ヴィクトリア女王 の商品レビュー
ヴィクトリア女王の人生を追いながらイギリス,ヨーロッパ,それを取り囲む歴史もみることができて面白い.ヴィクトリア女王に愛着が湧いてくるところが他の歴史書と比べて読みやすくなっている要因かも.同時代の世界史を学ぶときにも,この本を読んでからだと随分とっつきやすくなるだろう.
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最盛期の大英帝国に君臨した女王の評伝。在位は63年を超え,昭和天皇よりちょっと長い。最近読んだ清盛本よりずっと面白かったのは,著者の筆力が大。あと,時代が近代だからかな。近代好きなので。 ほぼ時系列に沿って,女王中心の描写が続くのだが,結構な分量があって,「長い18世紀」がウ...
最盛期の大英帝国に君臨した女王の評伝。在位は63年を超え,昭和天皇よりちょっと長い。最近読んだ清盛本よりずっと面白かったのは,著者の筆力が大。あと,時代が近代だからかな。近代好きなので。 ほぼ時系列に沿って,女王中心の描写が続くのだが,結構な分量があって,「長い18世紀」がウィーン会議で終わった後,19世紀末までのヨーロッパの歴史も概観できる。序盤と終盤,若き女王と老成した女王のあたりがとても読ませる内容だった。中盤は議会政治との確執が描かれ少しとっつきにくい。 イギリス王室の王位継承は,男子優先の長子相続制が基本。王子がいない場合,王女が年齢順で王位を継承する。子がいなければ傍系へ。これは16世紀以来の伝統で,実際に何人もの女王が出ているのはよく知られたとおり。ヴィクトリアの父は,ジョージ三世の四男。王位が回ってくることはなさそうだったが,将来女王になるはずだった長兄(王太子)の娘シャーロットが最初の出産で子とともに死亡,他の兄にも子がないか早世していたため,話は変わってくる。父と祖父(ジョージ三世)の死によって,ヴィクトリアは生まれてまもなく,継承順位第二位に踊り出ることに。小さいうちから女王になるための帝王教育が始まる。 伯父の死により18歳で即位。翌年の即位式での女王の立ち居振る舞いは驚くほど堂々としていたという。ややリップサービスかも知れない。はじめはやはり経験浅く,首相メルバーンに頼り切ってしまうところもあった。好みの宮廷人事を押し通して政権交代を妨害してしまう事件も(寝室女官事件)。 その後は次第に女王も成長してゆく。20歳で母方従弟のアルバートと結婚。以後17年で9人の子をなす。16人のマリアテレジアには負けるがすごい。これで宮廷外交も有利になって,晩年には各国の君主に親戚が大勢。ドイツのヴィルヘルム二世は孫(初孫)だし,ロシアのニコライ二世は孫の夫。 長い在位の間には様々なことがあった。クリミア戦争,第二次アヘン戦争,セポイの乱,アフガン戦争,ボーア戦争。内政ではアイルランド問題や,保守党と自由党の二大政党制の確立。「君臨すれども統治せず」とは言うが,女王はかなり積極的に政治にかかわっている。1848年の仏二月革命,独三月革命の余波が尾を引き,君主制廃止の主張が高まる共和制危機も経験した。選挙権の拡大に起因してジャーナリズムを意識しなくてはならなくなっていく。国民の目に見える形で女王の存在意義を示さなくてはならない。 パーマストン,グラッドストン等,歴代首相との確執,息子の出来にやきもきしたり,ビスマルクに敵意を抱いたり。結構感情がはっきりしている印象を受ける。やはり我が国の天皇とはイメージが違うな。政治にかかわり書簡もいっぱいのこってるからいろいろわかるんだろうか。即位50周年,60周年のお祝いは,各国から人を招いて盛大に。金婚式,ダイヤモンド婚式の名前はこれに由来するのかも。即位50周年記念式典,60周年記念式典は,それぞれ「Golden Jubilee」,「Diamond Jubilee」というらしい。エリザベス二世のDiamond Jubileeは来年だそうだ。
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震災の影響とプロジェクトの追い込みであまり内容を 覚えていないが、2大政党制の成り立ちがわかり わるくはなかったかな?
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神奈川県立外語短期大学准教授(イギリス政治外交史)の君塚直隆によるヴィクトリア女王の評伝 【構成】 第Ⅰ章 「暗黒時代」の女王即位 第Ⅱ章 戦う女王への変貌 第Ⅲ章 アルバートの死と王室の危機 第Ⅳ章 女王から「女帝」へ 第Ⅴ章 二大政党の確執と女王の憂鬱 第Ⅵ章 ...
神奈川県立外語短期大学准教授(イギリス政治外交史)の君塚直隆によるヴィクトリア女王の評伝 【構成】 第Ⅰ章 「暗黒時代」の女王即位 第Ⅱ章 戦う女王への変貌 第Ⅲ章 アルバートの死と王室の危機 第Ⅳ章 女王から「女帝」へ 第Ⅴ章 二大政党の確執と女王の憂鬱 第Ⅵ章 大英帝国の女王として 連合王国が海洋支配の拠点を広げ、大英帝国へと成長する「パクス・ブリタニカ」の19世紀はまさにヴィクトリア女王(生没1819-1901、在位1837-1901)の時代であった。ジョージ3世の四男の娘という王位継承からは程遠かったはずの少女が、次第に継承順位を上げて18歳の若さで玉座に座ることになった。この「長い19世紀」の大半を、妻として母として女王として君臨した彼女の生涯を追うのが本書である。 前半は王位継承から夫君アルバートとの結婚、そして死別までの話でハノーファー朝とザクセン、ベルギー、プロイセン等の他の大陸王室との血縁関係などがちりばめられており、宮廷の内側の話が中心である。 しかし、アルバートの死の前後から、内政・外交への関与を強めていく。女王は治世の初期においてはパーマストンのような強硬的な外交姿勢に否定的な立場をとっていたが、二大政党による議会政治が機能し始め、グラッドストン率いる自由党の党勢が強まると首相・外相と正面衝突してでも「大英帝国」の外交政策を推し進めようとするほど強い態度で臨むようになり、治世の後半期にはドイツの帝国宰相ビスマルクとともにヨーロッパの国際関係の最重要プレーヤーにまでになっていた。 本書は英国Foreign Officeなどの公文書はもちろん、ヴィクトリア女王、アルバート公の私文書も縦横に駆使しながら、ピール、パーマストン、ダービ、ディズレイリ、グラッドストン、ソールズベリなど政党政治確立期の名高い政治家たちと女王の関係を明らかにするとともに、激変する19世紀後半のヨーロッパ情勢にあって長期的にその舞台にのぼり続けた唯一人の外交家であるヴィクトリア女王の外交姿勢を通して、イギリス外交史を語るものである。 文章も読みやすく、十分楽しめる内容である。
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母であり妻であり女帝であったヴィクトリア女王の姿を、本人の日誌からの引用も交えて描き出した本。やや強引ながらも、まさに「女帝」として力強く君臨したヴィクトリア女王の姿に感動する。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 植民地を世界各地に築き、「太陽の沈まない帝国」と呼ばれた19世紀イギリス。 18歳で即位し、この繁栄期に64年間王位にあったのがヴィクトリアである。 後に「君臨すれども統治せず」の確立期と言われ、女王の役割は小さいとされたが、実態は違う。 自らの四男五女で欧州各王室と血縁を深めた女王は、独自外交を繰り広げ、しばしば時の政権と対立した。 本書は、全盛期の大英帝国で、意思を持って戦い続けた女王の実像を描く。 [ 目次 ] 第1章 「暗黒の時代」の女王即位 第2章 戦う女王への変貌 第3章 アルバートの死と王室の危機 第4章 女王から「女帝」へ 第5章 二大政党の確執と女王の憂鬱 第6章 大英帝国の女王として [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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ヴィクトリア女王の年代記としてなかなか詳細に記載されている。あまり目新しい視点は無いが当時の時代経過を追うにはなかなか良い文献ではないかと思う。
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ヴィクトリア女王がおさめていた 絶頂期の大英帝国を描いた本 タイトル通りヴィクトリア女王視点です。 英国の王族も日本の皇室と同じように 政治的実権はなくただ晴れの場で挨拶するだけ くらいに思っていたけど ガンガン政治に介入してたんだね 民衆の歴史も軍人の歴史も芸...
ヴィクトリア女王がおさめていた 絶頂期の大英帝国を描いた本 タイトル通りヴィクトリア女王視点です。 英国の王族も日本の皇室と同じように 政治的実権はなくただ晴れの場で挨拶するだけ くらいに思っていたけど ガンガン政治に介入してたんだね 民衆の歴史も軍人の歴史も芸術家の歴史も面白いけど 女王様の歴史も面白い 王者ってのはこういう人生を送るのか。
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イギリスが「大英帝国」に発展する真っ只中の時代を統治した1人の女性の一代記です。副題にある「戦う女王」はまさに、女性として、妻として、母として、そしてなにより君主として生きた彼女を一言で表すに、もっともふさわしい言葉です。 その中身はというと、実に9割が政治・外交史で占められてい...
イギリスが「大英帝国」に発展する真っ只中の時代を統治した1人の女性の一代記です。副題にある「戦う女王」はまさに、女性として、妻として、母として、そしてなにより君主として生きた彼女を一言で表すに、もっともふさわしい言葉です。 その中身はというと、実に9割が政治・外交史で占められていて、このことは、かの女王が私たちの想像する以上に「政治を生きた」人物であったことを示しています。イギリス君主をあらわす名言「君臨すれども統治せず」が定着したのはヴィクトリア朝のことと言われます。しかし、閣僚と頻繁に会談し、時には外相を呼びつけて叱咤・非難し、さらには首相に退陣を迫る、そういった女王の足跡を見ると、彼女の実像がイメージとは程遠いものであったことがわかります。 議院内閣制が誕生して間もない時代、貴族政治から議会中心の民主政治へとシフトする過渡期にあって、女王の国政への介入は後世から見れば決して正しいものばかりではなかったでしょう。しかし、夫君アルバートの待遇問題、夫君の死とそれに伴って生じた君主不要論など、いくつもの問題と取り組んだ女王の戦いぶりは、1人の人間として充分に魅力的で、なにやら19世紀からの圧倒的なパワーに当てられたような錯覚さえ受けます。そして、大衆政治の立役者と評された自由党の大宰相グラッドストンと女王とが対峙したことは、未だ君主制と革命、そしてウィーン体制とその崩壊といった混乱の中にあったヨーロッパ大陸に接しながら民主制を醸成させていく上で、きっと避けて通ることは不可能だったのだろう、などと考えさせられるのです。 著者の語り口は終始とてもテンポよく、ありがちな客観描写に走ることなくあえて女王の視線からイギリス政治を描ききった手腕には脱帽します。政治史好きな私にとってはとても読みやすく、爽快なひとときでした。 (2008年7月 読了)
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19世紀後半のイギリス史は保守党と自由党の政権争い、アイルランド問題に選挙法改正、帝国主義と覇権主義とが複雑に絡み合い非常にわかりづらい時代でもあります。それを理解しやすくするためには一本の基軸を用意するのが重要なのですが、その軸となりうるのが同時代を統治し続けたヴィクトリア女王...
19世紀後半のイギリス史は保守党と自由党の政権争い、アイルランド問題に選挙法改正、帝国主義と覇権主義とが複雑に絡み合い非常にわかりづらい時代でもあります。それを理解しやすくするためには一本の基軸を用意するのが重要なのですが、その軸となりうるのが同時代を統治し続けたヴィクトリア女王であることは間違いないでしょう。また、彼女を基軸とすることによってそれまで教科書で語られてきたようなイギリス史に別の視点からアプローチされることとなり、新たな一面を見せてくれます。例えば教科書では帝国主義的な保守党のディズレーリ内閣と自由主義的な自由党のグラッドストン内閣という構図が、ヨーロッパの勢力均衡を図り安定と平和へと向かわせるディズレーリと不干渉主義でヨーロッパの安定を崩しまた大英帝国を衰退へと向かわせるグラッドストンというヴィクトリア女王からの視点が見えてきます(もちろん彼らへの評価はどちらが正しいというわけでもなく、人により時代により見方が変わるのは言うまでもありませんが)。また本書では、60年以上もの統治期間により培われた「外交家」ヴィクトリア、ヨーロッパ王室の「名付け親(ゴッドマザー)」としてのヴィクトリア、母として妻としてのヴィクトリアから、彼女の(当たり前だが)決して完璧ではない人間性を見ることができます。大英帝国最盛期の女王として君臨してきたヴィクトリア女王、彼女の決して理想化されていない素の姿とその時代の流れを見ていく上で非常に有意な本だと思います。
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