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佐藤泰志作品集 の商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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2024/11/05

読了、圧倒されました。 (小説) 海炭市叙景 移動動物園 きみの鳥はうたえる 黄金の服 鬼ガ島 そこのみにて光輝く 大きなハードルと小さなハードル 納屋のように広い心 (詩) 僕は書きはじめるんだ 画家ティハニー 僕が行こうと思っていた村には 誰が悲しいだなんていった 僕の渡る...

読了、圧倒されました。 (小説) 海炭市叙景 移動動物園 きみの鳥はうたえる 黄金の服 鬼ガ島 そこのみにて光輝く 大きなハードルと小さなハードル 納屋のように広い心 (詩) 僕は書きはじめるんだ 画家ティハニー 僕が行こうと思っていた村には 誰が悲しいだなんていった 僕の渡る多くの河 そこのみにて光輝く (エッセイ) 函館の朝市 夢みる力 書斎 十年目の故郷 青函連絡船のこと もうひとつの屋上 背中ばかりなのです (小説) 星と蜜 虹 (解説) 佐藤泰志の文学 福間健二 (年譜) (著作目録) 別冊 (佐藤泰志作品集に寄せて) 『海炭市叙景』について 岡崎武志 『そこのみにて光輝く』の衝撃から 川口正和 激しい労働と喜び 井坂洋子 佐藤泰志さんのこと 小山鉄郎

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2024/07/02

そこのみにて光輝く、きみの鳥はうたえるの映画が好きで、原作を読んでみようと図書館で取り寄せ。海炭市叙景を読み中。代わる代わるずっと暗いんだが。函館の町の閉塞感が伝わってくる。途中でギブアップしそう

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2021/09/29

この本自体取り寄せてビックリ。700頁弱、小さい字、見開きで上下に分かれて記載。こんな本最近ないよね。 昨年が没後20年ということでさここにきて盛り上がってます?調べてみると、海炭市叙景、そこのみにて光輝く、オーバーフェンス、きみの歌はうたえる、草の響きと5本も映画化。凄い。生存...

この本自体取り寄せてビックリ。700頁弱、小さい字、見開きで上下に分かれて記載。こんな本最近ないよね。 昨年が没後20年ということでさここにきて盛り上がってます?調べてみると、海炭市叙景、そこのみにて光輝く、オーバーフェンス、きみの歌はうたえる、草の響きと5本も映画化。凄い。生存中は多分コアなファンだけに読まれてたのだろうと思うのに。 どの作品にも、世の中の底辺でのたうつやり切れない若者の姿があると思う。汗、タバコ、酒、セックス。でも皆そこでしっかり生きてるんだよね。本の中にエネルギーが膨らんでる。 読み応え十分。エッセイは著者の内側が透けており、彼の体験した出来事がそこかしこに著作にみられること発見。映画化中3本は収載。 映画の暗さから興味を持って

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2021/04/17

著者は1949年函館に生まれ新潮小説新人賞・芥川賞・三島賞の候補に何度も挙がりながら無冠のままで作家生涯を1990年41歳で自殺し閉じた。  本書は作家の死後にクレインから出版された作品集ですが、現在文庫化されている小説や短編集と未収録の数点が綴られた物で著者の作品に頻繁に登場...

著者は1949年函館に生まれ新潮小説新人賞・芥川賞・三島賞の候補に何度も挙がりながら無冠のままで作家生涯を1990年41歳で自殺し閉じた。  本書は作家の死後にクレインから出版された作品集ですが、現在文庫化されている小説や短編集と未収録の数点が綴られた物で著者の作品に頻繁に登場する海の色をモチーフにした様なブルーの装丁で項数も多く読み応えのある1冊です。  作品に共通しているのは地味で陰鬱で舞台が沿岸のうらぶれた田舎街である事が多く青春時代の主人公と男友達や女性達との僅かな時間を通して大層な意味も無い日常を綴っているのだが、ただ性別問わず親や友人に対しての思い入れは強く変わった形で表現される愛や性を通して濃密な関係を創るかと思うとそうでもない様なクールな書き方が味わい深く著者の作風に引き込まれる所以です。  地味で陰鬱だけど何かが輝いて生きることの意味、皆小さな存在で小さな世界で一生懸命に何かしら輝いているのだと感じさせられる作品です。

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2020/08/04

名作揃いでほんと贅沢ですばらしい作品集なんだけど、 それとは別で親しかった先生方が佐藤泰志さんについて書いた「佐藤泰志作品集に寄せて」という付録もよかった。みなさんやや距離感をもって語っているけれど植木畑で首を吊って亡くなったという事実があるのでとても心に重くくる。41歳で亡くな...

名作揃いでほんと贅沢ですばらしい作品集なんだけど、 それとは別で親しかった先生方が佐藤泰志さんについて書いた「佐藤泰志作品集に寄せて」という付録もよかった。みなさんやや距離感をもって語っているけれど植木畑で首を吊って亡くなったという事実があるのでとても心に重くくる。41歳で亡くなったのはやはり残念だ。 この作品集はやや入手難になってるようだけど、たくさんのひとの手に届いてほしい。

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2014/02/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

佐藤泰志全集を読んだ。 村上春樹と同年代で、41歳で自宅近くの木で首つり自殺をした男性というのに惹かれ、借りてみた。 北海道出身で、雪国の短い夏をテーマにした作品が多い。彼の自殺によって未完の作品となった「海炭市叙景」は函館を思わせる炭坑近くに済む人々の群像劇で、希望に満ちた少年や、その日を生きる小銭もなくて半ば自殺に近い形で死んでしまう青年、先のない不倫に見切りを付ける女性等の日常が淡々とした口調で語られ心にしみ込んでくる。 日常におこる事をテーマにした作品は好きです。ひとつの文が短いのも好き。人物の描き方もリアルで、親しい友達が書いた日記を読むような気分になってしまいました。心に染み渡るような文章。 作中に「炭坑」がよく出てくるのもイイ。炭坑ってなぜかものすごく郷愁を誘われます。私自身は炭坑となんの関係もありませんが。昼間ドロだらけになって働いて、夜は飲んで、賭け事して、色事をして、泥水みたいに寝るのです。人生を感じますよね。閉鎖された炭坑とか...見に行ってみたい...。

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2011/10/24

染みてゆくような文章を読む。何とか崩れないようにとそっと手のひらで受け止めようとするのだが、それは手に触れた瞬間にやはりを形を失い、さらさらと砂のように指の間をこぼれてゆく。後には何も残らない、とその時には思うのだが、皮膚を通して身体の中に入り込んだものが不治の病の病原のように静...

染みてゆくような文章を読む。何とか崩れないようにとそっと手のひらで受け止めようとするのだが、それは手に触れた瞬間にやはりを形を失い、さらさらと砂のように指の間をこぼれてゆく。後には何も残らない、とその時には思うのだが、皮膚を通して身体の中に入り込んだものが不治の病の病原のように静かにゆっくりと体中をめぐって感染を広げてゆき、気付くと身動きができなくなっている。地面が急に柔らかくなりその場に静かに深く沈んでゆくような、あるいは徐々に身体がこわばり石になってしまうのを体験しているような、何ともやりきれない重苦しさが身を包みこんでゆく。だがそれは何かに魅せられたような感覚でもあって、抗いようのない麻酔のように脳にも染み込んでくるのだ。どこまでも感覚が痺れて意識が沈み込んでゆくような恐ろしさを覚えつつも、うっとりとした眠気に襲われる。それを振り払うことは返って気分の悪い結果を招くことは解っている。だが、この悲観した人物たちの群れに取り込まれてゆくことは、あちら側へ漂っていくことを意味しないだろうか、とそんな恐れも同時に覚える。緊張感を強いる本。

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2011/02/27

 書きだしの一行だけで鳥肌が立った。梶井基次郎の『檸檬』以来のことだ。    《 待った。ただひたすら兄の下山を待ち続けた。まるでそれが、わたしの人生の唯一の目的のように。今となっては、そう、いうべきだろう。 》  これほどの作家を今日まで知らなかった。教えてくれる者は誰...

 書きだしの一行だけで鳥肌が立った。梶井基次郎の『檸檬』以来のことだ。    《 待った。ただひたすら兄の下山を待ち続けた。まるでそれが、わたしの人生の唯一の目的のように。今となっては、そう、いうべきだろう。 》  これほどの作家を今日まで知らなかった。教えてくれる者は誰も居なかった。芥川賞を五度逸した作家だという。知らなかった事を、悶えるほど悔しく思う。この才能を認めなかった世を、許しがたいほどに憎む。そう思えてしまうほどだ。  一遍のエッセイを読む。『青函連絡船のこと』と題して、函館で生まれ育った著者の思いが綴られている。  著者の両親は「戦後からずっと真夜中の連絡船で青森に行き、闇米を何俵もかつぎ朝の連絡船でトンボ返りし、朝市で売りさばいて生活の糧としてきた。北海道は寒冷地で米の品質が悪く、かつぎ屋という言葉が死語となってからも、この商売はすたれることがなく、三十年近く連絡船を自らの生活の場としてきた」  上京後の著者が両親の職業を問われ、「いささかの誇りをもって闇米のかつぎ屋だ」と答えると、聞くものは皆、いったいいつの時代のことだというよう顔をするのでうんざりした、という。  私的で特殊なドラマを語りながら私情に全くおぼれていない。世情と歴史を完全に公平に捉まえている。世間の凡人は気づかずとも、自主流通米が公認され食管制が廃止されるまで、「闇米」は現存したし、「きららナントカ」が登場するまで北海道の米は確かに不味かった。  私が理想の書き方だとぼんやり抱いていた書き方が、完成された形としてすでにここにあった。一文字として無駄な表現はない。これほどの知性がなぜ埋もれていたのか。なぜ41歳の若さで命を絶たねばならなかったのか。やはり悶えたいほどに悔しくてならない。  有名な洞爺湖丸遭難の日、両親は胸騒ぎがして毎日乗ったはずの連絡船になぜだか乗らず、難を逃れたという。ドラマの神様がもし居るのなら、著者は神の導きも得ていたに違いない。にもかかわらず、やはり「なぜ」と繰り返し問わずにいられない。  切った張ったのビジネスに明け暮れて文学なんかに目もくれず生きてきた自分の人生さえも後悔させられてしまうほどのインパクトだ。  心意気といったら軽すぎるかもしれないが、著者の没後17年目にこの作品集を世に問うたクレインなる出版社の心意気に、いまは万感の思いを込めて感謝する。

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