1,800円以上の注文で送料無料

遠き落日(下) の商品レビュー

3.9

8件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

ほぼ無一文でアメリカ…

ほぼ無一文でアメリカに渡った野口英世が、蛇毒の研究によって頭角を現してから、アフリカで黄熱病に倒れるまでを描く。得意の絶頂期にすでに差し始めた暗い影。自らの研究に誤りがあるのではないかという不安との戦い。ここに描かれているのは、あまりにも人間くさい、生身の野口英世だ。

文庫OFF

2024/05/15

目の前に野口英世が活躍している情景が目に浮かぶ。当時 、世界でこれほどまでに活躍してきたとは知らなかった。 偉人としてではなく、1人の人間として愛すべき人物である。

Posted byブクログ

2023/09/24

当時の顕微鏡では発見不可能な黄熱病のウィルスを追い求め、自らの研究中に黄熱病に感染してしまい生涯を終えてしまうとは、何とも皮肉で悲劇的で不憫で切ない最期である。最後は泣けてきた。 小説としては、素晴らしくて一気読みしてしまった。

Posted byブクログ

2020/05/29

下巻では、何のあてもなく単身アメリカに乗り込んだ英世の栄光と挫折の後半生を描いている。 人間発電機(ダイナモ)と呼ばれ、「ドクター・野口はいったいいつ起きて、いつ寝るんだ?」と言われるほど、ひたすら研究に打ち込む英世。 「俺は本当は少しも眠くなんかないんだ。何日徹夜しても...

下巻では、何のあてもなく単身アメリカに乗り込んだ英世の栄光と挫折の後半生を描いている。 人間発電機(ダイナモ)と呼ばれ、「ドクター・野口はいったいいつ起きて、いつ寝るんだ?」と言われるほど、ひたすら研究に打ち込む英世。 「俺は本当は少しも眠くなんかないんだ。何日徹夜しても平気だ。でも明日の仕事のためには、いま寝たほうが得だ、そう思ったときだけ寝ている」 「人間は体のことを考えるようになったら終わりだ。自分をいたわるようになったら、もうエネルギーはなくなったということだ」 金言の数々である。 未だかつて、彼ほど学問に真剣に、それこそ身も心も削って打ち込んだ人はいないだろうと思う。 だからこそ、彼の業績が死後次々に否定され、今では「梅毒スピロヘータの純粋培養」しかないというのはとても残念である。 確かに気性は激しいし、自信過剰であるし、金銭感覚については破綻していると言わざるを得ないが、それでもやはりドクター・ノグチは偉大な細菌学者であると思う。 日本人なら誰もが知っている偉人の生涯を、良い面も悪い面も包み隠さず描写した、事実にもとづく優れた小説である。

Posted byブクログ

2016/02/06

野口英世の生涯を描く後編。 白人女性と結婚するも研究への熱と浪費癖は相変わらず。 最終的にはアフリカにて、自らが研究している黄熱病に倒れて生涯を閉じる。 とにかく研究にかける姿勢はやり過ぎなくらいの一生懸命さ。 ただ、その一方で浪費癖が治らないという天才とは対照的な人間味を持ち合...

野口英世の生涯を描く後編。 白人女性と結婚するも研究への熱と浪費癖は相変わらず。 最終的にはアフリカにて、自らが研究している黄熱病に倒れて生涯を閉じる。 とにかく研究にかける姿勢はやり過ぎなくらいの一生懸命さ。 ただ、その一方で浪費癖が治らないという天才とは対照的な人間味を持ち合わせていた英世。 詳細な彼の生涯を知ることが出来て、良かったと思う。 2016.2.6

Posted byブクログ

2015/04/11

劣等感も持ちつつ自信も持ち合わせ異国で一人頑張る英世の姿には感動すら覚える。真実の姿をあまりにも知らなすぎた。

Posted byブクログ

2014/05/28

本書の中にも有るように、野口英世は「よく勉強をし、仕事をしていました。あんなに働く人を、私は生涯で一人も見たことがありません。もちろん他の白人の医師達など問題になりませんでした。」と努力家だと思っていたら、金を借りまくり自分のしたいことを成し、金が出来ても女などにすぐ使ってしまう...

本書の中にも有るように、野口英世は「よく勉強をし、仕事をしていました。あんなに働く人を、私は生涯で一人も見たことがありません。もちろん他の白人の医師達など問題になりませんでした。」と努力家だと思っていたら、金を借りまくり自分のしたいことを成し、金が出来ても女などにすぐ使ってしまうなど、「負」の面も見れ、人間臭さが印象に残る。昔はこう言う秀でているが、一方でどうしようもないところがある人でも、みんなで支援していく心が有ったのだなあと思う。実際に金をせびられ、成功してもさっぱり返してくれない目にあっても、それで病気に苦しんでいる人を助ける支援が出来たと思えば、素晴らしいことだ。 本書を読んでいると「成せばなる」と感じる。 【印象に残る】 アメリカに行きたいが金がない。嫁にもらってくれと言う娘の両親から、貰ってくれればアメリカ行きの旅費は出すと言われ結婚。 母にはよくしてもらったが、英世自信は金があると遊んでしまい。親孝行は殆どしなかった。 中国行きの時も、アメリカ行きのの時も、行くことが決まると旅支度をする前に壮行会と称して、行く金を全部使ってしまい、結局知人に借金をすて何とか行くことになる。 後期では、黄熱病の病原菌発見。しかし、後日それは黄熱病の病原菌では無いのでは?との指摘が入り、野口自信も決定的な反論はできず、確証は詰めきれずに歳月が経つ、そしてアフリカにて黄熱病にかかり、 「結局、われわれは黄熱病については、なにもわかっていないんだね。」 と言う思いを残し逝く。 【功績】 梅毒菌の純粋培養、麻痺性痴ほう症患者の脳組織に梅毒菌を発見

Posted byブクログ

2018/03/10

小説は上下に別れているが・・・ 『上』 を読んだときには 野口英世はどういう男だ・・・という 生活破綻者に対する 怒りみたいなものが存在したが・・・ 『下』 を読んだときには いつの間にか 野口英世 擁護派に変わっていた。 アメリカに行っても 日本人を貫き通した という意味で ...

小説は上下に別れているが・・・ 『上』 を読んだときには 野口英世はどういう男だ・・・という 生活破綻者に対する 怒りみたいなものが存在したが・・・ 『下』 を読んだときには いつの間にか 野口英世 擁護派に変わっていた。 アメリカに行っても 日本人を貫き通した という意味で いじらしくもある。 ほとんど眠らないで 研究に従事する 野口英世の すざましいばかりの 努力は  (短期間で発表した論文数が多い・・間違いも多いが) 日本人として馬鹿にされたくない という想いが その中につまっている。 野口英世がなぜ窮屈な伝記にいなくてはならなかったのかは 日露戦争から第2次世界大戦への・・・ 学問で功をなりとげ、母親に尽くす 野口英世という 存在が 道徳教育に必要だったからだろう。 野口英世は 生身のニンゲン だった。 貧しい家庭に育ち・・・その中から必死にもがき苦しむ そして、手は火傷をおって・・自由が利かない。 アメリカに行って成功し、 ロックフェラー研究所を 有名にした業績が存在している。 野口英世がアメリカに着いたのが 1900年。 野口英世は 毒蛇の毒の採取から仕事が始まった。 わずか 月 8ドル の仕事だった。 その当時 病気の研究の中心は 『梅毒』だった。 1903年 メチニコフとルーによって サルに梅毒を罹病させる。 1905年 シャウディンとホフマンが スピロヘータを発見 1906年 ワッセルマンによって 診断法が開発され・・・ 野口英世は 蛇毒の 血清の技術をふまえて・・・ 梅毒を 純粋培養に成功する。 そのとき 北里研究所の秦佐八郎が  梅毒の特効薬 サルバルサンをつくった。 ウイルスは、光学顕微鏡で見えない。 野口英世は 黄熱病が スピロヘータが病原体と思っていた。 それを特定して、血清でワクチンを作ったが・・ 野口英世は、そのワクチンを接種していたが、 病原体が違うので、黄熱病で死ぬという 結果となった。 黄熱病にかかった野口英世は言う 『結局、我々は 黄熱病については、何もわかっていないんだね。』 最後の言葉が 『なにが、なんだか、わからない・・・』といって、 一生を終えた。

Posted byブクログ