枕草子 新版(上巻) の商品レビュー
いつか読もう読もうと思いながら、何年も積んでいた本。 いや、読みたいと思ったのは学生時代からだから、心の中では「何年も」ではきかない位積んでいたことになります。 昔、国文学に詳しい友人が、実に面白そうにこの本を引用していたので、それがすごく羨ましかったのです。 また、現代語訳や...
いつか読もう読もうと思いながら、何年も積んでいた本。 いや、読みたいと思ったのは学生時代からだから、心の中では「何年も」ではきかない位積んでいたことになります。 昔、国文学に詳しい友人が、実に面白そうにこの本を引用していたので、それがすごく羨ましかったのです。 また、現代語訳や漫画化によって、枕草子を面白おかしく紹介している本というのはたくさんあるけれど、やはり原文に当たらないと「知っている」とは言えない。 紹介されればされるほど、枕草子コンプレックスが高まっていきました。 半分読んでみましたが、確かに中宮定子と筆者との絡みは面白い。 清少納言の年齢は不明とはいえ、10歳は離れている主従の会話を楽しめるのは、筆者本人が屈託なく楽しんでいたからなのだろうと実感しました。 ただし、それはいわゆる日記的章段に限った話です。 類聚章段に物語はないし、宮廷文化や景物についての注釈は全編にわたって不可欠です。 訳注の石田先生をして「つまらない作品」(p.431)と言わしめたのも驚きました。 もちろんこれは額面通りの意味だけではありませんが。 文体について言えば、主語の省略も多く、使用されている語彙も馴染みのないものが多いです。 正直読みにくくて、私は上巻を読み通すのに半年かかりました。 とはいえ、現代語訳と補註、それに解説が優れているので、ほぼ辞書を引かずに済んでいます。 訳注はできる限りのことをしてくれているだけに、あとはどれだけ楽しめるか、読者の力量が試されているようにも感じました。
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めっちゃすき そんなん言うたらあかんて ってな事がよく書かれてるけど あー平安時代も普通に生活してたんよねーってなんか身近に感じれた 古文で読んで現代語訳で答え合わせしながら読むのでめちゃくちゃ時間かかるが楽しい
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初めこそ原文と訳文を比べながら読みましたが、ほぼ現代語訳で読んだのでした。読んでみてとくに心に残ったのは、犬が打たれる話、雪山の話など。こうして、ちびちびとゆっくり『枕草子』を読んでみると、僕自身の回復と充電がすすむような感じがしてきました。おまけに自分にくっついていた雑多なあれ...
初めこそ原文と訳文を比べながら読みましたが、ほぼ現代語訳で読んだのでした。読んでみてとくに心に残ったのは、犬が打たれる話、雪山の話など。こうして、ちびちびとゆっくり『枕草子』を読んでみると、僕自身の回復と充電がすすむような感じがしてきました。おまけに自分にくっついていた雑多なあれこれが、いつのまにか落ちていて身軽になっているような感じがしてくるし、違う地平が見えてきた気さえしてくる。……ということは、これはつまり、現代の空気がいかに毒気を帯びているかを物語っているのではないのか。
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平安時代中期に中宮定子に仕えた女房、清少納言により執筆されたと伝わる随筆です。本作の成立は複雑で伝本間の相異が大きいですが、本書は三巻本(雑纂形態)を底本としています。物語と違って話の筋を追う必要もないですし、各段はそこまで長い文章ではないので、親しみやすい作品だと思います。清少...
平安時代中期に中宮定子に仕えた女房、清少納言により執筆されたと伝わる随筆です。本作の成立は複雑で伝本間の相異が大きいですが、本書は三巻本(雑纂形態)を底本としています。物語と違って話の筋を追う必要もないですし、各段はそこまで長い文章ではないので、親しみやすい作品だと思います。清少納言の感じた「をかし」は現代にも通じると思います。四季や日常生活、宮廷の様子などを上手に切り取っています。今でも第一段の冒頭「春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく…」は古典の授業で暗記させられたりするんですかね。
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言うまでもなく三大随筆の一つ。宮廷内の話が多いので、予備知識がないと何言ってるのか分からないところが多い。それを差し引いても、例えば正確な書き方は忘れたが、「自分のことは棚に上げて他人の悪口を言うことほど楽しいことはないのに、悪口は良くないとか言うやつらムカつく」みたいなこと書い...
言うまでもなく三大随筆の一つ。宮廷内の話が多いので、予備知識がないと何言ってるのか分からないところが多い。それを差し引いても、例えば正確な書き方は忘れたが、「自分のことは棚に上げて他人の悪口を言うことほど楽しいことはないのに、悪口は良くないとか言うやつらムカつく」みたいなこと書いたりしてて、やっぱ人間だよねーって面白かったりする。じっくり読もうとせず、よくわからん部分は流し読みして残りの半分を楽しむのが吉。
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田辺聖子の「むかし あけぼの」を読み返したのを期に、原文にあたってみようと購入。めちゃくちゃ面白い。清少納言の人となりが率直に表れていて、きっと現代に生きていても付き合って気持ちの良い人物だろうと思える。 解説、注も充実。解説にある、「枕草子は随筆にカテゴライズされるべき作品では...
田辺聖子の「むかし あけぼの」を読み返したのを期に、原文にあたってみようと購入。めちゃくちゃ面白い。清少納言の人となりが率直に表れていて、きっと現代に生きていても付き合って気持ちの良い人物だろうと思える。 解説、注も充実。解説にある、「枕草子は随筆にカテゴライズされるべき作品ではない」という内容が非常に興味深かった。これは、清少納言が中宮定子を主人公に描いた物語だと思ったほうがいいのかもしれない。 (2015.9)
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時間はかかるけど、じっくり読んでます。 まず原文を読み、わからない言葉もあるので何となくこんな感じ? 程度の把握をしてから、本の後半の現代語訳を読みます。そして再び原文に戻って、時には原文の最後に付いてる傍注も引きつつ、先に進んでいきます。 学生時代に教科書で習った箇所が時々出て...
時間はかかるけど、じっくり読んでます。 まず原文を読み、わからない言葉もあるので何となくこんな感じ? 程度の把握をしてから、本の後半の現代語訳を読みます。そして再び原文に戻って、時には原文の最後に付いてる傍注も引きつつ、先に進んでいきます。 学生時代に教科書で習った箇所が時々出てきて、案外と細かい内容を覚えているのに驚きます。これが古典の底力ということでしょうか。 高校生ぐらいまで全く魅力を感じなかったのですが、大人になって読むと思いもしなかった味わいがあります。 ……年取ったんでしょうかね、やっぱり……。
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たまには「古典」も読んでみようと思ったが、読み終えるまでに思いのほか時間がかかってしまった。さて、肝腎の感想としては、たしかに面白く感じる部分も多く、なるほど読み継がれてきた理由もよくわかった。とくに、雪山について勝負する場面などは、今日的な小説の題材としてもなかなかおもしろいと...
たまには「古典」も読んでみようと思ったが、読み終えるまでに思いのほか時間がかかってしまった。さて、肝腎の感想としては、たしかに面白く感じる部分も多く、なるほど読み継がれてきた理由もよくわかった。とくに、雪山について勝負する場面などは、今日的な小説の題材としてもなかなかおもしろいと思う。いっぽうで、元来が他人に見せる前提で書かれた作品ではないから、まとまっていないこと、とりとめがないこともかなり多く、読んでいても「ふ~ん」で終わってしまうことも少なくなかった。ただ、全体的にはやはりよくできた作品であるとの印象を持った。なお、訳注に不満があり、「読み物としての註釈=単語の説明など」と「校訂についての註釈=異本との相違点など」はわけてほしかった。和歌の訳がないのもマイナス・ポイントだ。
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三巻本系統を底本とする『校本枕冊子』(田中重太郎著・古典文庫)を典拠とし、これに現代語訳を付した『枕草子』。本の前半には「春はあけぼの」で有名な一段から百二十七段までの原文と丁寧な脚注、続いて解釈の手助けになる補注も設けている。さらに、後半部分に各段の現代語訳と付説をまとめて配置...
三巻本系統を底本とする『校本枕冊子』(田中重太郎著・古典文庫)を典拠とし、これに現代語訳を付した『枕草子』。本の前半には「春はあけぼの」で有名な一段から百二十七段までの原文と丁寧な脚注、続いて解釈の手助けになる補注も設けている。さらに、後半部分に各段の現代語訳と付説をまとめて配置し、巻末には参考図表と丁寧に書かれた解説もある。 つまり、純粋に原文のニュアンスを味わいたいという場合も、現代語訳の助けを借りて読んで楽しむという場合にも、これだけで足りるというのが角川ソフィア文庫の『枕草子』。一粒で二度美味しいということで、古典作品はビギナーズ・クラシックスを除いて原文と現代語訳を別掲載にしているのが角川ソフィア文庫の編集スタイル。これを不便という意見も見かけるけれど、古典の楽しみ方が選べるという点においてアリだと思う。 さて、もう一つ良いと思うのが、この現代語訳。古典の現代語訳の見本というか雛型というか、余計な言葉が入っていない秀逸な文章。同文庫の『源氏物語』の玉上琢彌先生の訳も定評があるけれど、石田穣二先生の訳も最高。もし旧版の『枕草子』(松浦貞俊・石田穣二訳注:角川文庫)と比較できるなら、新版の現代語訳がいかに洗練されているかが確認できる。 また、訳注者である石田穣二先生は、新潮日本古典集成『源氏物語』(全8巻)の校注も手掛けておられるのだが、こちらも秀逸。その造詣の深さと優しいまなざしが、この本の巻末に組まれた解説からうかがい知ることができる。極端な表現をすれば、この解説部分だけでも十分な価値がある作品だと言える。文庫本ながら、手放せない一冊。
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枕草子のお話が、1段から127段まで載っています。枕草子のお話を全部読みたいという方におすすめ。コンパクトサイズなので、どこでも気軽に読めます。
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