ラジオ・キラー の商品レビュー
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ラジオ・キラー 前作「治療島」と同じように真相が二転三転するジェットコースター小説であります。 今回の舞台はラジオ局に立てこもった犯人とその交渉人とのやりとりを物語の中心に据えて、その裏の陰謀を巡る真相が徐々に明らかになり、最後に鮮やかな謎解きが成されます。 犯人は定石通り?意外な人物ですが、あまりにも定石通りの意外さなので途中で何となく解ってしまいました。 今回はキャラクター造形にちょっと雑なところが目立ち、あまり共感できなかった面はありますが、楽しませてもらえることは間違いありません。 月並みですが、ハリウッド流の陰謀+活劇+意外な結末がお好みの方は是非ご一読を。 竹蔵
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すごいなー! というのが感想。私が時系列で読んでないから特におどろいたんだけど、この作品が2作目?え。 この後のサイコブレイカーや座席ナンバーなんかの、後半一気に登場人物たちが雪崩れ込むように物語に投げ込まれて、もみくちゃになりながらも(そして神の手による残酷な取捨選択が勢いよくなされた結果)ものすごいスピードでゴールに連れて行かれるパターンが、ここでもう完成されてる! この人が放送局で働いていたことも関係するのかな?色々な人に揉まれてみたり考えたりアウトプットしたりしていたんだろうか? わたしは作品のカテゴリーに詳しくないのでサイコサスペンス、というものがどんなものなのか今ひとつわかってないんだけど、悩める主人公、度肝を抜くメインの事件、これでもかと起こるありえない状況、信じられない人物相関図、最後の着地点にそっと置かれる主人公へのギフト(的な悩みへの解決)…これがもしサイコサスペンスの要素だとしたら、もう五体投地するしかない。 あまりにこの作家さんが気になって色々漁ったら、英語のwikiに掲載のドイツ語の作品は22あり、日本語のwikiで邦訳作品はたった7!!! うそでしょ。ああ、生まれてこの方ドイツ語を学ばなかったことをここまで後悔したことはないよ。
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ドイツの小説は初めて読んだけど面白かった。スピーディーかつ劇的に変わっていく状況のハラハラしっぱなしの展開だった。 ラジオ局に人質を取り立て篭もった犯人からかかってきた電話にキーワードを正確に答えられないと人質が殺される。そんなシチュエーションから始まる。 ただし単純なサイコパス...
ドイツの小説は初めて読んだけど面白かった。スピーディーかつ劇的に変わっていく状況のハラハラしっぱなしの展開だった。 ラジオ局に人質を取り立て篭もった犯人からかかってきた電話にキーワードを正確に答えられないと人質が殺される。そんなシチュエーションから始まる。 ただし単純なサイコパス的なものではなくて、複雑な人間関係やら家族とのしがらみやら警察の動きやら何やらが入り混じってきて、抜群に面白くなっていく。 最初の方は登場人物が多すぎて誰がが誰やら分かりにくかったが、途中からはキャラの立ち位置や背景が明らかになっていった。しかもコロコロ変わっていくものだから、味方なのか敵なのか、嘘ついてるのか本当の事なのかが、最後の最後まで分からない。だから気になって最後まで読んでしまう。 同じ作者の他の作品も読んでみたい。
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ベストセラーを連発するドイツの新鋭フィツェック2007年発表の第二作。一般市民をも巻き込んだ特異な犯罪の顛末を描く。 ベルリンのラジオ局を一人の男が占拠した。放送を通して、或る条件を満たさなければ、人質を順に殺していくことを告げる。要求は、行方不明となった婚約者を捜し出すこと。...
ベストセラーを連発するドイツの新鋭フィツェック2007年発表の第二作。一般市民をも巻き込んだ特異な犯罪の顛末を描く。 ベルリンのラジオ局を一人の男が占拠した。放送を通して、或る条件を満たさなければ、人質を順に殺していくことを告げる。要求は、行方不明となった婚約者を捜し出すこと。だが、その女レオニーは半年以上も前に自動車事故で死亡していた。男は、謀略による擬装された死であることを主張する。爆弾と銃で武装した実行犯の名はヤン・マイ。狂気を秘めつつも、周到な計画や言動から、少なからずの教養を感じさせたが、遂には最初の犠牲者が出てしまう。一方、警察はレオニー死亡時の状況を再調査しつつ、ヤンとの駆け引きを続けるが、上層部は武力突入を強行する人命無視の不可解な動きを見せた。交渉の主担当としてベルリン警察特別出動隊のイーラ・ザミーンが呼び出されるが、彼女自身も大きな問題を抱えていた。不特定多数の聴取者のみが人質の命運を左右する緊迫した状況の中で、事態は予測不能の展開へと急速に流れていく。 サイコ・スリラーという触れ込みだが、序盤早々で知能犯であることを示唆し、以降も猟奇的な犯罪を描くことはない。二重三重にツイストを利かせたプロットはスピード感に満ちるが、アイデアを盛り込み過ぎて、やや雑になっているという印象。主要人物らは、それぞれの動機を抱えて行動するのだが、中には首をかしげる動因もあり、人間はそれほど短絡的ではないという思いがした。 主人公格となる交渉人イーラは、長女が自殺するという心的外傷を抱えたアル中で、常に自殺願望に捕らわれている。追い打ちを掛けるように、人質の中には疎遠となっていた次女が含まれており、子を二人とも失いかねない恐怖のもとで、イーラは決死の交渉に臨んでいく。中盤以降は、イーラとヤンによるトラウマ合戦ともいうべきやりとりが続き、恐らくフィツェックが最も力を入れたパートと感じたが、心理学的な掘り下げが足りず、最後に明かされるイーラの長女が自殺した理由も納得できない。また、ヤンとレオニーの関係性と中途で明かされる過去もご都合主義的な強引さが目立つ。当然、リアリティよりも筋立ての面白さを優先しているのだが、人間の死を軽く考えているような節に加え、どんな状況下でも死なない「不死身」の主人公がいかにも作り物めいて興醒めした。
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心身ともにぼろぼろで、今まさに自殺をしようとしていた女性交渉人が呼ばれた、ラジオ局立てこもり事件。奇妙な要求をする犯人と、その裏に隠された陰謀。サスペンス感溢れる展開に読む手が止まりません。 とにかくヒロイン・イーラが痛々しくって仕方ありません。ただでさえぼろぼろなのに、物語が進...
心身ともにぼろぼろで、今まさに自殺をしようとしていた女性交渉人が呼ばれた、ラジオ局立てこもり事件。奇妙な要求をする犯人と、その裏に隠された陰謀。サスペンス感溢れる展開に読む手が止まりません。 とにかくヒロイン・イーラが痛々しくって仕方ありません。ただでさえぼろぼろなのに、物語が進むにつれて加速されるダメージ。どこまでいじめりゃ気が済むの、というほどです。もともと抱えた問題もあまりに大きいのだけれど……階段に置かれた遺書があまりにつらくって。 そして事故死の隠蔽に隠された真実。すべての計画の全貌と、その犯人。もうどうなることかという怒涛の展開が畳みかけるように押し寄せてきて、ラストはもう一気読み。いろんな意味でほっとさせられました。
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「治療島」と同じ作者だったので。 なんだろう。 ラジオ局をハイジャックし、 いつもは大金がもらえるキャッシュコールが 合言葉を電話口で言わないと人質が殺されるコールに。 娘を失いアルコール中毒となっている交渉人、 なぜか人質になっているもう一人の娘、 人探しを要求する犯人、 ラジオを通じて皆が知る交渉人と犯人の過去と現在。 途中参加のマフィアに検事局長。 申し分ない設定とストーリー展開で、 ぐんぐん引き込まれるのは間違いないのだが、 どうものめり込み切ることができない。 主人公の恋愛話が突然すぎるせいか、 冒頭で自殺しようとしてわりにうだうだしているところなのかわからないが。 でも、多分、 多くの人にとって面白い作品であることは間違いない。 コーラ・ライト・レモンが飲みたくなることも。
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確かに思いも寄らない展開で 一気に読ませる でも、最後まで読み終わった時に怒りを感じた こんな傷付けられ方はしたくないなあ
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娘が自殺し、母親である交渉人も後を追おうとした日、ラジオ局をのっとる事件が起こる。犯人の要求は亡くなった彼女を連れてくることだった。 ラストはつながっていなかったことが、ドドドドーと音を立てるかのように繋がり始め、驚きました。
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長女が自殺したことで自分を責め,まさに自殺しようとしているときに, 犯罪心理学者のイーラは,警察の特別出動隊に半ば拉致される形で 交渉人となることを命じられる。 ラジオ局の見学会に参加した人のひとりが人質をとってラジオ局を占拠したという。男は,交通事故で死んだはずの恋人に会うこと...
長女が自殺したことで自分を責め,まさに自殺しようとしているときに, 犯罪心理学者のイーラは,警察の特別出動隊に半ば拉致される形で 交渉人となることを命じられる。 ラジオ局の見学会に参加した人のひとりが人質をとってラジオ局を占拠したという。男は,交通事故で死んだはずの恋人に会うことを要求する。 どんどん話が広がっていくのでちょっと心配したが見事に結末を迎え,心地よい。
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セバスチャン・フィツェック 『ラジオ・キラー』 (2007年12月・柏書房) その日が、彼女の人生最期の日となるはずだった。 高名な犯罪心理学者でベルリン警察の交渉人イーラの心には、長女の自殺が耐え難くのしかかっていたのだ。 しかし、ベルリンのラジオ局で起こった人質立てこもり...
セバスチャン・フィツェック 『ラジオ・キラー』 (2007年12月・柏書房) その日が、彼女の人生最期の日となるはずだった。 高名な犯罪心理学者でベルリン警察の交渉人イーラの心には、長女の自殺が耐え難くのしかかっていたのだ。 しかし、ベルリンのラジオ局で起こった人質立てこもり事件現場へと連れ出されてしまう。 サイコな知能犯が、ラジオを使った人質殺人ゲームを始めようとしていたからだ。 おまけに犯人の要求は、事故死した婚約者を連れてくるという不可解なものだった。 リスナーが固唾を呑む中、犯人との交渉を始めたイーラは、知られたくない過去を公共電波で明らかにせざるをえなくなる。 そして事件は、思いも寄らぬ展開へとなだれ込んでいくのだった……。(柏書房HPより) 昨年末に『治療島』で話題になったドイツ人作家フィツェックの第2作。 最近五十嵐貴久の交渉人シリーズを2冊読んだばかりだったので、交渉人にはいささか食傷気味。 登場人物それぞれの立場、言い分、目的が明らかになり、まるでパズルをくみ上げていくかの ごとく現れるある事実。 蜘蛛の巣のように張ってある伏線や怒濤の比喩表現のせいで卒倒しそうになるが、思ったより 骨太な作りになっており、なかなかどうして楽しめた。 (描写を)書き込みすぎ、(イベントを)詰め込みすぎ、の感は否めないが、一躍ベストセラー作家の仲間入りをしたのも頷ける。 『治療島』もそこそこの評価はされていたと記憶しているし、次作を待つまでの間にまずそちらを読まねば! 70点(100点満点)。
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