戦場から生きのびて の商品レビュー
シエラレオネ内戦は、1991年から2002年までに起きた革命統一戦線(RUF)と政府軍との間でダイヤモンドの鉱山の支配権をめぐり大規模な内戦に発展し、7万5000人以上の死者を出した。 その内戦において戦闘兵器のように育てられ、実際に人を殺め、陵辱し、家を燃やした子供たち。著者...
シエラレオネ内戦は、1991年から2002年までに起きた革命統一戦線(RUF)と政府軍との間でダイヤモンドの鉱山の支配権をめぐり大規模な内戦に発展し、7万5000人以上の死者を出した。 その内戦において戦闘兵器のように育てられ、実際に人を殺め、陵辱し、家を燃やした子供たち。著者のイシメール・ベアは、1980年生まれ。98年にアメリカに移住し、ニューヨークの国連インターナショナルスクールで2年間学んだのち、オバーリン大学に進学し、政治学を修めて2004年に卒業。現在は、アメリカの国際人権NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチ・子どもの権利部諸問委員会のメンバーとして活躍しているという。 ー おれたちはRUFのために戦った。政府軍は敵だ。おれたちは自由のために戦った。政府軍はおれの家族を殺したし、おれの村をぶち壊した。いつだってチャンスがあれば、政府軍のろくでなしを殺してやるさ。 ー 「こいつら、反乱軍だ」とマンプが叫び、まだ銃剣に手をのばさないうちに、一人の少年が彼の顔を殴った。マンブは倒れ、立ちあがったときには鼻から血を流していた。反乱軍の少年たちは、数少ない手持ちの銃剣を抜いて、ぼくらに向かって突進してきた。一から戦争のやりなおしだ。考えの甘い外国人たちは、ぼくらを戦場から隔離すればRUFへの憎しみも薄れると思ったのだろう。彼らの頭をよぎりもしなかったのは、環境が変わっても、ぼくらがすぐに普通の少年に戻ったりしないということだった。ぼくらは危険なんだ。殺人を犯すように洗脳されている。 元少年兵士が自分の手で体験をつづった著作は、世界でおそらくほかに類を見ないだろうと、訳者はいう。子ども兵士のなかから選ばれて矯正施設に収容され、リハビリ生活を終えたのだとも。 本書の凄惨な描写を見た後で、その洗脳が解かれて更生したかのような晴れやかな人生になんだかスッキリしない感情を持ちながらも「殺されるか、殺すか」のような二択に迫られながら生き抜いた子ども達の罪を考えても仕方ないとも思った。呪うべきは、もっと別の構造的な部分だ。この世界は悲しい。いつもいつも笑えるわけではない。
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少年兵士の経験に基づいた文章であり、リアルを知ることができるという点で良いと感じた。 環境によって努力ではどうしようもない世界である。
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詳細な記憶力とリアルな表現力で凄惨極まる戦争体験を語る。どんなフィクションも霞んでしまうだろう。戦争にロマンは存在せず、とはまさにその通り。残虐非道以外の何ものでもない現実は古今東西共通していると思うと、現在も同じ境遇がウクライナや中東、アフリカで人々を苦しめているかと思うと非常...
詳細な記憶力とリアルな表現力で凄惨極まる戦争体験を語る。どんなフィクションも霞んでしまうだろう。戦争にロマンは存在せず、とはまさにその通り。残虐非道以外の何ものでもない現実は古今東西共通していると思うと、現在も同じ境遇がウクライナや中東、アフリカで人々を苦しめているかと思うと非常に心が苦しく、また暴力への怒りを感じる。遠い異国の地といえど、子供たちの日常や家族を思う気持ちは全く同じに感じたので、そういった日々が破壊されていく暴力は耐え難いものがあり、読んでいて非常に辛いが社会の在り方を考える上でも他人事にしないことが大事だと思った。子供時代の古き良き日の思い出に浸るにも、戦争の記憶が間に入って邪魔するなど、ずっと心を苦しめ続けている苦悩を想像するとゾッとする。
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少年は、12歳の時に内戦に巻き込まれ、友人と悲惨な戦場を逃げまどい、ようやく家族に会えると思った矢先に村を焼かれ家族を失う。民間人を襲うあまりの残虐さに言葉が出ない。生きるためには戦うしかなく、少年は政府軍の少年兵になる。銃を持つことを怯えていた少年が、薬漬けにされ、喜んで捕虜を...
少年は、12歳の時に内戦に巻き込まれ、友人と悲惨な戦場を逃げまどい、ようやく家族に会えると思った矢先に村を焼かれ家族を失う。民間人を襲うあまりの残虐さに言葉が出ない。生きるためには戦うしかなく、少年は政府軍の少年兵になる。銃を持つことを怯えていた少年が、薬漬けにされ、喜んで捕虜を殺すようになっていくのが悲しかった。リハビリセンターに送り込まれた少年たちが、そこでも殺し合いを始めたこともショックだった。それでも、彼らが社会復帰できると信じて諦めなかったセンターの職員のことは本当に尊敬する。読んで良かった。
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私はシエラレオネという国がどこにあるのか知らなかった。 ウィキペディアによると、在留日本人は2015年現在で15人、在日シエラレオネ人は2014年現在で36人。おそらく私は、シエラレオネ人と出会うことなく一生を終えるのだろう。そんな平和ボケの日本人がシエラレオネの内情の一端を知り得たというだけでも、この本の意義は大きい。 ラップミュージックを愛するごく普通の少年たちが、戦禍に巻き込まれ親兄弟と離れ離れになる。食糧と寝ぐらを求める長くて辛い旅路の果てに、少年たちは戦争を主導する大人たちに捕らえられ、強制的に少年兵に仕立て上げられる。与えられた麻薬で恐怖と罪悪感は麻痺し、彼らは残虐行為を重ねてゆく。 主人公である筆者は幸い、ユニセフによって助け出され、多くの知己を得てアメリカに渡ることができた(もちろんただの幸運ではなく、彼の聡明さや本質の善良さによるものが大きいのだが)が、少し年長であっただけで救いの手から漏れてしまった子や、助け出されても親族から受け入れを拒否され戦場に戻る子、地域から冷たい視線を浴びる子などがこの問題の根の深さを物語る。少年兵であった3年間の記述が少ないのは、本人も思い出したくないのと、あと、少年兵が戦場を離脱した後、刑事罰に問われるケースもあるからかな?と少し勘ぐってしまったり。 真実のもつ力でグイグイ読ませるが、物語の構成はやや稚拙な印象。場面の転換や回想シーンの挿入が唐突で少し戸惑った。あと、主人公を家族として暖かく迎え入れてくれた叔母一家を、仕方がないとはいえ戦火の中に置き去りにして逃げ出し、その後何も言及しないのはちょっと後味が悪かった。
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戦争は悲惨なものだけど,このような子供が殺され兵士にされて殺したりする現実を,その子供の視点で語ったもの.その生々しさに戦慄する.イシメール・ベア君,よく生きていたと,そしてこのような事実を世界に向けて発信してくれる奇跡に感謝です.
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2016年にバングラデシュの首都ダッカで起きたテロ事件。日本人も7名が犠牲となった。 この事件でテロリストたちは笑いながら人を殺したという。戦争となれば殺し合いになり、その狂気の世界で受けた心の傷は想像できないほど深いだろうけれど、この少年が残酷無比な処刑を笑いながらしている描写...
2016年にバングラデシュの首都ダッカで起きたテロ事件。日本人も7名が犠牲となった。 この事件でテロリストたちは笑いながら人を殺したという。戦争となれば殺し合いになり、その狂気の世界で受けた心の傷は想像できないほど深いだろうけれど、この少年が残酷無比な処刑を笑いながらしている描写はショックだった。
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90年代hiphopが流行っていた頃の話。 途中から主人公を可哀相と全く思わなくなりました。 一番偉いのはUNICEFや国連機関の職員。 遠い国の、嘘のようなホントの話。
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少年兵を扱ったノンフィクションや映像作品と比べ、同じように残酷な問題を扱った内容とはいえ正直言えば相対的にはやや構成と表現の力に欠けているのかなという印象を持ちました もちろん類書を読んだことのない方は是非とも読むべき内容です
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今までわたしはなにを知っていたのだろう。 元子ども兵士であった少年の手記はおそらく他にない。 安易に元子ども兵士社会復帰支援などと言っていたが彼ら自身の苦しみ、リハビリセンターの職員の苦しみ、なにもしらない。 明日もしわたしの隣街で戦争が起こっても わたしは信じないだろう。...
今までわたしはなにを知っていたのだろう。 元子ども兵士であった少年の手記はおそらく他にない。 安易に元子ども兵士社会復帰支援などと言っていたが彼ら自身の苦しみ、リハビリセンターの職員の苦しみ、なにもしらない。 明日もしわたしの隣街で戦争が起こっても わたしは信じないだろう。 近いのに遠い遠い物語のように。 彼もまた最初は戦争を信じられなかった。 しかし戦争に巻き込まれ家族 友人と離れ、 彼らを失い戦うことを余儀なくされ 薬と精神的ダメージのせいで平常心を失っていく… リハビリセンターに移ってからも 少年兵たちの心は戦場に残されたままで、 溢れ出る憎しみ悲しみをひとや物にあてつづけた。 殴られても刺されても職員は言う 『戦争は君たちのせいじゃない。これも君たちのせいじゃないんだよ』 悲しみから立ち上がっても シオラレオネではまた戦いが始まり新たな悲しみが始まった それでも彼は諦めなかった。生きるために。 たとえ今彼が笑っていたとしても 彼の笑顔には悲しみや苦しみがいまだ残されている。 生きていること いま笑っていられること 当たり前が当たり前になったこと そんな状況が日常じゃないひとが まだ世界にいることを忘れてはいけない。 本に出会えてよかった。 彼が生きていてくれてよかった。 この世界には綺麗事じゃない世界がたくさんある。
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