しろい虹 の商品レビュー
ただ文字を追っているだけで内容が全然入ってこなかった。読み終えるまでに時間がかかった。 他の方が書かれてるように、ゆったりと読める心境の時じゃなきゃダメなんだと思った。
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接続詞などが少ない不思議な文体。 何気ない日常を切り取ったエッセイだけれど、読むのに少々苦労し、読み進めるのが困難だった。 ちょっとだけ、私とは毛色が違ったみたいだ。
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『傘を持って出ると、振らないことになっている。大雨強風注意報が出ています、一時間に30ミリです。ラジオにおどかされ、こうもり傘をひきずって、電車を降りたら、夕空は色つき綿あめのように明るかった』ー『アワ』 『そんなときに、だれかが作ったものを見ると、よくわかる。そのものに向きあ...
『傘を持って出ると、振らないことになっている。大雨強風注意報が出ています、一時間に30ミリです。ラジオにおどかされ、こうもり傘をひきずって、電車を降りたら、夕空は色つき綿あめのように明るかった』ー『アワ』 『そんなときに、だれかが作ったものを見ると、よくわかる。そのものに向きあっていられない。なんでも言葉にしたくなるときが、あぶない』ー『タビ』 石田千の言葉は捉えどころがない。文字の並びから言葉を立ち上げ、それを繋げて文章として追いかける。そのひとつづきの流れのどこかでいつも、何かが逃げてゆく。意味を読み取ることもなく、音を追いかけるでもなく、いつの間にか、ぼんやりと頁をめくっている自分がいる。あわてて頁を元に戻して既に「見た」筈の言葉を捜す。確かここにこんな言葉があった筈だ、と自分の意識は訴える。けれど、お目当ての言葉は見つからない。目隠しに会ったような気分になる。 何度も何度もそんなことをくり返しながら、少しずつ読み進んでゆく。掬い上げる。捉えどころのない文章の中に、静かに佇んでいるかのような、感情のわずかな動きを察知して捉えようとする。そうしてそうやって得たものを抜き出して脇へ置いてみると、そこに実は随分と大きな気持ちの揺らぎがあることを知る。 どうしてそんなことにすら気付かずに、通り過ぎてしまいそうになったのだろう。しかし今度こそ大丈夫。これで解った。この流れの行き先を見定めたようなつもりになって、再び読み始める。すると、やはり再び迷子になる。 友人や知人や近所の人々が登場しても、ここにあるのは圧倒的な一人という存在。それだからといって、この少しばかりさみしい気持ちが滲んでくるような文章から、孤独、というイメージが立ち上がるかといえば、そんなことはない。むしろ、世はなべて一人、という清々しい宣言のような声さえ聞こえてくる。 その宣言は、自分が「その」世界の中心にいることを意味している。ならば、もっと自分の周りに存在するものや、そこに生きている人々、鮮やかに咲く花々に見を配ろう。自分が中心にいる世界においてそれらに輝きを与えることができるのは、自分だけなのだから。それは潔く、明るい。といっても目を向けられないような眩しさではなく、暖かな明るさだ。石田千の文章にはそんなものがあるように思えてくるのである。 『すべて手ばなしたように見えるただずまいにも、呼吸だけはかならずひそんでいる。そういう、ひとりという鳥と会い、足をとめる。いまの世の軸はここではないかと思うほど、くっきりとそばにいる。……しょせん、さいごはひとりなんだから』ー『トリ』
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著者30代最後のエッセイ集。本当は「白」をテーマとしたエッセイを依頼されていたらしいのだが、出来あがったものは、「カタカナ2文字」をタイトルにした19編のエッセイ。あとがきに書かれているように、子供のころから宿題出された作文を書く時に似ていて、テーマが与えられるのが苦手だからとい...
著者30代最後のエッセイ集。本当は「白」をテーマとしたエッセイを依頼されていたらしいのだが、出来あがったものは、「カタカナ2文字」をタイトルにした19編のエッセイ。あとがきに書かれているように、子供のころから宿題出された作文を書く時に似ていて、テーマが与えられるのが苦手だからという。そのせいか依頼されてから3年がかりの完成だとか。いつものように旅先の話、日々の生活の中で気がついたこと、特に食にまつわることなどなど。思いつくままの話題が、過去の記憶とないまぜになって独特の印象深いエッセイになっていく。数年前から始めた山登りのことなども触れられていて、どことなく著者の身辺の変化も見られるところが新鮮。
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自分に余裕がないと読めない本だなぁと思う。購入から半年近く経ってようやくじっくり文字を追えるようになった。 ふわっとしたとらえどころのない表現が目立つけれど、著者の身の丈に沿った生活をしみじみと感じられるところはやっぱり好き。自分にとってみれば特筆すべきことのない日常も、観察力を...
自分に余裕がないと読めない本だなぁと思う。購入から半年近く経ってようやくじっくり文字を追えるようになった。 ふわっとしたとらえどころのない表現が目立つけれど、著者の身の丈に沿った生活をしみじみと感じられるところはやっぱり好き。自分にとってみれば特筆すべきことのない日常も、観察力を養えばこんな風に見えたりするのかしらとこっそり思っている、今日この頃。
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再読。 購入したてに読んだ時はあまりしっくりこなくて寝かせていた。 今回はじんわりしみました。 前職の時は本当に自分に余裕がなかったのだと実感。 コンディションのバロメータにもなる、 やはり本はおもしろい。
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ぷつり、ぷつりと途切れる文章が、とても細やかなもの、薄いものであった。たとえばそれは春の雨のように静かなしとやかさ。たとえばそれは碁盤に無造作に置かれた碁石の個みたいな情緒でもある。 両の足で立ち、匂いを感じ、季節を食む。 どうにもこうにも生き急ぐことに精を出してしまいがちである...
ぷつり、ぷつりと途切れる文章が、とても細やかなもの、薄いものであった。たとえばそれは春の雨のように静かなしとやかさ。たとえばそれは碁盤に無造作に置かれた碁石の個みたいな情緒でもある。 両の足で立ち、匂いを感じ、季節を食む。 どうにもこうにも生き急ぐことに精を出してしまいがちである日々、立ち止まってずずっとお茶を啜る余裕が精神的に美しいと思った。
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冷蔵庫や台所、窓辺、布団。そんなのが見える。 石田千さんの生活感にぶわっと包まれて、最後の方にはもうお部屋に訪問したことがあるような気分に。 翌日のポテトサラダのサンドウィッチ。こんな生活がしたい。
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感性に訴えてくる本。 逆に、それくらいの心の余裕がないと、ただ文字を追っているだけで、文章が心に入ってこないかも。 平仮名で書かれている部分も多くて、ゆっくり読むのには向いている。
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表紙が気になって、中をちらりと見てみたら、好みな文章だったので読んでみました。 石田千さん。 今まで知らなかったけど、文章からにおいたつものを感じました。 短編集。 ひとつひとつが作品。 すみずみまで作品だ。。とほー てなる感じ。 ゼリーんとこの文章が、ほんっとにおいしそう...
表紙が気になって、中をちらりと見てみたら、好みな文章だったので読んでみました。 石田千さん。 今まで知らなかったけど、文章からにおいたつものを感じました。 短編集。 ひとつひとつが作品。 すみずみまで作品だ。。とほー てなる感じ。 ゼリーんとこの文章が、ほんっとにおいしそうで、とろける。 ☆気に入り文章 風のよわい日 ぴしりぴしり 冷たく濃厚な甘さ 芋の溶けたカレー 猫めしの実は、煮詰まったなめこのみそ汁がとろりとうまい。 くすんだ町を歩いていると、粗くなった空気の粒は、ひとの手がこしらえならべたものの輪郭を、すこし溶かしてやわらかくする。 ☆気に入ったゼリー 濃い紅茶をかためて、シロップをかけ、レモンをしぼる。いまも夏に帰ると、ガラスの中のカップが冷蔵庫のなかにならんでいる。 口につぎつぎゼリーをはこぶ。つるんつるり、つめたいしずくが甘く落ちていく。
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