インドの衝撃 の商品レビュー
この本を手に取ったきっかけは前に読んだBRICsの本だ。 *『BRICsの底力』 (ちくま新書 735) そこで目にしたのはインドが近い将来世界一に踊り出るであろうという推測とそれを裏付ける実態。 そんなインドをもっと知りたいと思っていた矢先に友達に薦められたのが本書だ。 そ...
この本を手に取ったきっかけは前に読んだBRICsの本だ。 *『BRICsの底力』 (ちくま新書 735) そこで目にしたのはインドが近い将来世界一に踊り出るであろうという推測とそれを裏付ける実態。 そんなインドをもっと知りたいと思っていた矢先に友達に薦められたのが本書だ。 そこにはNHKの取材班が血眼になって広いインドを駆け巡った末に辿り着いた インドの深層が明らかにされている。 かの有名なBRICsレポートには、「インドは2050年まで10%成長を続け、日本のGDPを抜くだろう」とまで言われている。 その成長性は何によって支えられているのか。 (ちなみに、2050年GDP予想順位は順に中国、アメリカ、インド、日本、…) それを読み解く鍵は 「頭脳立国」と「フラット化する世界」の掛け算であった。 *『フラット化する世界(上・下)』(トーマス・フリードマン著) 世界のフラット化とは、ITの進化が寄与した世界の潮流で、 「最も生産性が高く、最も優秀でいい結果を出せ、そして最も賃金の安い担い手のところにいく」近年のグローバル化のことを言う。 インドは、世界のフラット化の始まりをいち早く察知し、「頭脳立国化」を目指したのだ。 そうして、立ち上げられたのが いまやMITに相当すると言われるIITである。 元々数学好きな11億人のインド人が貧困から抜け出すために、 狭い門戸を開こうと死に物狂いで頑張るわけだから その英知は凄まじい。 当初は、「頭がいい」、「英語圏」、「賃金が安い」という理由で、優秀な頭脳はみな欧米に引き抜かれ、国益にはつながらない状況だったが、 インフォシスなどの新興企業がインド国内で世界に通用する企業の象徴として現れ、 インドの成長する土壌が作られていった。 こうしてインドが豊かになるにつれ、 世界の市場を巻き込む大きな変化が起こる。 11億人の人口のうち、数億人のミドルリッチ層。 日本の市場をゆうに越える人々が突如として現れたのである。 インドの勢いは各方面で止まらない。 「頭脳立国」を掲げて歩み始めたインドは 優秀な頭脳を行政の面でも発揮し始めている。 核兵器開発と原子力を利用したしたたかなアメリカを見据えた外交戦略を打ち出し、 大国と対等に渡り合える立場になりつつある。 フラット化のチャンスを生かし、インドはついに止まることのない上昇気流を掴んだのである。 さて、話を日本に戻してみると、 このような「フラット化する世界」の中で日本がインドに勝るのは難しいのではないかと思えてしまう。 BRICsレポートをよげんの書にしないためには 日本はインドに広がる11億人の市場を勝ち取っていかねばならないだろうし、 (インドより近い中国に対しては言うまでもない。) インドのように教育を国家戦略にするなど抜本的な改革も必要だろう。 インドという1つの国に着目し、 「フラット化する世界」における実情を生々しく訴えかけてくる本書を読んで、 世界の変化と自分たちの在り方についてとても考えさせられた。 ----メモ---- インフォシスにより「頭脳流出」から「頭脳還流」が起こった。 先進国の雇用を脅かす人材を輩出し続ける。 「フラット化した世界では、アメリカ人の仕事、日本人の仕事などというものはありません。 仕事は誰のものでもなく、最も生産性が高く、最も優秀でいい結果を出せ、そして最も賃金の安い担い手のところにいくことになります。“フラットな世界では”誰かが代わりにできる仕事”と“誰にも代わりのできない仕事の二つしかありません”」 誰にも代わりのできない仕事というのがキーワードになる。 国のかたちは、教育で決まる。 この国をどうゆう国にしたいか。教育を国家戦略にして世界中にネットワークを駆使するインド。 「トム、ご飯を残さずに食べなさい。インドや中国の人はお腹を空かしているのだから」 「頭脳さえあれば世界を相手に勝負できる」 「自分の町や国のために役立ちたいと思っている」 この志の高さや国を思う心は、幕末の志士達の気概に似ているような気がしている。 インドの格差は、バネとして自分の志を高めるための材料としては申し分ない。 問題意識はそこから生まれる。
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同名でNHKスペシャルで放映された番組を書籍化。インドをヒト、カネ、クニの3つの視点から読み解く。(1)ヒト…ペンティアムを作った技術者、インフォシス創業者、ナラヤナ・ムルティーとナンダン・ニレカニ等、エンジニアが尊敬される風土。頭脳流出から頭脳還流。世界のフラット化により頭脳立...
同名でNHKスペシャルで放映された番組を書籍化。インドをヒト、カネ、クニの3つの視点から読み解く。(1)ヒト…ペンティアムを作った技術者、インフォシス創業者、ナラヤナ・ムルティーとナンダン・ニレカニ等、エンジニアが尊敬される風土。頭脳流出から頭脳還流。世界のフラット化により頭脳立国を目指す。(2)カネ…11億人の消費パワー。ニューデリー等の直轄都市から離れたグルガオンに出現した巨大ショッピングモール。筍の様に誕生しているGMSと新中間層(9万ルピーから100万ルピーまでの層。年収で約26万〜290万位までの層)が2.2億人(20%)→3.7億人(34%)と増加。中間層の市場は日本の総人口を遥かに上回る。日系家電シェア1位の日立に代表される家電の苦戦と韓国、LG・サムスンの強さ。及びインド財閥(リライアンス、タタ)。(3)クニ…在米インド人による米国議会へのロビー活動と米国のインドへの原子力の技術協力。BRICsの一角を担うインドの抱えるパズルを読み解く上で面白い一冊。
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インドへの出張を計画し、ビザを取得し(インド入国にビザが必要、ということすら知らなかったのだけれども)、フライトのチケットもおさえたのだけれども、どうしても都合がつかなくなり、キャンセルしてしまった。というわけで、残念ながらインド未体験である。なぜなのか、は分からないけれども、私...
インドへの出張を計画し、ビザを取得し(インド入国にビザが必要、ということすら知らなかったのだけれども)、フライトのチケットもおさえたのだけれども、どうしても都合がつかなくなり、キャンセルしてしまった。というわけで、残念ながらインド未体験である。なぜなのか、は分からないけれども、私にとってインドは非常に興味をそそられる国である。それがどのようなものであれ、自分の知らない・経験したことのない・考えも及ばない、ことが沢山あるのではないか、と思うからであろう。この本は、NHK特集として放送された同名の番組を書籍化したものである。中心的な視点は、新興経済勢力としてのインドである。インドはここ最近、毎年10%近い経済成長を続けている。それが小国で起こっていることであるならばともかく、11億人と呼ばれている人口大国で起きていることなので、世界経済に与えるインパクトは大きなものがある。インドのそういった経済成長の姿と、その理由の一端を紹介することが番組の中心テーマであり、当然、それを下敷きにした本書の中心テーマでもある。テレビ番組なので、ビジュアル的に分かりやすくないといけないので、内容は体系的・網羅的というよりは、トピックス的であるが、それでも、というか、そうだからこそ、というか、現在のインドの姿(それは、一般の人の持つイメージとはかなり異なるはず)をクリアカットに伝えることに成功している印象を持った。
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NHKスペシャルで数年前に放送したものに、伝え切れなかったこと、また現状を加筆しての書籍化。隣国中国は、日本ではなにかと話題に登ることも多いがインドについてはかなり情報不足だ。本書を読むと急激に発展しているところ、取り残されたところ、そして多大な人口。などなど中国の状況に重なる部...
NHKスペシャルで数年前に放送したものに、伝え切れなかったこと、また現状を加筆しての書籍化。隣国中国は、日本ではなにかと話題に登ることも多いがインドについてはかなり情報不足だ。本書を読むと急激に発展しているところ、取り残されたところ、そして多大な人口。などなど中国の状況に重なる部分も多い。21世紀に入り、BRICsを初めこういった巨大人口を抱えつつ経済成長してきた国々、或いはオイルマネーで世界経済を揺るがす国々の脅威を感じざるを得ない。興味深く読める。
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今後数年間で最も劇的に変化する国は? 少し前までは中国かと思っていたが、どうやらインドが正解らしい。身近には訪問した人も少なく、日本に住んでいるインド人にも面識がない。じゃ、本を通して知るのが手っ取り早い。最近のインドの状況をしっかりレポートしている様子が気に入った。
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最新のインド事情に関する本としては読みやすくて量もあり、それなりに楽しめる内容だとは思うが、「われわれがこれまでイメージしてきた“あの”インドとは大きな変貌を遂げている」ことが(逆に)衝撃的だ、式のインド紹介はさすがに新たな紋切型として確立されてきたなという印象が否めませんね。た...
最新のインド事情に関する本としては読みやすくて量もあり、それなりに楽しめる内容だとは思うが、「われわれがこれまでイメージしてきた“あの”インドとは大きな変貌を遂げている」ことが(逆に)衝撃的だ、式のインド紹介はさすがに新たな紋切型として確立されてきたなという印象が否めませんね。たとえNスペを文章化したものとはいえ…。
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共和薬品工業を買収したルピン、日本ユニバーサル薬品を 買収したザイダスなど近年、インド製薬企業が国内に積極的な 投資を行い存在感を増している。 一方、インド国内に目を向けると、インド企業は数学に強い英語の堪能な エンジニアを大量に抱えていることから、欧米製薬企業から送信された...
共和薬品工業を買収したルピン、日本ユニバーサル薬品を 買収したザイダスなど近年、インド製薬企業が国内に積極的な 投資を行い存在感を増している。 一方、インド国内に目を向けると、インド企業は数学に強い英語の堪能な エンジニアを大量に抱えていることから、欧米製薬企業から送信された データーを分析し、解析データーを返信するビジネスが盛んである。 上記国内外の事例を含め、避けて通れないインド企業との取引を 我々日本の製薬企業は今後どのように取り込んでいくべきなのか 本書を通じ勉強していただきたい。
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