バベル-17 の商品レビュー
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本書は、1967年にネビュラ賞を受賞したサミュエル・R・ディレーニのSF(スペースオペラ)。 インベーダーからの攻撃を受ける際に傍受される謎の通信<バベル-17>。この通信が言語であると解釈した詩人・リドラ・ウォンは、<バベル-17>を解明するため、軍のバックアップを受けて宇宙船や(個性豊かな)船員を揃え、次の攻撃予想地点へ旅立つが、インベーダーによる見えざる攻撃に翻弄される――――。謎の通信<バベル-17>の正体とはいったい? で、結論はと言うと、<バベル-17>とは、兵器開発者であるヴェル・ドルコ男爵が開発したスパイ用人造人間(どちらかというとデザイナーズチャイルドか)TW-55型と、それらを制御するために人体改造された男爵の息子・ナイルズ(=ブッチャー)を、インベーダーが兵器として逆利用するために開発した妨害・撹乱通信であった・・・多分。。。(仕組みとしては、思考回路にパラドックスを引き起こさせる命令を送り、更には"私"という概念をなくすことで、パラドックスに陥った際の自省機能を抑え込んで機能不全に至らしめるというもの・・・多分。。。) スペースオペラと言われているように、物語の解釈を楽しむというより、テキストから情景を思い浮かべて楽しむ作品と感じた。特に、リドラと供にする船員らは半獣であったり、霊体であったりと個性豊かな面々が揃っており、彼らが宇宙船を駆って冒険する姿を思い浮かべている時間が一番楽しかったように思う。(なんとなくイメージしたのは「スペースコブラ」の世界。)
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スペース・オペラにしては難解 表紙 6点中西 信行 展開 7点1977年著作 文章 5点 内容 550点 合計 568点
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「ダールグレン」のディレイニー。じつはまだちゃんと読んでなかったのでこれを機に。 表面的にはスペース・オペラだけど中身はそうじゃない感じでけっこう好きです。 フォートランとか時代を感じさせる言葉もでてくるけど、やっぱりディレイニーは頭がいい人なんだなと感じました。
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コミニケーションの道具として「言語」は主に存在しているが、誰とのコミニケーションのために必要なのか気付かされる。「スペースオペラ」という外への広がりと、「言語」を通しての内側の探求が気持ち良く結びついている。
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同じ講演会の推薦図書。 SFで宇宙旅行もの、ただし主人公の女性が詩人、翻訳家であるので、言語学的アプローチが多いです。 神狩り同様、未知の言語バベル17を追う話となっています。 神狩りが構造分析についてよく語っているとすれば、こちらはどちらかといえば概念とかの方に重きが置かれ...
同じ講演会の推薦図書。 SFで宇宙旅行もの、ただし主人公の女性が詩人、翻訳家であるので、言語学的アプローチが多いです。 神狩り同様、未知の言語バベル17を追う話となっています。 神狩りが構造分析についてよく語っているとすれば、こちらはどちらかといえば概念とかの方に重きが置かれているイメージ。 私、とあなた、について語りは個人的には好きです。 惜しむらくはラストです。話がすべて片付き、それでは最後の色々回収、のところでまさかの終わり。 ぶちっと切れてしまっているイメージです。おいおいおいおいってなってしまった。 全体の話はとても面白いです。次、次、次と次が気になる。 ただ、特に説明もなしに「インベーダー」とか幽霊とかが出てきます。 SFならあってあたりまえかな、みたいなものは説明なしに出てくるので!慣れるまでは少し分かりにくかったです
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「ほんのまくら」フェアで入手した一冊。なかなか手をつけられなかったんですが、読み始めたらノンストップでした。すんげー面白いです。うんちくやしかけ的な部分もさることながら、キャラクター造形がとても好みで、再読も楽しみ。ディレイニー作品は他に「コロナ」しか読んだことが無いが、キャラク...
「ほんのまくら」フェアで入手した一冊。なかなか手をつけられなかったんですが、読み始めたらノンストップでした。すんげー面白いです。うんちくやしかけ的な部分もさることながら、キャラクター造形がとても好みで、再読も楽しみ。ディレイニー作品は他に「コロナ」しか読んだことが無いが、キャラクターがみなとても優しくて躍動的でチャーミング。読んでて幸せな気分になる空気をまとっているので好き。 余談。この表紙だと自分はジャケ買いはしなかったと思うので、「まくら」で売って正解なタイトルだったと思う。出会い、あったよ…!
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最初いやぁな感じの詩人リドラがだんだんチャーミングになるから不思議。ただ、やっぱり翻訳だとわかりづらい気がしてあまり楽しめず、結局原書を買った。でも言語SFって実はすごくないか!!
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ヘレン・ケラーの伝記のように感じました。 公衆電話が出てくる。スマホ(ケータイ)が出てこない。 情報の記録媒体がテープ。穴を開けるらしい。コンピュータ史の授業で少し習った気がする… 普通です。 真ん中あたりが面白かったです。 言語に関するお話でした。 少しの言葉で多くの情報を表...
ヘレン・ケラーの伝記のように感じました。 公衆電話が出てくる。スマホ(ケータイ)が出てこない。 情報の記録媒体がテープ。穴を開けるらしい。コンピュータ史の授業で少し習った気がする… 普通です。 真ん中あたりが面白かったです。 言語に関するお話でした。 少しの言葉で多くの情報を表せる言語があれば便利だなという感じです。 確かに便利だけど、メモリがすごくたくさん必要なので、習得するのは大変そうだと思いました。
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言語学をテーマにしたSFと聞いて興味を持ったので手に取ってみた。 リドラ・ウォンは敵エイリアンが使っている「バベル17」と呼ばれる言語を解読し習得する。さらにバベル17が優れた言語であることに気づきどんどんバベル17使って思考するようになったとき、知らないうちに自分の思考をバベ...
言語学をテーマにしたSFと聞いて興味を持ったので手に取ってみた。 リドラ・ウォンは敵エイリアンが使っている「バベル17」と呼ばれる言語を解読し習得する。さらにバベル17が優れた言語であることに気づきどんどんバベル17使って思考するようになったとき、知らないうちに自分の思考をバベル17に乗っ取られてしまうようになる。 思考やコミュニケーションに使う言語が話者の認識を決定しているという「サピア=ウォーフの仮説」という言語学の仮説があるが、『バベル17』の設定とストーリーはこの仮説を思い出させる。 各国の言語やバベル17で「円」という言葉を翻訳することで問題を解決するシーンやバベル17で思考することで敵宇宙船の布陣の弱点を突く野に成功するシーン、三角形の集まりでできた網をいとも簡単に破ってしまうシーンなど言語が思考や認識に影響を与えることを扱ったシーンが詳細な描写で描かれていて、言語を勉強している人間としてはとても面白く読めた。 とくに「あなた」と「わたし」が逆になったまま会話が交わされるシーンはまさにこの小説のハイライトだろう。 ただ、「プログラミング言語のようなもの」と作中で説明されているバベル17が人間の思考となじむのか、プログラミング言語に思考を乗っ取られてしまうようなことがありうるだろうか・・・という気もするけど、まあそこはSF小説なので。 とにかく、言語を通じてエイリアンから侵略をうけるというアイデアはすごく面白い。 中盤まではテンポよく読めるが、ラストはいまいち納得がいかない。バベル17の支配から解放された方法もなんだか適当すぎるように思った。バベル17に徐々に支配されていく描写がとてもていねいだっただけになおさらだ。 しかし総合的にみれば斬新なアイデアも面白いし、スペースオペラとしても冒険心をくすぐられて素直に楽しい。オススメ!
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言語と宇宙は同じである。広大な夥しいほどの数の所有。幽霊と感覚は奇妙である。存在の有無にかかわらず感知することができる。チョコレートのようだ。ABC。DEF。これぞSFっていうSF。
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