予告された殺人の記録・十二の遍歴の物語 の商品レビュー
目の前で起こっているような現場感。マルケスの醍醐味満喫。もっと血生臭いかと予想してましたが、とにかくマルケスの文章がうまいのでスイスイ読めた。 後半の短編もすごくいい。どれもいい。
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前半は人間が覚えられなくって、あけすけな行動に慣れなくって読む手が進まなかった。 ただ話が進むにつれてなんだこれは。 名誉殺人、名誉殺人を犯す者の名誉を守るために噤まれる口、他者への潜在的な区別と脅え、小さな綻びが繋がりブレーキが掛からなくなって転がり落ちていく。 1度目の死...
前半は人間が覚えられなくって、あけすけな行動に慣れなくって読む手が進まなかった。 ただ話が進むにつれてなんだこれは。 名誉殺人、名誉殺人を犯す者の名誉を守るために噤まれる口、他者への潜在的な区別と脅え、小さな綻びが繋がりブレーキが掛からなくなって転がり落ちていく。 1度目の死に様、2度目の殺され方の描写が鮮明すぎて鳥肌が立つ。 絶対にもう一度読む、評価は二度目に改めたい。 (途中でほのかに太宰さん宅のかず子/斜陽 の匂いがして、一瞬で別物になる。この本を読んで、かず子が没落貴族として完璧な人格であったというスタンディングオベーションが起こった)
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ラテンアメリカ文学。 短編はトスカーナやそれ以外の地域もでてくる。 血生臭く、怪しげで想像を超えた世界に誘われる。 『聖女』の不思議さ。 予告されたはもう一度再読しよう。
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百年の孤独。。。そのタイトルの重さにびびり、読みたいという気持ちもありつつ、そのままにしていた作家であるガルシア=マルケス。 意外と最近の人だった。 そして、意外に翻訳がいいのか、さらりとして軽快なタッチで読めた。 タイトル作は、推理小説になるのかな?コロンボ式に、犯人が分かっ...
百年の孤独。。。そのタイトルの重さにびびり、読みたいという気持ちもありつつ、そのままにしていた作家であるガルシア=マルケス。 意外と最近の人だった。 そして、意外に翻訳がいいのか、さらりとして軽快なタッチで読めた。 タイトル作は、推理小説になるのかな?コロンボ式に、犯人が分かっていて、その動機も過程で明らかになるけれど、なんと真実がはっきりしないし、主人公の不思議な設定もそのまま。 普通の推理小説なら、明らかになることが明らかにならず、解いていくはずの謎が最初から明らかであるという設定は、意外にもどうなるの?どうなるの?と結果が分かっているはずなのに、結構ワクワクした。
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表題作「予告された殺人記録」は傑作だと有名だから読んでみた。良かったです。 花嫁を穢したの誰よ?が気になってしまいましたが、見るところ間違えました。 殺人が堂々と予告されながら、誰も止めることができなかった所に目を向けるんですね。 そうなっても、なんの疑いもないなと失望とまではい...
表題作「予告された殺人記録」は傑作だと有名だから読んでみた。良かったです。 花嫁を穢したの誰よ?が気になってしまいましたが、見るところ間違えました。 殺人が堂々と予告されながら、誰も止めることができなかった所に目を向けるんですね。 そうなっても、なんの疑いもないなと失望とまではいかないけど、何か堕ちた気分になりました。
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「予告された殺人の記録」 めくるめく読書体験。読んでいて、目が物語を追いかけている感覚になった。体が引っ張られる。耳が街の喧騒を聞く。そこここに人が。まるで自分が作中人物の一人になったよう。 生々しい情報量に圧倒されるも、全く読みにくさはなく、物語はとてもスムーズに進む。時間は前...
「予告された殺人の記録」 めくるめく読書体験。読んでいて、目が物語を追いかけている感覚になった。体が引っ張られる。耳が街の喧騒を聞く。そこここに人が。まるで自分が作中人物の一人になったよう。 生々しい情報量に圧倒されるも、全く読みにくさはなく、物語はとてもスムーズに進む。時間は前後し、人は入り乱れるが、事件そのものは驚くほどブレない。ただ、誰もが導かれるようにその事件へと突き進んでたどり着く、そういう印象である。 これがマジックリアリズムというものか、と思った。すごい体験だ。 「十二の遍歴の物語」 「予告~」に圧倒されたため、どうもこちらの印象は薄い。登場人物の造形がきれいすぎるというか……あまりリアリティを感じられないものが多かった。
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なんだろう、マルケスの作品では何かしら鮮烈な出来事(死ネタ多し)が起こることが多いけれど、それが暴力的な勢いで迫ってくるのではなくて、不思議なゆったりとした雰囲気に包まれている。 非現実的なようでいて、空気感や匂いが感じられるようでもあり、 美しいとさえ思える瞬間もあるが、 小さ...
なんだろう、マルケスの作品では何かしら鮮烈な出来事(死ネタ多し)が起こることが多いけれど、それが暴力的な勢いで迫ってくるのではなくて、不思議なゆったりとした雰囲気に包まれている。 非現実的なようでいて、空気感や匂いが感じられるようでもあり、 美しいとさえ思える瞬間もあるが、 小さな子供のような下劣なジョークも混じる。 私などではつかみどころがない、 しかし好きなのである。 不思議。 相変わらずタイトルが魅力的。
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なぜ殺人が起こったのか、結局それは誰にもわからない。狭いコミュニティの中に異分子が入り、歯車がずれ始めたことによって危ういバランスで保たれていたものが一気に崩れ去る様が、ユーモアと不思議さと色彩を持って描かれている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『予告された殺人の記録』 町を挙げた結婚式の翌日、殺害されたサンティアゴ・ナサール。予告された殺人。町の誰もがサンティアゴ・ナサールが殺害されることが分かっているのになぜ彼は殺されたのか?結婚式の当事者の発言。 『十二の遍歴の物語』 『大統領閣下、よいお旅を』 亡命したカリブ海の島国の大統領。スイスでの生活の中病にかかり病院で出会った母国の男性。男の目的は葬儀会社への紹介での手数料。元大統領の亡命生活。 『聖女』 娘を亡くしたマルガリート・ドゥアルテ。彼の娘は死後も腐敗することなく生きている間の姿のまま。聖女としての序列を求めバチカンにやってきたが・・。認められない聖女。22年の歳月。 『眠れる美女の飛行』 旅の途中で見かけた美しい女性。飛行機の中で隣の席に座った男の一晩の行動。 『私の夢、貸します』 ハバナのホテルで起きた事故での死亡者の中にかつて出会った女性フラウ・フリーダ。彼女の夢にいる予言の物語。 『電話をかけに来ただけなの』 山道で車が故障し通りかかったバスに乗り込んだマリア。電話をかけにやってきたはずの精神病院で患者として監禁されてしまうマリア。マリアの行動に疑惑を持っていた夫の行動。 『八月の亡霊』 幽霊の出るという家で一晩を過ごした男の体験。 『悦楽のマリア』 葬儀屋を呼び死に備え始めたマリア。死に備えはじめた彼女のの周囲で起きる日常の事。死についての彼女の気持ち。 『毒を盛られた十七人のイギリス人』 プルデンシア・リネーロ夫人。敬虔なキリスト教の信者である彼女の生活。教皇の告解を望む彼女の生活。 『トラモンターナ』 スウェーデン人の若者たちに絡まれるガダケス。死に至る直前までの彼の行動。 『ミセス・フォーブスの幸福な夏』 少年時代の家庭教師ミセス・フォーブスの思い出。弟のミセス・フォーブスに対する抵抗。 『光は水のよう』 マンションに棲みながら船を欲しがる息子。水のない代わりに光を水と見立てて遊ぶ息子。光が満ちる町。 『雪の上に落ちたお前の血』 10年ぶりの大雪に見舞われたパリにやってきた夫婦。妻の怪我。病院に向かう夫婦の会話と事件。
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カーニバルの合間に暴走した掟とマチズモに殺された、恐らくは無実であろう男を軸に描かれる群像劇。鮮烈。後の短編も素晴らしいが、奇想を肉付ける長さがあるほうが僕個人的には好みの様です。
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