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ハッピーデイズ の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2021/12/01

著者のローラン・グラフは1968年生まれのフランスの作家。 変わったことを思いつくという意味では、そういう作家はたくさんいるが、この小説は少々違う観点で意表を突いていて面白かった。 主人公のアントワーヌは、18歳の時に満ち足りた人生というものの構成要素をほぼすべて経験したと認識...

著者のローラン・グラフは1968年生まれのフランスの作家。 変わったことを思いつくという意味では、そういう作家はたくさんいるが、この小説は少々違う観点で意表を突いていて面白かった。 主人公のアントワーヌは、18歳の時に満ち足りた人生というものの構成要素をほぼすべて経験したと認識し、多くの若者が初めて車を買う年ごろに自分の墓を買った。 名づけ親が亡くなり、相続人に彼を指定してくれていたので、突然、50年余り隠居生活ができる額の遺産が転がり込んできた。 彼には妻子もいて、彼は悪い父親でもなかったようだが、妻子とは別れることにして、35歳で老人ホームに入る。 平和で静かな場所が欲しかったというのが老人ホームに入った理由なのだが、ふつう、35歳の大金を持っている男性が老人ホームで暮らそうとは思わないだろうと思う。 彼は、老人ホームの住人として順応している。 住人の年齢は70代後半から90代までさまざまではあるが、35歳の彼が浮いているのは間違いない。 しかし、思えば30半ばの男性がこれほど世代の違う人たちの中で平和で静かに過ごすことはすごいことのような気がする。 本書は2001年に上梓されたらしい。作者33歳の時の作品である。33歳の若者が等身大でこのようなことを思いついたことが、やはりどのような精神的連関なのか不思議である。 18歳で墓を買い、35歳で老人ホームに終の棲家を見出したアントワーヌは特別厭世的というわけでない。 絶望のなかでいたり、うつ状態なわけでもない。 そうこうしているうちに、老人ホームに新しい住人が現れる。 ミレイユというその老女は、ガンに冒され余命いくばくもないらしい。 彼女の世話をしはじめた彼は、彼女の要望に従い、彼女を車に乗せて海を見に行く。旅の途中に彼は誕生日をむかえ36歳になる。 海を見たあとミレイユは死ぬ。 彼が老人になったとき、老人ホームは青少年のための休暇施設に変わっている。そして、彼は職員(庭師)としてそこに住み続けている。 本作品は、ジョニー・ディップが自らのプロダクションで映画化することが決定しているそうだ。 ジョニーがアントワーヌを演じたらいい味をだすことだろう。

Posted byブクログ

2011/08/08

すごく、評判がいいみたいだけど。 わたしにはイマイチよくわかんなかった…。映画化するなら、それに期待。

Posted byブクログ

2009/10/07

この本のハッピーデイズは 老人ホームの施設の名 冷ややかに見つめる主人公は 若干30代の「入居者」 戻る家をなくした 祖母を思った 出てくる麦茶 ひと部屋ずつの表札 なんて冷たいんだろう 目を背けては 生きていけない 私たち

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2011/09/30

アントワーヌは18歳で、墓地と墓石を買った。18歳で、ふつうに満ち足りた人生というものの構成要素を、ほぼすべて経験した。恋も仕事も、理想も野望も、失望も倦怠も。人生に驚きなんてもう無くなってしまった、と思った。あとは、特別な野心など持つことなく、淡々と生き、やがて起こるべきことに...

アントワーヌは18歳で、墓地と墓石を買った。18歳で、ふつうに満ち足りた人生というものの構成要素を、ほぼすべて経験した。恋も仕事も、理想も野望も、失望も倦怠も。人生に驚きなんてもう無くなってしまった、と思った。あとは、特別な野心など持つことなく、淡々と生き、やがて起こるべきことに備えようと決意したから、墓を買ったのだ。35歳のとき、名づけ親が亡くなり、遺産を相続した。そして離婚した。遺産はおよそ50年生活できる金額だった。まもなく、私営老人養護施設「ハッピーデイズ」に入居した。老人と一緒に暮らし始めた。職員ではなく、あくまで入居者として。老人たちを観察し、死に至るまで傍らにいて見届けたい。命が消失することの何たるかを理解したい、という実験的な目的もあった。そんなアントワーヌが、末期がん患者ミレイユに出逢った。彼女が死を迎えるまで寄り添った、アントワーヌが見出したものは……主人公が何を見出したかは書かれていない。文章にすると、かえって陳腐だったかもしれない。訳者あとがきに、急逝した哲学者の池田晶子さんの言葉があった。この言葉が、アントワーヌの見出したものにかなり近いのではないか。ラストシーン。時が過ぎていた。歳をとったアントワーヌは何を思っているだろう。この作品は世界各国で人気を博し、ジョニー・デップが映画化するそうだ。

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2009/10/04

●ジョニー・デップ×テリー・ツワイゴフ(『ゴーストワールド』)で映画化! [ 内容 ]アントワーヌは35歳で墓石を買い、老人ホームで暮らし始めた。恋愛、結婚、子作り、人生の要素はすべて終えた。あとは何を楽しみに生きる?そして死を前にして生きる老人たちの中に、何かを見出そうとする−...

●ジョニー・デップ×テリー・ツワイゴフ(『ゴーストワールド』)で映画化! [ 内容 ]アントワーヌは35歳で墓石を買い、老人ホームで暮らし始めた。恋愛、結婚、子作り、人生の要素はすべて終えた。あとは何を楽しみに生きる?そして死を前にして生きる老人たちの中に、何かを見出そうとする−−。

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2009/10/04

35歳で老人ホームに入居した男の話。 金にも体にも不自由のない若い者が生活の拠点として老人ホームを選ぶなんて、なんて凄い設定なんだか。きっと見城何某さんだって思いつかないと思いますわ。

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