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学歴社会の法則 の商品レビュー

3.7

20件のお客様レビュー

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2010/11/14

荒井一博著「学歴社会の法則 教育を経済学から見直す」を読んだ。 最近、漠然とマクロ的な視点で学校経営を考えたいと思っていた。 教育に、行動経済学とか経済合理性の視点を適用できるかどうか、などである。 この本は、少し前にはやった下流社会、高学歴社会の終焉といった格差社会の指摘で...

荒井一博著「学歴社会の法則 教育を経済学から見直す」を読んだ。 最近、漠然とマクロ的な視点で学校経営を考えたいと思っていた。 教育に、行動経済学とか経済合理性の視点を適用できるかどうか、などである。 この本は、少し前にはやった下流社会、高学歴社会の終焉といった格差社会の指摘ではなく、 社会全体の「厚生(好ましさ)」を考える経済学の視点で書かれている。 以下、例の如く印象に残ったことをまとめてみる。 教育論議は、経済学的な知識なしに、説得的な見解を表明することは困難。 多く人物金時間を必要とする活動だから。 大卒男性は高卒男性の1.5倍給与を得ている。 高学歴は高収入を得るということに対して、 シグナリング理論と人的資本論を用いて説明されている。 現在の教育は、この両面の機能が含まれている(P.61)。 人的資本:教育によって身に付く知識や技能も資本と見做す。 義務教育段階・理科系教育と職業に成立しやすい。   →家計においては教育費は資本的支出と言えるかもしれないと思った。 ・著者による1980年の大学教育の私的収益率:6% ・同私大医学部:8.9% ・同国立医学部:17.2% シグナリング理論: 教育は、個人の能力を他人に知らせる「信号(シグナル)」て取り扱われる。 企業は、労働市場で、求職者ひとり一人の実力を正確に把握しがたい。 求職者は、自分がどれだけ優秀であるかを積極的に知らせなければならない。 最も効果的な手段が受けた教育の履歴・学歴。 スペンスは、教育が必ずしも個人の能力を向上させる、とは考えていない!! 一流大学が一流人材を教育するというより、 (既に一流である)一流人材が、優秀性を市場に知らせるため一流大学に入る。 一流大学を卒業するだけの実力があるというシグナルだという。 教育投資とポトラッチ(宗教的・誇示的儀式) 富裕層は、富裕度を誇示するために、 多大なコストをかけて教育サービスを購入し、 有名大学に行かせる。 親の学歴・親の所得が、子の学歴に影響を与えることは、 今日では当たり前の論になってしまった。 また、専業主婦に比べ、母親が働くことは子供の学歴の影響度は下がるが、 相対的に父親の影響度が上がる。 →共働きだと子と触れ合う時間が、父親・母親間の差が少なくなるから。  同時間、子と触れ合う場合は父親の学歴が影響しやすい。 母親が労働市場に参加すると、市場を使って子供を教育する程度が高まる。 【塾に早い段階から行かせる】 ・・・・・・・・・・・・・・・ 基軸通貨はドル、英語は準世界共通語。 アングロサクソン的な会議手法・慣習に従うことになる。 <IB教育との関係をいずれ考えてみたい> “英語自身のなかにもJapaneseのような日本人蔑視の単語があります (語尾がeseとなる英語の民族名は蔑視の表現です)。 日本人が英語を学ぶということは、蔑視を含意する単語で自分自身を呼ぶことも含む” P.143 このことは知らなかったな。 少人数学級は、効果はあるが、追加的な費用を上回る価値を上回るかは定かでない。 逆に生徒の学力に影響を与えるのは、教員の学力・知能指数(!!!、P.199) →当たり前だけど、、、、 重要な意思決定ほど、広範な体系的知識が必要。高校の学習が重要。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 久しぶりに、今の私にインパクトのある本だった。 近い将来、勤務先の学校の意思決定にたずさわれるように、知識を積み重ねていきたい。

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2010/09/17

キャッチーなメインタイトルにつられて手に取ったが、中身は豊富なデータを用いた経済(特に人的資本論)入門書。 研究者がまだ日本に少ないというだけあり、なかなかユニークに感じられる箇所が多かった。 ただ、後半まで読み進めるに従って理想の教育論が語られている印象が強まった。あとがきにあ...

キャッチーなメインタイトルにつられて手に取ったが、中身は豊富なデータを用いた経済(特に人的資本論)入門書。 研究者がまだ日本に少ないというだけあり、なかなかユニークに感じられる箇所が多かった。 ただ、後半まで読み進めるに従って理想の教育論が語られている印象が強まった。あとがきにある「普通科目に割く時間は4時間/日が良いのでは」というくだりでは、経済学に基づく根拠が殆ど見受けられず残念だった。つづきはまたね、ということか。

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2012/04/28

20090112 大学に入学して間もないころに、兄貴に読んでみろと言われてちらっと読んだ。結局読み終えてないのだけど、経済学の立場から見た教育ということを通じて、経済学の考え方が少しわかった気がして面白かった。また読み返してみようと思う。 20100410 どこまで読んだのか覚...

20090112 大学に入学して間もないころに、兄貴に読んでみろと言われてちらっと読んだ。結局読み終えてないのだけど、経済学の立場から見た教育ということを通じて、経済学の考え方が少しわかった気がして面白かった。また読み返してみようと思う。 20100410 どこまで読んだのか覚えていないけれど、とりあえず4章から読み進めてみた。 ・第4章:学校選択制と教育バウチャー制度で何が変わるか いずれの制度もさほど好ましい結果を生み出さない。 ・第5章:英語ネットワークへの投資法 英語「公共財(非競合性、集団消費性)」「ネットワーク」 ・第6章:「いじめ」を経済学で解決する 「いじめのネットワーク理論」各生徒はネットワークに参加する(ネットワークを形成する)費用とその便益の大小比較を内面で行い、参加するか否かの決定をする。いじめを防止・根絶する三つの方法。その1、いじめネットワークに参加する便益を小さくする。その2、いじめネットワークに参加する費用を高くする。その3、ネットワークを破壊する。 ・第7章:教師と学級規模の経済学 教育に消費者主権原則は成立しない。 少人数教育は学力を高めるのかという問題は、多くの研究をもってしても明瞭な答えの出ない難しい問題。政策評価が難しい。山田治徳の「政策評価の技法」をあわせて読むと面白い。 ・実践編収益率をアップさせる学習法 Ⅰ学習の一般理論 少数の大学受験科目に専念した勉強や、大学時代に狭い分野に特化した勉強は誤りであり、もっと広い分野の勉強から得られる知識が日本人の能力とりわけ独創力を高める。 Ⅱ英語の学習論 発音記号を教える。優れた辞書の作成。英語の早期教育が望ましいかを調べるための統計をとる。などなど…

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2010/02/28

教育は「人的資本投資」 教育がそれを受けた個人以外に対しても便益を生み出す シグナリング理論 1、企業の信念 大卒者は高能力、非大卒者は低能力 2、企業が支給する賃金 大卒者は高賃金、非大卒者は低賃金 3、求職者の反応 高能力者は大学進学、低能力者は進学断...

教育は「人的資本投資」 教育がそれを受けた個人以外に対しても便益を生み出す シグナリング理論 1、企業の信念 大卒者は高能力、非大卒者は低能力 2、企業が支給する賃金 大卒者は高賃金、非大卒者は低賃金 3、求職者の反応 高能力者は大学進学、低能力者は進学断念 4、実現する生産性

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2009/12/15

父親や母親の学歴や収入で子どもの能力が決まってしまうのだとしたら現代において叫ばれている格差という言葉の意味を痛感せざるを得ない。 ワーキングマザーかどうかでもまた、変わってくるらしい。 例で登場する子どもが他の親と自分の親を比べて、遺伝だから仕方がないと不満を漏らす場面では苦笑...

父親や母親の学歴や収入で子どもの能力が決まってしまうのだとしたら現代において叫ばれている格差という言葉の意味を痛感せざるを得ない。 ワーキングマザーかどうかでもまた、変わってくるらしい。 例で登場する子どもが他の親と自分の親を比べて、遺伝だから仕方がないと不満を漏らす場面では苦笑してしまった。 特に男性は卒業大学によって能力を推定され処遇を決定されてしまうことから人的資本論は教育イコール高能力と考えるのだ。

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2009/10/04

教育学研究で従来より問題視されてきた学歴の問題。 この本は、そんな問題に焦点を絞り、 経済学の視点からその問題の本質を明らかにしてくれる。 教育学者は往々にして経済学的な視点に疎いところがあるので、 こうした文献が増えてくることは歓迎すべきことだと思う。 この著書の見所は、 ...

教育学研究で従来より問題視されてきた学歴の問題。 この本は、そんな問題に焦点を絞り、 経済学の視点からその問題の本質を明らかにしてくれる。 教育学者は往々にして経済学的な視点に疎いところがあるので、 こうした文献が増えてくることは歓迎すべきことだと思う。 この著書の見所は、 中盤以降語られる学校選択性・英語教育・少人数学級の分析。 特に学校選択性については、 経済学的な分析だと「推進すべし」となりがちだが、 この書では経済学的に損失が大きいとしており、印象的だった。 他方、最後のほうでは数学と英語の受験指導の問題に触れているが、 試験問題を載せないなど、具体性に欠ける点は否めない。 (本書は縦書きであるため、試験問題を載せること自体も困難だが…) それでも、基礎・基本の必要性を経済学的に示したり、 教科書の分量や執筆者の専門分野に言及したりと、 それなりに納得させられる部分も見られる。 今後、こうしたアプローチがより教育界に浸透してほしいと思う。 教育問題について考える人に勧めたい一冊である。

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2009/10/04

教育の経済学や、教育論の中でも意見対立が目立つ分野(学校選択制・少人数制など)における議論を整理している。比較的読みやすかったが、新しい知見は得られなかった。いじめの所とかは若干無理やりな気がした。 なぜか英語教育に関してアツい主張(かなり主観的)を展開していて、力を入れるところ...

教育の経済学や、教育論の中でも意見対立が目立つ分野(学校選択制・少人数制など)における議論を整理している。比較的読みやすかったが、新しい知見は得られなかった。いじめの所とかは若干無理やりな気がした。 なぜか英語教育に関してアツい主張(かなり主観的)を展開していて、力を入れるところが違うだろうと思ってしまった。まぁ面白かったし共感できたので良いんだけど。 300円。

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2009/10/04

とても分かり易い教育経済学の紹介。 新書だけに、深くつっこむことはないが、経済的見方を教育に導入しようという人はまずこれを読むと良い。 拒否反応を起こさずに受け入れられると思う。

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2009/10/04

大卒者の給料が高いのはなぜか、 という問題に大して人的資源論とシグナリング理論の二つから答える。 その他にもいじめの問題や、 学校選択制などの問題に大して経済理論の面から論じている。

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2009/10/04

2008/1 この本は教育学の本でいいのか、それとも経済学の本なのか。全編にわたり、教育というものを経済学的視点で分析している。 経済学について理解がないと何を言っているのかわからない部分もあるだろうが、斬新な教育論。

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