なんとなく、クリスタル の商品レビュー
ページを開くと右側が…
ページを開くと右側が本文、左側がその注釈。この一足飛びのように思えつつも、実は注釈を読むほうが時間が掛かったりする、妙なつくりの本。読む視点は沢山ありますが、僕は注釈が聞いたことも無い「ブランド」から、「鴎外記念館」まで非常に幅広いことに驚かされました。
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一昔前の、要領よく遊…
一昔前の、要領よく遊んでる感じの女子大生が主人公の小説。当時流行っていたと思われるものと、その解説がたくさんあって、おもしろいし、著者が、こんなにもたくさんの当時の流行を、細かく知っているのにびっくりした。
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風俗を捕らえて新鮮だ…
風俗を捕らえて新鮮だが、風俗の向うに突き抜けての表現にはまだ遠いだろう。ということで3点。
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本書の名前は知っていたけれど、ラジオで話題にのぼっていたので読んでみました。 文庫本を開くと、左側のページに注釈がみっちり。「注釈文学」というらしいのですが、注釈といえばよくある事務的な注意事項とは違い、物語に登場するあれこれ(主にブランド)を嘲笑的に紹介しています。副読本や音声...
本書の名前は知っていたけれど、ラジオで話題にのぼっていたので読んでみました。 文庫本を開くと、左側のページに注釈がみっちり。「注釈文学」というらしいのですが、注釈といえばよくある事務的な注意事項とは違い、物語に登場するあれこれ(主にブランド)を嘲笑的に紹介しています。副読本や音声解説のような印象を受けました。 物語は、バブル前夜で景気の良かった日本を舞台に、モデルの大学生の日常を綴ったものです。「何も考えていない」アホな女子大生というよりは、「自分なりのこだわり」を持ちながら、そのときの気分で行動を選んでいく人物として描かれています。生産性のない消費活動の連続ではあるのですが。 失われた30年を経た令和の時代に読むと、いろいろ考えさせられます。元気な日本が描かれていますが、どこか浮かれている時代に見え、キラキラした当時を謳歌する人々を全く羨ましく感じませんでした。そして唐突に物語は終了し、ページをめくると出生率の低下に関するデータが書いてあって、なんとも不気味な読後感でした。 作者はこの華美な狂騒の裏で、当時からすでに日本の未来に警鐘を鳴らしていたのでしょうね。 たとえば当時流行していたシティポップが最近リバイバルしているようです。今の若者たちが「一周回って新しい」文化を楽しんでいる。これをどう捉えようか。そんな問いに本書は興味深い視点を与えてくれるのかもしれません。
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今読んでも十分衝撃的なのに80年代だったら尚更だろうなと思います。 そして注釈を読んでいると、作者は嫌なヤツだろうなと思わされてしまいます。 本自体は一瞬で読めます。半分は注釈なので。
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30代の若者が「おしゃれな本(知的に見えたりセンスの良さを感じる内容)を教えてほしい」との発言に、その場にいた初対面のみんなで悩み、おじさま方が「僕らの世代だと『なんとなくクリスタル』かなあ」と答えたのが印象的で読んでみた。 地名や店名やブランド名や音楽なカルチャーが出てきて、今...
30代の若者が「おしゃれな本(知的に見えたりセンスの良さを感じる内容)を教えてほしい」との発言に、その場にいた初対面のみんなで悩み、おじさま方が「僕らの世代だと『なんとなくクリスタル』かなあ」と答えたのが印象的で読んでみた。 地名や店名やブランド名や音楽なカルチャーが出てきて、今もある、もうないかも、と答えあわせは楽しかった。物語は全く好きじゃなかった。主人公が大学生やりつつ、なんとなくファッションモデルをしてて、そのバイトで月に40万円稼いでいで、そりゃなんとなくクリスタルにもなってしまうわなあ、と思った。 今の閉塞感しかない時代ってなんだろう。
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ノスタルジーでどことなく違う世界を見ているようだった。大学生活を送る傍らモデルと音楽活動をして、当時の服や音楽に身を染める。 足りないものはクラブなどに行き身体の交わりや精神的な通じ合いを通して埋める。 自分とは違う生き方をしている人の、瞬間をのぞいてるみたいだった。 読み...
ノスタルジーでどことなく違う世界を見ているようだった。大学生活を送る傍らモデルと音楽活動をして、当時の服や音楽に身を染める。 足りないものはクラブなどに行き身体の交わりや精神的な通じ合いを通して埋める。 自分とは違う生き方をしている人の、瞬間をのぞいてるみたいだった。 読み返すことはないだろうけど、この本でしか味わえない当時の雰囲気や流行り廃りの空気感が伝わってくる。
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1980年のある女子大生のクリスタルな日々を固有名詞を多量に用いながら綴られた作品。まだ日本の経済が上向きで景気も良く、裕福な大学生はブランド品に身を包み、講義そっちのけで恋愛に奔走する姿そのものを描いている。オイルショックを乗り越え、バブル崩壊を前にした80年代初頭は戦後日本で...
1980年のある女子大生のクリスタルな日々を固有名詞を多量に用いながら綴られた作品。まだ日本の経済が上向きで景気も良く、裕福な大学生はブランド品に身を包み、講義そっちのけで恋愛に奔走する姿そのものを描いている。オイルショックを乗り越え、バブル崩壊を前にした80年代初頭は戦後日本で一番いい時代だったのかなと思いながら読み進めていた。 見開きの右側に本文のテクストを左側に膨大な註釈を配置した独創的な手法をとり、ストーリーも含めて枠に当てはまらない作品である。 肝心のストーリーは令和の時代に読むと、ブランドや価値観には古さは否めないが、根底にある女子大生像は令和も80年代も変わってはいないのだろうと考える。 好き嫌いや心地よさなどの感性による選択、記号的な物質的表現による自己表現とともに生きる若者の姿は今の時代にも通じる。 既存の枠に当てはまることのないこの作品はこれからの現代純文学の可能性を多大に感じた。
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田中康夫氏のデビュー作。 本作がベストセラーとなったことにより氏は職業作家に転身し、その流れでタレント活動を行い、現在は政治家として活躍しています。 都内に一人で住む裕福な女子大生の生活を中心にした小説です。 彼女は大学に通う傍ら、ファッションモデルとして活動していて、海外に行...
田中康夫氏のデビュー作。 本作がベストセラーとなったことにより氏は職業作家に転身し、その流れでタレント活動を行い、現在は政治家として活躍しています。 都内に一人で住む裕福な女子大生の生活を中心にした小説です。 彼女は大学に通う傍ら、ファッションモデルとして活動していて、海外に行っている両親の仕送りに加えて、月40万円以上の収入があります。 また、彼氏の淳一は、有名バンドのリーダー兼キーボード奏者で、全国ツアー中とです。 有名ブランドに身を包んでいながらも一定のポリシーを持った日々を送っており、当時の女子大生憧れの生活をしています。 作中では、ある程度裕福でないとわからない単語が多数登場します。 例えば、作中、以下のような文章が出てきます。 "テニスの練習がある日には、朝からマジカかフィラのテニス・ウェアを着て、学校まで行ってしまう。" "でも、一番着ていて気分がいいのは、どうしてもサン・ローランやアルファ・キュービックのものになってしまう。" これらブランド名は実在のもので、各ブランドの特徴や、ここで登場する意図が注釈という形で説明されます。 その数が総数442個あり、ページの半分が注釈で埋まっているのが特徴です。 洋服ブランド以外にも、カバンや靴、日用品、音楽グループ、曲、地名や、当時流行っていた言い回しなんかにも注釈が入っていて、ブランド名などは現在も参考になるものが多いです。 ややスノッブな感じがしますが、注釈を読むだけでも面白いです。 読んでいると、注釈がメインなのではないかと感じることもあります。 徒然草を想起するところがあり、「これがいい、だけどこのときはこっちがいい、でもやっぱりあれがいい」という感じで、次々ブランド名が登場し、その注釈がつきます。 ブランドのこだわりや聞いている曲のタイトルで文章のほとんどが埋まっていて、ストーリーはあって無いような感じでした。 その一方で、セックスの描写が濃厚で、現代の中高生向けでは無いと思います。 バブル景気も手伝って、本作に登場するブランドや音楽を模倣した結果、頭空っぽのままブランド品をぶら下げる女子大生を増やしてしまった作品です。 衒学的な面白さはありますが、文学小説として称賛できる作品かというと、賛否があると思います。
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もちろん江藤淳の選評、そしてそれを常に引用する大塚英志の批評が好きだったので、元をたどらなければと漠然と思っていたのだけれど、どうにも引用されている文章を読むと男が描いた女の空虚さみたいなものがある気がしていて、読む気が起きていなかった。ところが、読み始めてみると失礼ながら意外に...
もちろん江藤淳の選評、そしてそれを常に引用する大塚英志の批評が好きだったので、元をたどらなければと漠然と思っていたのだけれど、どうにも引用されている文章を読むと男が描いた女の空虚さみたいなものがある気がしていて、読む気が起きていなかった。ところが、読み始めてみると失礼ながら意外にも(!)とても面白くて、あまりの面白さに驚いてしまった。そういえば、この本に対する女の意見みたいなものは読んだことがなかったことを思い出した。男が描く女に対して、男が「こんなものは女を描くとしてどうなんだ」と文句をつけていることが多々あるのだけれど、私は意外と、男が描く女の弱さに、時おり真に迫るものがある気がすることがあり、これもその一種だった。江藤淳はかつて、「女が男をよく書くときには嘘っぽくなるのに、嫌なところを描く筆はあまりに正確で迫力があって怖い」的なことを言っていたと思うけれど、私も時々これを思う。男が女を礼賛するときは嘘っぽくなるのに、女の弱さみたいなものを描くときに、自分の芯が見透かされたみたいな気がしてぞっとする。
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