絹 の商品レビュー
『海の上の~』が痛く気に入ったので、続いて本作を。あとがきで書かれていた、”日本への偏見”云々の批評に関しては、全く頓珍漢な話だと思うし、自分的にもそこは全然気にならなかった。寧ろ、辺境の島国である我が国を取り上げてくれるなんて、っていう感激の方が強いくらい。ただ、それは抜きにし...
『海の上の~』が痛く気に入ったので、続いて本作を。あとがきで書かれていた、”日本への偏見”云々の批評に関しては、全く頓珍漢な話だと思うし、自分的にもそこは全然気にならなかった。寧ろ、辺境の島国である我が国を取り上げてくれるなんて、っていう感激の方が強いくらい。ただ、それは抜きにして、物語そのもののパンチ力が、件の作品よりは落ちると感じました。美しい文章なんかは相変わらず健在だけど、あまりピンと来ない恋愛模様を含め、個人的にはそこそこっていう印象でした。奥さんの死後に明かされる、手紙に込められた真実には、ちょっと驚かされたけど。
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蚕の卵を求めてはるばる来た鎖国時代の日本で、少女のように美しい女を見初める話。 著者自ら日本語版序文で、日本らしくないとかんじるところがあっても勘弁、といってるけど、違和感は拭えない。 でも、淡い詩情が漂う神話のような話で、大人のエッチなファンタジーとして読めば、少なくとも退屈...
蚕の卵を求めてはるばる来た鎖国時代の日本で、少女のように美しい女を見初める話。 著者自ら日本語版序文で、日本らしくないとかんじるところがあっても勘弁、といってるけど、違和感は拭えない。 でも、淡い詩情が漂う神話のような話で、大人のエッチなファンタジーとして読めば、少なくとも退屈はしませんでした。 クライマックスに出てくるセクシャルな手紙、日本人がこんなの書くかなあと思わせといて、どんでん返しに結びつけていて、ラストはとても印象的。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
事実を淡々と連ねた物語。 主人公は本来無口な上、作者もあまり語らせない。 書割のように舞台は大陸の西の果てから東の果てを往復する。 まるで舞台劇のように淡々とストーリーだけが進む。 静かな静かな物語。 絹のイメージそのままのスルッとした肌触り。捉えようとしても手から滑り落ちるように、2つの愛の間で、心は浮遊を始める。 それをつなぎ止めようとする2つの思い。 繰り返される反復。 作者が語るように、ゆったりとした通奏低音に徐々に過去のリフレインが重なり、重奏となって響き合う。 最後に明かされる手紙はシルクが持つエロスに満ちて、その秘密に涙。
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美しい流れるような言葉たちがとても優雅で、 詩で小説を書いたような文体が感動的。 原文で読んだら、もっと素敵なんだろうなぁ。。。と思いました。 美しい本に出会ったなぁ、と思っていた矢先、 「シルク」という映画になっていてビックリ! とても美しい世界感が、ダイブ表現されていたと...
美しい流れるような言葉たちがとても優雅で、 詩で小説を書いたような文体が感動的。 原文で読んだら、もっと素敵なんだろうなぁ。。。と思いました。 美しい本に出会ったなぁ、と思っていた矢先、 「シルク」という映画になっていてビックリ! とても美しい世界感が、ダイブ表現されていたと思います。
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美しいと思った。流れるような滑らかさが詩的で、ぬっぽり官能的なのだけれども、ひっそりとした無音の印象を受ける。私には「書」のイメージ。書物ではない、書道の「書」。最小限のことばで紡がれた65の章が漢字みたいだ。表紙の文字のように、ゆるやかな曲線を持った一字。本来は角張っているにも...
美しいと思った。流れるような滑らかさが詩的で、ぬっぽり官能的なのだけれども、ひっそりとした無音の印象を受ける。私には「書」のイメージ。書物ではない、書道の「書」。最小限のことばで紡がれた65の章が漢字みたいだ。表紙の文字のように、ゆるやかな曲線を持った一字。本来は角張っているにもかかわらず、曲線を伴う意表。それが美しくて美しくて、その姿を手探りながらもただ、受け入れることしか出来ない。
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2008.02.12 先日観に行った映画「シルク」の原作である「絹」を読みました。 うーん、やっぱ小説先に読んでから映画を観た方がよかったなー。 なんでもそうですが、先に映画を観てしまうと、本を読んで想像する世界がどうしても限られてしまうんですよね。映画のシーン以上のものが浮か...
2008.02.12 先日観に行った映画「シルク」の原作である「絹」を読みました。 うーん、やっぱ小説先に読んでから映画を観た方がよかったなー。 なんでもそうですが、先に映画を観てしまうと、本を読んで想像する世界がどうしても限られてしまうんですよね。映画のシーン以上のものが浮かんでこないというか。 原作を読んでみて思ったのは、かなり忠実に映画化したんだなあということ。 もちろん文章から立ちのぼるさらさらした絹の手触りのような感じ、は映画にはありませんでしたが、それでもかなり繊細な映像だったと思い返せば思う。 あ、あと、映画の方がエレーヌについて多くを語られていたね。
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絹の原料、蚕を探すためにフランスから日本へ渡った男。 そこで絹のような肌の少女と出会う。 フランスに残してきた妻と少女の間で戸惑う男。 ハーレークイン小説みたいな設定ですが、言葉や描かれる情景が本当に綺麗。 ただ日本や日本人の描写はたまに変。
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