原子力船むつ の商品レビュー

安藤良夫(著者),日本原子力研究所

2024/05/12

図書館で見かけて。日本の原子力船について何も知らなかったので読んでみた。入門書としては解りやすく、技術としてもプロジェクトとしても興味を持てた。しかし調べていくと本書に書いてあることはどこにでも書いてあることで、著者ならではオリジナリティは本文の合間のコラム欄くらい。　
冒頭で「関係者に迷惑がかからないよう外部への寄稿は差し控えて過ごしましたが、すでに『むつ』が成功裏に行った実験航海を終えて解役されましたので、ここに筆を取ることとし本書をまとめた次第です」と言う割には、踏み込んだ記述は一切無い。内部で関与した者としてもっと自分の考えを書いたら良かったのでは。　
原子力コンテナ船とディーゼルコンテナ船の輸送コスト比較のグラフがおもしろい。原子力が有利と主張しているが数値的にはほぼ差は無く、経済性が無いから原子力船開発はやめたんだなとわかった。