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昭和維新の朝 の商品レビュー

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2011/10/13

「暴力のかくうつくしき世に住みてひねもすうたふわが子守うた」主人公のひとり齊藤史の歌であるが、とても恐ろしく意味深い歌である。 暴力のかくうつくしき世とは、二・二・六事件に決起し、要人を暗殺した青年将校にとって、あるいはその行為を支持する者たちにとってはうつくしいかも知れないが、...

「暴力のかくうつくしき世に住みてひねもすうたふわが子守うた」主人公のひとり齊藤史の歌であるが、とても恐ろしく意味深い歌である。 暴力のかくうつくしき世とは、二・二・六事件に決起し、要人を暗殺した青年将校にとって、あるいはその行為を支持する者たちにとってはうつくしいかも知れないが、暴力は決してうつくしくはないはずだ。史はそれを敢えて歌に詠むことを懼れていない。相当な覚悟がいることであっただろう。そこに彼女の強靭な精神を視る。それにしても、短歌とはこんなに美しく私の胸に響くとは・・・。

Posted byブクログ