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哀れなるものたち の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

  1. 5つ

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2025/07/17

かなり構成がメタレベルで工夫されていて、楽しませていただいた。 本来、小説は自由なのだから、もっとこういうの、あっていいと思うが、意外と少ない気がする。

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2025/02/23

物語を囲う物語、多様な物語の多様な視点。 古代から連綿と連なるフィクションという一つのプレイグラウンドそのものの内的な構造、本質みたいなものに肉薄しようとする、まさにポストモダンな作品。 マッキャンドレスが記したもの、ベラが記したもの、そして最後に現れるそれを統合するかのように現...

物語を囲う物語、多様な物語の多様な視点。 古代から連綿と連なるフィクションという一つのプレイグラウンドそのものの内的な構造、本質みたいなものに肉薄しようとする、まさにポストモダンな作品。 マッキャンドレスが記したもの、ベラが記したもの、そして最後に現れるそれを統合するかのように現れる批評的言説。 あるのは真実ではなく、真実らしい主観なのかもしれない。

Posted byブクログ

2024/06/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画を観てから本を読んだのですがそうだったのか!という個所があり読んで良かったなと。ラストのベラの手紙があるのが映画版と異なるけどこのラストも好み

Posted byブクログ

2024/05/06

スコットランドの奇才、アラスター・グレイの長編。 2023年に同タイトルで映画化され、主演のエマ・ストーンはアカデミー賞主演女優賞を受賞している。 映画を見てから原作を読んだ。 映画は映画で魅力はあったのだが、改めて原作を読むと、かなりテイストが異なっていて少々驚いた。別物とまで...

スコットランドの奇才、アラスター・グレイの長編。 2023年に同タイトルで映画化され、主演のエマ・ストーンはアカデミー賞主演女優賞を受賞している。 映画を見てから原作を読んだ。 映画は映画で魅力はあったのだが、改めて原作を読むと、かなりテイストが異なっていて少々驚いた。別物とまでは言わないが、受ける印象は相当違う。この凝った仕掛けの原作を「忠実に」映画化するのはなかなか困難かもしれない。 メイン・ストーリーはヴィクトリア朝が舞台。「マッド・サイエンティスト」ゴドウィン(ゴッド)・バクスターと、彼の元にいる奇妙な美女ベラ・バクスター、ゴドウィンの友人としてゴドウィンともベラとも深く関わることになるアーチーボールド・マッキャンドレス、そして放蕩者の弁護士ダンカン・ウェダバーンが主な登場人物である。 ベラが奇妙というのは、見た目は成熟した大人の女性であるのに、言動が子供じみている点である。それは実はゴドウィンが自殺した妊婦の腹から取り上げた女児の脳を母親の頭蓋に移植したから、というゴシック・ホラー調の、つまりはメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を彷彿させるような物語なのだ。 ベラは無類の純真さを持って自らの人生を生きようとしているだけなのだが、男たちは皆ベラに魅かれ、彼女に振り回される。ベラの「過去」が明らかになる終盤では、さらに別の男たちも姿を現す。 物語の間には、登場人物たちのいささかグロテスクな肖像画、骨や身体各部のスケッチが挿入され、ゴシック調の雰囲気を盛り上げている。 原作は二層・三層の枠物語形式になっている。アーチーボールドが回想として書いたのが『スコットランドの一公衆衛生官 医学博士アーチボールド・マッキャンドレスの若き日を彩るいくつかの挿話』。これが枠の最も内側である。これに後年、ベラが書いたあとがきが付される。実のところこれはかなり強烈なあとがきで、アーチーボールドが書いた内容をひっくり返すインパクトがある。ベラのあとがき付きのものを著者グレイが手に入れ、序文や詳細な註をつけたのが、本書『哀れなるものたち』という体裁である。序文と註がもう一度物語をひっくり返す。 訳者あとがきにはグレイが語ったものとして「わたしは真実しか言わないし、書きもしない。嘘をつくとき以外は」という言葉が引用されているのだが、いささか人を食ったような警句めいたフレーズである。あるいはこの訳者あとがきも著者の姿勢を踏襲した一種の枠であるのかもしれない。 さて、読者としては、誰の「語り」を信じればよいのだろうか。個人的にはベラの語りを支持したいところではあるが、そうすると怪奇譚の風味は失われる。やはりこのいささか混沌としたパッケージをそのまま味わうところに妙味があるのかもしれない。 『フランケンシュタイン』を想起させるヒントは、死体の蘇りという設定だけでなく、ゴドウィン(メアリー・シェリーの実父の姓)、ヴィクトリア(『フランケンシュタイン』の怪物を産んだ科学者のファーストネーム、ヴィクターの女性名)といった名前にもあるし、枠物語という形式も、あるいは『フランケンシュタイン』に則っているのかもしれない。 但し、本作は単に『フランケンシュタイン』のパロディというだけではなく、ヴィクトリア朝という時代へのオマージュでもあるように感じる。言葉遊びも随所にちりばめられ、ベラの成長に合わせて彼女の手紙の文体も自由自在に変化し、奇才が天衣無縫に遊んでいるようにも見えてくる。何だか、著者の掌で転がされているような読み心地でもある。 映画は比較的フェミニズム的な視点が中心となっており、それはそれで2020年代「らしい」ようには思う。原作はそこだけにフォーカスしているわけではないと思うのだが、とはいえ、さまざまな解釈を許す懐の深さを持っている作品であるのかもしれない。 奇妙なお話である。 なぜ著者がこれに『哀れなるものたち』とタイトルをつけたのかはいま一つ掴み切れない。 生きとし生けるもの、すべて哀れなるものなのだ、という呵々大笑が遠くから聞こえるような気もする。

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2024/04/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ドグラ・マグラ読んだこと無いけどドグラ・マグラみたいだなと感じた。作中作というか、訳注や資料までも作品というか。 映画も見てないけど、いつか見たいと思ってる。死んだ女性の頭に赤ん坊の脳を入れて生まれ変わった女性が世界を周りさまざまな男性と付き合う性に奔放な話。自分らしさの話。自我の話。だと思っていたので読んでみると驚いた。 映画だとどうなってるかわからないけど、脳ミソのところはフィクション。まじかよ。 でもそれはどっちの言い分を信じるかの話なので。 ベラが結婚しようとした日に父親や前の夫が押し掛けてきて、追い払うところ好き。 キャンドルから見たベラ、弁護士のダンカンからみたベラ、キャンドルが書いた文章内でのベラの手紙内でのベラの様子など好きだな。 見た目は大人の女性でも子供のような知能や振る舞いや無邪気さが良いとされてるのはヘドが出るけど。キャンドルが書くベラの様子は、生き生きと思うがままに振る舞ってるようにしているが、結局のところは子供だと見なしており、妻としての役目も果たさせているところがヘドが出る。 でも面白かった。哀れなるものとはなにかとみんな考えるようだが、自分はそこまで考えなかったな。なにに自分は哀れむか下に見るかの話じゃないかなぁ。

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2024/04/07

映画の予告を見すぎて初めからマックスが書いたみたいな内容だということをすっかり忘れて読んでいて大きく映像化されたものと比べると違うな〜違うな〜とずっと思っていた。 それを念頭に読むべき一冊だった。だから、どこか編集されたような文章や内容だなと思っていた。 ともかく、挿絵や資料が...

映画の予告を見すぎて初めからマックスが書いたみたいな内容だということをすっかり忘れて読んでいて大きく映像化されたものと比べると違うな〜違うな〜とずっと思っていた。 それを念頭に読むべき一冊だった。だから、どこか編集されたような文章や内容だなと思っていた。 ともかく、挿絵や資料が豊富でたびたび目を通して映画も見てみたい。

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2024/02/26

今年(2024年)1月に日本で公開された映画の原作。いや、私の貧相な頭では理解が付いていかなかった。感想を書きようもない。映画とは全く違う感じでした

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2023/12/17

ものすごく凝っていると思った。始めは少しだらだら読んだけど中盤から何かおかしい感じが漂い、ラストでは一気。 映画が評判で読んだけど、こういう作りの物語はなかなか無いのでは。

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2023/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私の好きなヨルゴス・ランティモス監督が今度映画化するということだったので、映画公開前に読んでみた。 最初はフランケンシュタインの話のように荒唐無稽なゴシック小説かと思いながら読み進めていたら、途中から女性や労働者階級の人々がいかにモノ扱いされ、不当に踏み躙られてきたかが語られるようになり、最終的にはそれら全てがひっくり返される…という話だった。 注釈の部分も立派な本文の一部なので、あとがきの直前までは作品としてしっかり読んだほうが良い。

Posted byブクログ

2019/02/04

中身とは関係ないけど著者の名前の綴りはAlasdairなのにカタカナだとアラスターなのが気になってしまった。

Posted byブクログ