秘恋は咎に濡れ の商品レビュー

沙野風結子【著】

2011/05/19

政界もの。代議士二人×秘書ですが、三角関係。3Pではありません。念のため。
藤末の政策秘書、椋一は職について三年目の若手27歳。35歳の藤末とはいとこ同士であり、過去には蹂躙されていたこともあるのに、ひたすら彼に服従し、秘めた想いさえ抱いています。
その藤末が闇献金のリストを盾に医療過誤関係の法案賛同を迫られます。
脅した相手は与党の政敵四堂。
藤末のために四堂の元へと自ら乗り込む椋一でしたが…

とても臨場感にあふれていて、代議士同士のかけひきも見応えがあります。
いつも思うのですが、この方の作品は五感を隈なく刺激してくる気がします。音とか、匂いとか、鮮明に感じてしまう。描写力が秀でています。

そして、キャラの魅力も厚みがあります。藤末と四堂の間で翻弄され、揺れ悩む椋一も、ただ若いだけの秘書ではない。過去、藤末に道具のように扱われながらも優しくされれば恋しく思わずにはいられなかった椋一の寂寞とした心のうちなんかは、想像すると胸が締め付けられる。
四堂もただ、正義のもとに突き進む若手の野性味あふれる男としてだけでなく、かかえるものもあって単純ではない男。濡れ場に至っては、かなりムタイなこともやっちゃうエロさがすごい。
で、藤代も歪んでいます。多分、昔はそこまでじゃなかったんだろうなと思わせるエピもあって、政界に足を踏み入れ変貌したのがわかるし、むしろ悲壮感さえ漂ってます…

あとがきにもあるように、永田町的ロミジュリとか三角関係のイメージもありますが、メインはやっぱり料亭濡れ場？
襖を開けたら、緋毛氈、絹の寝具がドーンみたいなの、嬉しいです。
いつもチャレンジャーな沙野ｾﾝｾですが、このストーリーも入れ歯、万年筆等、すてきな見せ場がいろいろありました。ダークで痛い絡みもハナシの展開上多めです。
でも、ちゃんと精神的な愛情あってこその淫靡なエロということをよくわかっていらっしゃる作家さんなので、そこはきちんと描かれていて読後はいい余韻が残ります。

2009/10/04

配对：在野党议员（34岁）X执政党议员下属政策秘书（27岁）
星：3.3