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篦棒な人々 の商品レビュー

4.2

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

    8

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2023/09/08

戦後の大衆文化に大きな足跡をのこした四人の人物をインタヴューしている本です。 本書でとりあげられているのは、マルチ・プロデューサーの康芳夫、挿絵画家の石原豪人、『月光仮面』の原作者である川内康範、そして前衛芸術家の「ダダカン」こと糸井貫二です。編集長の赤田祐一の尽力によって、雑...

戦後の大衆文化に大きな足跡をのこした四人の人物をインタヴューしている本です。 本書でとりあげられているのは、マルチ・プロデューサーの康芳夫、挿絵画家の石原豪人、『月光仮面』の原作者である川内康範、そして前衛芸術家の「ダダカン」こと糸井貫二です。編集長の赤田祐一の尽力によって、雑誌『クイック・ジャパン』(太田出版)で連載されることになった記事をまとめたもので、戦後の文化史の興味深い一端が明らかにされています。 康芳夫は、沼昭三の『家畜人ヤプー』の出版を実現する一方、テレビの世界での仕掛け人として活動していました。川内康範も、テレビの世界で生きた文化人ですが、民族運動家としての顔をもつとともに、アナーキストの竹中労とも親しく交流した人物です。彼らの「鵺」的な人物像は、「思想」という観点から切り込むことはむずかしく、著者のようなサブカルチャーに造詣の深い著述家が正面からぶつかっていくことで、その人物像の一端が見えてくるのかもしれません。 「ダダカン」は、読売アンデパンダン展にも登場する前衛芸術家で、その活動内容は赤瀬川原平の著書でも紹介されていますが、あまりにも世間的な常識を超えた活動と、その頑なな取材拒否のスタンスのために、やはり「思想」や「美術批評」の対象になりがたい人物で、著者がインタヴューの実現にこぎつけるまでの経緯も紹介されて、読み物としておもしろい内容です。そしてその素顔は、やはりというべきか、シャイな人柄を感じさせるものでした。

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2019/01/10

インタビューによる評伝集 20世紀後半文化史の一面 サブカルチャーという言葉の定義はあいまいだが本作にはこの表現がふさわしい

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2018/08/04

康芳夫〈こう・よしお〉、石原豪人〈いしはら・ごうじん〉、川内康範〈かわうち・こうはん〉、糸井貫二〈いとい・かんじ〉のインタビュー集である。竹熊の作戦勝ちともいうべき内容で、「謀(はかりごと)を帷幄(いあく)の中に運(めぐ)らし勝つことを千里の外(ほか)に決す」(漢書)意気込みすら...

康芳夫〈こう・よしお〉、石原豪人〈いしはら・ごうじん〉、川内康範〈かわうち・こうはん〉、糸井貫二〈いとい・かんじ〉のインタビュー集である。竹熊の作戦勝ちともいうべき内容で、「謀(はかりごと)を帷幄(いあく)の中に運(めぐ)らし勝つことを千里の外(ほか)に決す」(漢書)意気込みすら窺える(笑)。 https://sessendo.blogspot.com/2018/08/blog-post_32.html

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2015/01/11

辞書の中の篦棒という言葉にはあんまりいい意味は無いけれど、でもあえて篦棒な人々としか言えなかった、というお詫びから始まる戦後カルチャラルスーパースター列伝です。都築響一「独居老人スタイル」からの遡り読書になります。とにかく強烈。この匂い立つようないかがわしさと神々しいばかりのポジ...

辞書の中の篦棒という言葉にはあんまりいい意味は無いけれど、でもあえて篦棒な人々としか言えなかった、というお詫びから始まる戦後カルチャラルスーパースター列伝です。都築響一「独居老人スタイル」からの遡り読書になります。とにかく強烈。この匂い立つようないかがわしさと神々しいばかりのポジティブさは、逆に現在の滅菌された(されすぎた?)空気を気にさせてしまいます。筆者とほぼ同世代の昭和の小学生にとっては、このキテレツヘンテコな感じはサブカルチャーというよりメインカルチャーだったかも…と当時を思い出しました。「俗の中の聖」「奇の中の貴」「虚の中の真」康芳夫、川内康範、石原豪人、糸井寛二、彼ら偉人達の放つ光はそれぞれがそれぞれの戦争体験でアナーキズム的意志を獲得したからではないか、と筆者は「あとがき」で指摘しています。たぶん、今の文化の胡散臭さゼロ時代はそんな戦争体験世代の高齢化とオウム事件に蓋したことによって生まれているのかも。「サブカルチャー昭和は遠くなりにけり」

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2014/10/08

[ 内容 ] 戦後大衆文化に放たれた、激烈なるエネルギー―康芳夫(マルチプロデューサー、虚業家)、石原豪人(挿絵画家、画怪人)、川内康範(月光仮面原作者、生涯助ッ人)、糸井貫二(全裸の超・前衛芸術家)。 彼らケタ外れの偉人たちを追う伝説のインタビュー集。 裏の昭和が熱く妖しくよみ...

[ 内容 ] 戦後大衆文化に放たれた、激烈なるエネルギー―康芳夫(マルチプロデューサー、虚業家)、石原豪人(挿絵画家、画怪人)、川内康範(月光仮面原作者、生涯助ッ人)、糸井貫二(全裸の超・前衛芸術家)。 彼らケタ外れの偉人たちを追う伝説のインタビュー集。 裏の昭和が熱く妖しくよみがえる。 [ 目次 ] 康芳夫―現世はすべて神の遊戯 石原豪人―画怪人かく語りき 川内康範―憎むな!殺すな!赦しましょう! 糸井貫二―ダダの細道 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2014/01/23

文庫本として、再読。 一度目は、康芳夫さんのお話が大好きで、その印象が 残っていたのだが再読すると、その他の人、そして 当時35歳の竹熊さんの取材・文章力が素晴らしく感じます。 ◆康芳夫 家畜人ヤプーを、東映の中島貞夫が映画化希望していたそうな。 残念な企画だ。今こそ、誰か名...

文庫本として、再読。 一度目は、康芳夫さんのお話が大好きで、その印象が 残っていたのだが再読すると、その他の人、そして 当時35歳の竹熊さんの取材・文章力が素晴らしく感じます。 ◆康芳夫 家畜人ヤプーを、東映の中島貞夫が映画化希望していたそうな。 残念な企画だ。今こそ、誰か名乗りを上げないものか。 ◆川内康範 民族主義者、右翼のイメージがあるも、朝鮮人酷使虐待した日本の 実態、たとえ押し付けられた憲法だとしてもいいところは利用すべし、 とくに第一条と第九条は死守する、という考え。 こういう右の人って、最近いないなぁ。 また、アメリカのKKKのような連中はどうしようもない、と 言っているけど、今の日本の現状を見ると同じと考えられるのでは ないでしょうか。 ◆糸井貫二 ダダカン ダダカン、かっこいい!毎月2万円で生活。 芸術展で今日、ダダカンが来るかもしれないと言われたら、みんな 帰らないで残っていた(気に入った作品があれば、敬意を表して 服脱いで卵のパフォーマンスをする)とか、見たかったなぁ。 取材を一切断っていたダダカンに、お手紙で交流する 竹熊さんが素敵でした。

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2014/01/04

大戦を生き延びた70歳前後のサブカル偉人達のインタビュー集。 康芳夫さんに興味があったので読みましたが、康さんに限らず、ほかの方々のインタビューの面白いこと。インタビュアーの竹熊さんにとっても大大大先輩の方々なので、文面からも緊張感が伝わってきます。 あとがきにてこれが、Quic...

大戦を生き延びた70歳前後のサブカル偉人達のインタビュー集。 康芳夫さんに興味があったので読みましたが、康さんに限らず、ほかの方々のインタビューの面白いこと。インタビュアーの竹熊さんにとっても大大大先輩の方々なので、文面からも緊張感が伝わってきます。 あとがきにてこれが、QuickJapanの企画だったと知りましたが、この企画を通した編集長の英断に男気を感じます。 昭和初期のギラギラムンムンとした熱気が好きな方は是非。

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2013/12/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

康芳夫(マルチプロデューサー、虚業家)/石原豪人(挿絵画家、画怪人)/川内康範(月光仮面原作者、生涯助ッ人)/糸井貫二(全裸の超・前衛芸術家) 読売新聞がグリーンピースの事件にからみ、おそらくこの本の事だと思うが川内氏の自叙伝で、月光仮面を「正義」そのものではなく、「正義」の味方としたエピソードを紹介していた。イラク戦争が「テロとの戦い」であり、正義そのものであるかのように嘯いた新聞社がよくも偉そうに、と失笑するしかないが、この本の価値を毀損するものではない。竹熊氏が今の自分と同年齢(35前後)の時点でまとめたインタビュー集。

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2012/06/17

こいつはべらぼうに面白い。クイックジャパン創刊時に行われた1920~30年代生まれの偉人4名に対するインタビュー集なのだが、とにかく揃いも揃ってとてつもない経歴の持ち主。興味深いのは、それぞれが戦争を異なる立場で経験しながらも、いずれもその経験が後の経歴と密接に繋がっていること。...

こいつはべらぼうに面白い。クイックジャパン創刊時に行われた1920~30年代生まれの偉人4名に対するインタビュー集なのだが、とにかく揃いも揃ってとてつもない経歴の持ち主。興味深いのは、それぞれが戦争を異なる立場で経験しながらも、いずれもその経験が後の経歴と密接に繋がっていること。もはやファッション的に消費されるようになった「サブカル」という言葉には収まらない、戦後大衆文化を支えた知られざる地下水脈がここにはある。

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2012/02/27

本書で紹介されるサブカルチャー界の4人はいずれも大変魅力的な偉人であるが、とりわけ、川内康範の知られざる生い立ちやその人生観、糸井貫二という前衛芸術家の存在、この2つを知ることができたのは個人的にとても大きかった。

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