照葉樹林文化とは何か の商品レビュー
植物学者の中尾佐助を中心に、文化人類学者の佐々木高明と、哲学や文明論の分野で仕事をおこなった上山春平を加えた三人の鼎談が収められています。 本書は、「照葉樹林文化論」の提唱者である中尾が、みずからの考えに修正を加えたことを機に企画され、主に中尾の新しい主張が説明されるとともに、...
植物学者の中尾佐助を中心に、文化人類学者の佐々木高明と、哲学や文明論の分野で仕事をおこなった上山春平を加えた三人の鼎談が収められています。 本書は、「照葉樹林文化論」の提唱者である中尾が、みずからの考えに修正を加えたことを機に企画され、主に中尾の新しい主張が説明されるとともに、佐々木がそれを批判するという議論の展開が見られます。上山はおおむね司会の役割を担当しており、彼自身の意見は積極的には提示されていません。 中尾は、かつて根栽植物栽培の段階から、雑穀栽培の段階への移行があったと考え、照葉樹林文化の農耕は根栽農耕からはじまったと主張していました。しかし、この考えに修正がおこなわれ、照葉樹林文化は焼畑による雑穀栽培からはじまり、その影響のもとで南の地域において根栽農耕がなされるようになり、その後北の地域では稲作が主流となっていったという考えが語られます。この中尾の修正に対して佐々木は、従来の中尾の意見に近い立場から、いくつかの疑問点を提出しています。 おおむね植物栽培と農耕にかんする議論に終始していますが、最終章では歌垣や妻問いといったテーマについて、日本をはじめ照葉樹林文化圏の諸地域における文化的な共通性についての議論もおこなわれています。
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学生時代に学んだ照葉樹林文化について、今一度新しく捉え直すことができた。 稲について、 東の森の文化と西の草原の文化という視点についても、もう少し深めてみたい。
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宮崎駿氏が照葉樹林文化論に傾倒してたと知り 読んでみたのだけど、難しかったなぁ。 おそらく内容の6割くらいしか頭に入ってない 稲作についての記述が多いからそこは退屈。 もう少し、信仰や精神性の特徴を多く知りたかった。 モチとかねばねばした食品が好きなルーツはここから。 そうい...
宮崎駿氏が照葉樹林文化論に傾倒してたと知り 読んでみたのだけど、難しかったなぁ。 おそらく内容の6割くらいしか頭に入ってない 稲作についての記述が多いからそこは退屈。 もう少し、信仰や精神性の特徴を多く知りたかった。 モチとかねばねばした食品が好きなルーツはここから。 そういう文化のくくりがあるということが面白い。
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長い間、気になりながら読めなかったテーマです。照葉樹林文化については名前を見たことがある程度で、きちんと本を読んだことがありませんでした。古い本が多かったので、リサイクル市なんかで見つけたら、パッと手にとって読んでみたかもしれないのですが、手に入れられませんでした。そして今回、久...
長い間、気になりながら読めなかったテーマです。照葉樹林文化については名前を見たことがある程度で、きちんと本を読んだことがありませんでした。古い本が多かったので、リサイクル市なんかで見つけたら、パッと手にとって読んでみたかもしれないのですが、手に入れられませんでした。そして今回、久々に新刊が刊行されたということで、早速買って読んでみました。おもしろい。モチとかコンニャクとかナットウとか、日本人である私はふつうに食べてきましたが、これらの食品が、当り前ですが、世界中で食べられているわけではなく、中国でも限られた地域しか食べられていないということ。おもしろい。でも考えてみれば、日本の中だって丸いモチがあったり、四角いモチがあったり。お雑煮はおすましだったり、白みそだったり、地域によってずいぶん違うわけです。たぬきうどんの中身とか、関西と関東の味付けとか、違いはたくさん見つかります。文化による差異を見つけるというのは本当に興味深いものだと思います。同時に、共通点を見つけ出すことで、そのルーツを探るというのは、とっても興味深いテーマだと思います。もちろん、一つには定まらないのでしょうが、日本の文化はいったいどこから来たのでしょうか・・・
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照葉樹林文化は、雑穀・根菜型の焼畑農業やモチ種作物の利用などの多岐にわたる共通の文化によって特徴づけられるもの。稲作の起源地は長江中下流域であることがわかってきたが、もともと照葉樹林文化との関係は決定的なものではなかった。 長江下流域では、河姆渡文化期から馬家浜文化期まで(BC...
照葉樹林文化は、雑穀・根菜型の焼畑農業やモチ種作物の利用などの多岐にわたる共通の文化によって特徴づけられるもの。稲作の起源地は長江中下流域であることがわかってきたが、もともと照葉樹林文化との関係は決定的なものではなかった。 長江下流域では、河姆渡文化期から馬家浜文化期まで(BC4600〜3800年)は、狩猟採集の比重が大きかったが、?沢文化期から良渚文化期(BC3300〜2200年)に稲作経済が確立し、巨大な基壇群をもつ大建築群や大型の墳丘墓が出現し、数多くの玉器類に象徴される初期国家が誕生した。 日本では、縄文時代の人口の大半が東日本のナラ林帯に分布し、東北アジアの沿岸・定着漁労民文化と酷似している。縄文時代の前期から中期頃に照葉樹林文化が流入し、大きな文化の発展があった。紀元前一千年紀の初期から中期に、長江流域や淮河流域などから、水田耕作が朝鮮半島南部や北九州に伝播した。
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本書の照葉樹林文化からは離れているかもしれませんが、 中国南部の南寧を訪れたことがあります。 北京の漢民族と南寧の人たちとの距離よりも、 日本人と南寧の人たちの距離の方が、短いと感じました。 直感は学術的ではありませんが、学術の理解に直感は必要だと思われます。 南からの文化が、日本の文化の何割を占めるというような定量的な結論が出せるかどうかはわかりませんが、少なくない比率だという感触を持っています。 そういう感触を持って読むと、楽しく読むことが出来ます。 百聞は一見にしかずとか、現地、現物といいます。 本書を読まれた方は、どこか現地に行かれることをお勧めします。 観光、視察などの枠を気にすることなく、 現地をくまなくみるのがよいかもしれません。 私は南寧では、ある案件の会合を5日間したほかは、 民族博物館を訪問しました。
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[ 内容 ] ヒマラヤから西日本に広がる照葉樹林帯。 そこでは森によって育まれた共通の文化が生まれた。 モチやナットウを食べ、カイコや漆を利用する。 高床吊り壁の家に住み、山の中にあの世があると考える…。 本書では、日本文化のルーツでもある照葉樹林文化の特徴を紹介するとともに、照葉樹林文化論の誕生とその展開を概説。 さらに長江文明や稲作の起源との関連について最先端の研究者との座談会を付した、照葉樹林文化論の決定版。 [ 目次 ] 第1部 照葉樹林文化とは―目で見る照葉樹林文化(照葉樹林帯とその生業;照葉樹林帯の食文化;さまざまな文化の共通性) 第2部 照葉樹林文化論の成立・展開と日本文化の形成(照葉樹林文化論の成立―その背後にあるもの;照葉樹林文化論の展開;照葉樹林文化と稲作文化;日本文化の形成と照葉樹林文化) 第3部 討論 照葉樹林文化と稲作文化をめぐって(照葉樹林文化論と稲作文化―問題提起に代えて;イネを生み出した前提条件はなにか;栽培稲の誕生;長江中流域か下流域か;照葉樹林文化と稲作文化の位置付け;長江文明の稲作の実態;照葉樹林文化論の検証) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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食べ物から文化が語られるところがおもしろい。米ともち。いも。 もちもちしたものは好きだ。 食べない地域もあるんだねえ。
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照葉樹林文化は日本文化のルーツなんだって。 食べ物とか、カガイとか、まだまだ研究の余地があるらしいけど、 いろいろな分野の先生らが集まって一つの学説を確立する、その視野の広さを学んだ。 一つのことに固執しちゃダメだよね! 私にはちと難しかったです。。
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おそらく8年ほど前、 『照葉樹林文化』という本を読んだ。 その後、雲南に足を運び、身近に体験してきたわけだが、 やはり非常に面白い。 『照葉樹林文化』の時よりも研究が進み、新たな説が出てきている。随分と時間をかけて読んでしまったが、 バスの中で読んでいたら面白くて乗り過...
おそらく8年ほど前、 『照葉樹林文化』という本を読んだ。 その後、雲南に足を運び、身近に体験してきたわけだが、 やはり非常に面白い。 『照葉樹林文化』の時よりも研究が進み、新たな説が出てきている。随分と時間をかけて読んでしまったが、 バスの中で読んでいたら面白くて乗り過ごしてしまうほど。 私は専門家ではないし、これ以上の知識もないけれど なんだかロマンがあっていい。 わからないことを考え続ける人たちがいるというのは とても刺激的なことだ。
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