペンス風。 ホラーよりだったけど『琴のそら音』も わりあい好みでした。

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2021/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「琴のそら音」夏目漱石 「手首」大佛次郎 「白髪鬼」岡本綺堂 「出来ていた青」山本周五郎 「真昼の歩行者」大岡正平 「あやしやな」幸田露伴 「嫌疑」久米正雄 「イエスの裔」柴田錬三郎 「藪の中」芥川龍之介 個人的に手首、白髪鬼、真昼の歩行者が『推理小説的ミステリー』っぽくて面白かった。

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2016/05/16

 ミステリーという観点から編まれた短編小説のアンソロジー。  こんな試み、面白い。     大岡昇平『真昼の歩行者』  記憶喪失した青年は、多額の偽札を持っていた!  精神分析の大家・瓜生博士が青年を入院させて事件の解明に乗り出す。  プロセスも結末も興味深く、一気に読ませる名作...

 ミステリーという観点から編まれた短編小説のアンソロジー。  こんな試み、面白い。     大岡昇平『真昼の歩行者』  記憶喪失した青年は、多額の偽札を持っていた!  精神分析の大家・瓜生博士が青年を入院させて事件の解明に乗り出す。  プロセスも結末も興味深く、一気に読ませる名作。  大岡昇平の他のミステリー作品も読んでみたくなりました。      芥川龍之介『藪の中』  パラレルワールドですね。  SFや超常現象の視点から解釈すると、どうなるのでしょうか。     http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160516/p1

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2015/08/01

え、これはミステリーではなく怪奇小説ではないの? と思える作品もあり、とりあえず読み終えると、そこは、編纂者による解説できちんと説明されていた。 推理小説=ミステリーという認識が一般的になったのは、1950年代後半だったということだ。 それ以前は、人間にとって理解の範疇を越え...

え、これはミステリーではなく怪奇小説ではないの? と思える作品もあり、とりあえず読み終えると、そこは、編纂者による解説できちんと説明されていた。 推理小説=ミステリーという認識が一般的になったのは、1950年代後半だったということだ。 それ以前は、人間にとって理解の範疇を越えていること、または科学的な事も含む知識が不完全なゆえに理解できなかった謎は、全てミステリーであった。 『琴のそら音』夏目漱石 『手首』大佛次郎 『白髪鬼』岡本綺堂 次の段階として、その謎を解き明かそうとする。 トリックやアリバイを看破り、考察し、犯人を突きとめる、典型的な探偵小説の誕生、日常の謎解きなども含めて、現代にミステリーと呼ばれるジャンルの確立である。 『出来ていた青』山本周五郎 『真昼の歩行者』大岡昇平 『あやしやな』幸田露伴 しかし、名探偵の推理でも説き明かせない謎も残る。 怪奇現象は別として… 永遠に完全に説き明かすことのできない謎は人間心理ではないか? 『嫌疑』久米正雄 『イエスの裔』柴田錬三郎 『藪の中』芥川龍之介 …という段階を追って、作品が構成されている。 なるほど、と思った。

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2011/07/26

「うわ、おもしろい」と思ったのが、まさかまさかのどんでん返しがある大岡昇平の「真昼の歩行者」と、大学の卒業試験のための勉強がまったく身に入らず放火してしまう久米正雄の「嫌疑」。改めて、山前譲さんのアンソロジーはハズレがないなぁ。

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2011/05/11

 ミステリーという題名に惹かれて手に取ったら、ホラーだった。推理小説はちゃんと文豪たちの探偵小説という別の本があるようだ。これはこれで楽しんで読めたが。  ただ最初の短編群のホラーと最後の方の解決するミステリーとだいぶ趣向が違う。一冊にまとめてもいいのかなと思うくらい。いかにも日...

 ミステリーという題名に惹かれて手に取ったら、ホラーだった。推理小説はちゃんと文豪たちの探偵小説という別の本があるようだ。これはこれで楽しんで読めたが。  ただ最初の短編群のホラーと最後の方の解決するミステリーとだいぶ趣向が違う。一冊にまとめてもいいのかなと思うくらい。いかにも日本的な怪談話もいいが、犯人がちゃんと指名されるストーリーのほうが印象的。とくにホワイダニットを関係者の証言で解き明かす「イエスの裔」最近どこかで読んだ覚えがある。「真相は藪の中」の語源も楽しめた。ただどうしても文語はパスしてしまった。

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2010/06/19

(収録作品)真昼の歩行者(大岡昇平)/あやしやな(幸田露伴)/藪の中(芥川龍之介)/イエスの裔(柴田錬三郎)/出来ていた青(山本周五郎)/白髪鬼(岡本綺堂)/手首(大佛次郎)/嫌疑(久米正雄)/琴のそら音(夏目漱石)

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2009/10/04

ミステリーとは一般に考えられているよりもっと広義のものだ、と、あとがきで編者が主張している。それはそうかもしれない。でも、「ミステリー小説」というタイトルの本を手に取る読者であれば、一般に考えられているようなミステリーを読みたいのではなかろうか。あてはずれだったよ。

Posted byブクログ