サンダカン八番娼館 の商品レビュー
からゆきさんという生き方があって、その記録・調査研究。 すでに100年位前、大正・昭和初期頃までか。生きるためには自分の身体を売る必要があった女性達がいた。という。裕福になったであろう、現代の日本からは想像することは難しい。 からゆきさんの生活を、3週間共に生活して、取材してまと...
からゆきさんという生き方があって、その記録・調査研究。 すでに100年位前、大正・昭和初期頃までか。生きるためには自分の身体を売る必要があった女性達がいた。という。裕福になったであろう、現代の日本からは想像することは難しい。 からゆきさんの生活を、3週間共に生活して、取材してまとめたものである。本書全体から感じられるのは、おサキさんのたくましさと、人柄の良さ。生活は貧困だが、人間としての底辺にはなっていない。 研究論文として読めば、作者はなんと自分勝手なのだろうと感じてしまう。それが記録を作るためには必要なのだろう。調査は、戸籍等も調べているようで、今の情報保護とは随分違う。女性の視点から、生活者の立場からは、良い著作と思われる。もう証言を得ることは出来ないし、貴重である。 日本を考える良い機会となった。
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普段の自分の選書では出会うことはなかった書籍。切なくも美しい響きがある「からゆきさん」達の人生を掘り起こす。ここまで書ける著者に、被害者にしてアジア侵略初期における先遣隊と言わしめる、悲しい存在である「からゆきさん」の写真を見ていると呆然とする。 ある「からゆきさん」の言葉。「お...
普段の自分の選書では出会うことはなかった書籍。切なくも美しい響きがある「からゆきさん」達の人生を掘り起こす。ここまで書ける著者に、被害者にしてアジア侵略初期における先遣隊と言わしめる、悲しい存在である「からゆきさん」の写真を見ていると呆然とする。 ある「からゆきさん」の言葉。「おまえが何も話さんものを、どうして、他人のうちが訊いてよかもんね」
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
かつて東南アジア一帯にて売春婦として働かされていた、 「からゆきさん」と呼ばれた女性達について、 著者の取材を経て書かれた一冊。 明治・大正初期の日本国家が国力を得る為の外貨入手策として、 「からゆきさん」を利用していた、という記述には考えさせられた。 第二次世界大戦の敗戦後、GHQ統治下時に造られた慰安所も、 目的としては、進駐軍による一般女性への強姦抑止と同時に、 復興の為の外貨獲得もあったのではなかろうか。 騙されて海外に売り飛ばされ、 渡航中にも憂き目に遭っていた「からゆきさん」の 存在を知ったのも衝撃的だったが、 巻末部の「東南アジアと日本」に記されていた、 日本軍による東南アジア原住民に対する 虐待行為も衝撃的であった。 当時の日本軍も、アブグレイブ刑務所での虐待事件と 同様に異常な環境がそうさせたのだろうか。
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幕末から明治期を経て,大正中期までに存在した海外売春婦,「からゆきさん」について書かれた本である。後半は,「サンダカンの墓」が収録しており,こちらは紀行文といえる。 売春婦といっても自ら望んだのではなく,貧困のあまり,行かざるを得なかった,騙されて連れて行かれた者ばかり。 その事...
幕末から明治期を経て,大正中期までに存在した海外売春婦,「からゆきさん」について書かれた本である。後半は,「サンダカンの墓」が収録しており,こちらは紀行文といえる。 売春婦といっても自ら望んだのではなく,貧困のあまり,行かざるを得なかった,騙されて連れて行かれた者ばかり。 その事実を知ることができただけでも読む価値はあった。 が,著者の取材方法については,最後まで好感がもてなかった。
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宮本輝の小説みたい。時代背景が近いからかな。果てしないパワーと生命力を感じる。時代が違うとこうも違うのかと。だいたい、文盲でこれだけの行動力というのが信じられないよね。ただただあっぱれ。 地理と歴史はやっぱり人生設計する上では必須だ。小さいころにここら辺がもっとわかってればな~。...
宮本輝の小説みたい。時代背景が近いからかな。果てしないパワーと生命力を感じる。時代が違うとこうも違うのかと。だいたい、文盲でこれだけの行動力というのが信じられないよね。ただただあっぱれ。 地理と歴史はやっぱり人生設計する上では必須だ。小さいころにここら辺がもっとわかってればな~。せめて小学生を卒業するまでには世の中の仕組みがだいたい分かっているように教育しなければ。
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天草で出会ったおサキさんという一人の老女との出会いを通して、「からゆきさん」と呼ばれた娼婦たちの悲劇を丹念に取材した傑作です。 筆舌に尽くせぬ苦労を味わったオサキさんですが、その苦労ゆえか思いやりに溢れた心で、著者を実の娘のように慈しむ姿に感動します。 この作品が単なる...
天草で出会ったおサキさんという一人の老女との出会いを通して、「からゆきさん」と呼ばれた娼婦たちの悲劇を丹念に取材した傑作です。 筆舌に尽くせぬ苦労を味わったオサキさんですが、その苦労ゆえか思いやりに溢れた心で、著者を実の娘のように慈しむ姿に感動します。 この作品が単なるノンフィクションに終わらず、感動的な余韻を残すのは、ひとえにおサキさんの清らかな心に触れることができるからであり、絶望の中でも人間性を失わずに生き抜いた尊厳性に読み手側が感化されるからです。 泥沼の中から花を咲かす蓮のように、汚辱のなかを清廉な女性が生き抜いてきたという歴史は、何にもまして伝え残していかなければならないものだと思いました。
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図書館の本 内容(「BOOK」データベースより) “からゆきさん”―戦前の日本で十歳に満たない少女たちが海外に身を売られ、南方の娼館で働かされていた。そうした女性たちの過酷な生活と無惨な境涯を、天草で出会ったおサキさんから詳細に聞き取り綴った、底辺女性史の名著新装版。東南アジア...
図書館の本 内容(「BOOK」データベースより) “からゆきさん”―戦前の日本で十歳に満たない少女たちが海外に身を売られ、南方の娼館で働かされていた。そうした女性たちの過酷な生活と無惨な境涯を、天草で出会ったおサキさんから詳細に聞き取り綴った、底辺女性史の名著新装版。東南アジアに散った女性たちの足跡をたどるルポルタージュ『サンダカンの墓』も収録。
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明治時代にボルネオのサンダカンに「からゆきさん」としてわたった女性を聞き取りして描いたノンフィクション。映画化もされており、いつまでも、心に残したい作品です。
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おサキさんのやさしさと懐の深さに感動した。紀行文としてもおもしろかったが著者は悪気なくナチュラルに上から目線でそこにもやもやした。
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からゆきさん・・・ 明治中頃の戦前の日本で幼い少女たちが海外へその身を売られ 娼館で働かされていた。 その女性達はからゆきさんと呼ばれていた。 衝撃でした。
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