月の裏側 の商品レビュー
「盗まれた街」へのオマージュ作品
うかつにもごく最近までこの作品のことを知らなかった。 知るキッカケとなったのは、ジャック・フィニィ「盗まれた街」を久々に読みかえしたこと。 ハヤカワ文庫「盗まれた街」(2007 伊藤卓解説) その解説のなかで、伊藤卓さんは、フィニィのこの作品がいかに大きな影響を日本の ク...
うかつにもごく最近までこの作品のことを知らなかった。 知るキッカケとなったのは、ジャック・フィニィ「盗まれた街」を久々に読みかえしたこと。 ハヤカワ文庫「盗まれた街」(2007 伊藤卓解説) その解説のなかで、伊藤卓さんは、フィニィのこの作品がいかに大きな影響を日本の クリエーターたちに与えたのか指摘された上で、次のように書いています。 手塚治虫の「マグマ大使」(1965~67)でもっとも恐ろしかった人間モドキ のエピソードは「盗まれた街」直系のものでしたし、恩田陸は「月の裏側」を本作への オマージュとして執筆しています。 あわてて「月の裏側」を購入し、読破したのは云うまでもないことです。 ご存じのように「盗まれた街」の異常現象は、地球外からの侵入によって引き起こされ たモノでした。翻って、本作での異常はどうやら地球本来の進化史のなかにその原因 があるようで、かえって、事態の深刻さがうかがえます。 同時に、人間のままのハズの自分が「もしかしたら盗まれているかも?」との疑惑が浮 上してくる恐怖ときたら! 「盗まれた街」を翻訳し、日本SFの黎明期におおいにジャック・フィニィをプッシュしたの はいうまでもなくかの福島正実さんです。 その福島正実氏が「月の裏側」を読まれていたらどんな感想をもたれたのか?自分の 蒔いた種子がかくも見事な果実となったか・・・そう喜ばれたかもしれません。 追記 ジャック・フィニィが、異端研究の祖と呼ばれたチャールズ・フォートに傾倒していたのは 有名な話ですが、「月の裏側」に主人公たちにサジェスチョンを与える「小林武雄」な る郷土史家が登場します。もしかしたら、ですけども、恩田陸さんは小林武雄作中で をチャールズ・フォートの役割をあたえているのかも?そんなことを考えました。 すこし深読みでしょうか?
士門
静かで美しいホラー
恐怖にも色々な種類がある。この本の場合は、じわりじわりと染みてくる。正体のわからない「何者か」が与える恐怖もあるが、それ以上に「自分は何者なのか」を突きつけられる問いかけの方が怖い。静かで美しいホラー。
abtm
何なのかよく分からないまま終わってしまった。ホラーというには怖くないし…ファンタジーか?SFかもしれないけどなんかフワッとしてる感じ。 後半の脱ぐのか脱がないのか辺りが1番面白かったかな。
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塚崎多聞は恩師に呼ばれ九州の水郷都市ヤナ倉へ。そこでは3件の失踪事件が起きていた。失踪した人は人間もどきに変えられたという仮説を立てる。自分達以外の人間が全て街から消失してしまうのが悪夢のようで怖い。
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九州の箭納倉で起こった失踪事件。 不思議なことに皆数日後にはふらりともどってきて しかも失踪中の記憶がなかった…。 事件に興味をもつ元教授とその娘、その教え子の多聞。 町中にめぐらされた堀、ねっとりと流れる水…。 なんていうか、ずーっと薄気味の悪くて 文体もなんだかゆったりして...
九州の箭納倉で起こった失踪事件。 不思議なことに皆数日後にはふらりともどってきて しかも失踪中の記憶がなかった…。 事件に興味をもつ元教授とその娘、その教え子の多聞。 町中にめぐらされた堀、ねっとりと流れる水…。 なんていうか、ずーっと薄気味の悪くて 文体もなんだかゆったりしてて全くスピード感のない感じがした。 主人公の一人、多聞もなんだかつかみ所のない人で なんだかぼわーっとした中に手探りで入っていったら ものすごく気味悪かったって感じ。 これがこの小説の味なんだろうけどなんとなく パンチが効いてなくてちょっとボケた感じがして 物足りないように思った。 「MAZE」が同じ雰囲気だったけど あたしは「MAZE」の方が怖かった。 「月の裏側」もその謎がなんとも薄気味悪いんだけど 「MAZE」の謎は本気で怖かったなぁ。 恩田陸さんの小説って全体にそうなんだけど 途中バーっと盛り上がってラスト気が抜けちゃうってとこがあるんだけどこれもそんな感じだった。 ほんとはラストにぐぐーっと持っていってほしかったなぁ。 でも映像化したらきれいだろうな。 そうだなぁ。あたしは戦って欲しかったな…。
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多聞さんが好きで、多聞さんが出てるこの本を借りて読んだけど… 多聞さんはめちゃくちゃ素敵なままやけども…よーわからん話やった。 世界ってそーなんやろなぁ…と思うこともあるけども…ちょっと寄り添えんかったなぁ。 最後読み終わっても、なんやってんやろ…と思ってしまう。。 でも、多聞さ...
多聞さんが好きで、多聞さんが出てるこの本を借りて読んだけど… 多聞さんはめちゃくちゃ素敵なままやけども…よーわからん話やった。 世界ってそーなんやろなぁ…と思うこともあるけども…ちょっと寄り添えんかったなぁ。 最後読み終わっても、なんやってんやろ…と思ってしまう。。 でも、多聞さんは素敵やから出てる本は読みつくそう!!
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ズバリ❗️よくわかりませんでした。もう少し、わかるように書いて欲しかったです。情景の描写や人物の心情の表現は上手なのだと思いますが、それもあまり入って来ませんでした。すいません。
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テーマは本来怖くないものなのなのに、敢えてオカルトにされてる感。 で、この人はオカルトの描写をさせたら天下一品だから、やっぱり気味わるいの。 いつもの恩田ワールドなら、多分、長靴脱いで寝ようって所で突き放されて終わると思うんだけど。それで後味の悪い、うすら寒い読後感を楽しむのが恩...
テーマは本来怖くないものなのなのに、敢えてオカルトにされてる感。 で、この人はオカルトの描写をさせたら天下一品だから、やっぱり気味わるいの。 いつもの恩田ワールドなら、多分、長靴脱いで寝ようって所で突き放されて終わると思うんだけど。それで後味の悪い、うすら寒い読後感を楽しむのが恩田ワールドの醍醐味でもあるから。 作風の強みに依存しながらの新境地なんだろぅか… ともあれ、やっぱり楽しめる。久々の一気読みでした!
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ホラーにしては結末がすっきりせず、ミステリーとしてはロジックが曖昧だ。もどきになった人間の特殊な、例えば能力だの特徴などがあえて描かれておらず、最後まで解決はしない。しかししっかり読ませてしまうのはマイノリティが根源的に持っているある種のマジョリティへの同調欲求がテーマになってい...
ホラーにしては結末がすっきりせず、ミステリーとしてはロジックが曖昧だ。もどきになった人間の特殊な、例えば能力だの特徴などがあえて描かれておらず、最後まで解決はしない。しかししっかり読ませてしまうのはマイノリティが根源的に持っているある種のマジョリティへの同調欲求がテーマになっているからだろう。 思想でも世界観でも身体的なものでも出自でも代入出来、結局その差異は見た目にも内面すら無いわけだから。 しかしそこへ含まれてしまう事、同化してしまう事へのある種普遍的な恐怖がある。 これはわかりづらいだろうな。 この時代の恩田睦の人物像は、どうも苦手でもある。映画や小説の博覧強記であることはわかるのだが、どうにもその作品の中の登場人物かのような二重のフィルターがかかっているように、それはたとえばアニメの中のイメージのように感じてしまうのだ。 映画で言えば単に演じているのが下手くそな役者でしらけてしまうような感覚である。 続編もあるようなので楽しみではある。
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九州の水郷都市で起こる奇妙な失踪事件。 失踪した人は何日かして戻ってくるが、その間の記憶はない。 読み始めて、ミステリーは苦手なんだけど・・・と思ったのに、これはホラー?!怖い、怖いで一気に読んでしまった。 怖かった!で読み終わればいいけれど、結局、怖さの正体も目的もよく分から...
九州の水郷都市で起こる奇妙な失踪事件。 失踪した人は何日かして戻ってくるが、その間の記憶はない。 読み始めて、ミステリーは苦手なんだけど・・・と思ったのに、これはホラー?!怖い、怖いで一気に読んでしまった。 怖かった!で読み終わればいいけれど、結局、怖さの正体も目的もよく分からず、それが起こる理由は?とか、いつから存在したもの?河童の話ってもしかして?とか、「その後」の自分は何者で、自分の心は?とか考え始めたら、後からじわじわと怖さが増す感覚がある。 マスコミが大騒ぎのシーンが何かの映像に重なると思ったら、映画の「黄泉返り」だ!と思い出してスッキリした。
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