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オリンポスの果実 の商品レビュー

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15件のお客様レビュー

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2011/12/03

師匠・太宰治を私淑するあまり、太宰の墓前で自殺してしまふほどの人物であります。いかなる無頼な小説であらうかと読み始めたのですが、実に甘つたるい青春小説でした。 主人公・坂本君はロスアンゼルス・オリンピックのボート競技選手。本文中に「四年後のベルリンに備えて」といふ記述があります...

師匠・太宰治を私淑するあまり、太宰の墓前で自殺してしまふほどの人物であります。いかなる無頼な小説であらうかと読み始めたのですが、実に甘つたるい青春小説でした。 主人公・坂本君はロスアンゼルス・オリンピックのボート競技選手。本文中に「四年後のベルリンに備えて」といふ記述がありますので、1932年の第10回大会のことと思はれます。 ロスへ向かふ船旅中に、高飛び選手の熊本秋子さんと出会ひ、以降彼の関心はほぼすべて「秋ッぺ」に注がれる事になります。肝心のボートの結果は、予選敗退といふ苦いものでした。 競技の結果も出せず、彼女との進展も無く、失意のまま横浜港へ帰る― 乱暴にまとめれば、だいたいかういふことを、「十年近い歳月」を経た後に、手記といふ形で熊本秋子さんへ語つてゐます。 「あなたは、いったい、ぼくが好きだったのでしょうか」といふ疑問を呈する目的で、この長々とした手記を書いたといふことになります。解説の河上徹太郎氏の指摘するごとく、読者は延々と惚気話を読まされたやうな気分になるのではないでせうか。青春小説と言はれてゐますが、若い人が読むと逆に馬鹿にして放擲するかもしれませんね。 しかし不思議に読後感は悪くありません。とにかく奇妙な小説としか言ひやうがない。 ところが残念ながら絶版ださうです。新刊書店では入手不能。 ではごめんください。 http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-49.html

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2010/11/27

いわばあなたとの最初の邂逅が、こんなにも、海を、月を、夜を、香しくさせたとしか思われません。 それから、ぼくの眼は、あなたを追わなくなりました。しかし、心は。 その激しい言葉に、自己感傷に溺れかけていたぼくは、身体が慄えるほど、鞭うたれたのです。

Posted byブクログ

2009/10/04

太宰の”お弟子さん”?と言う話しを父から聞き(笑)父に借りて読んだのが、中学生の頃だったかと…。オリンピックに選ばれたボート競技選手が主人公の「人を好きになる」話ですね。今思っても、人を好きでいる難しさを思い出します。

Posted byブクログ

2009/10/04

太宰治の弟子…ということで読んでみました。 好きな女性に対する募る想いや不安やらの心模様が瑞々しく書かれていて、奥手な主人公と共にドキドキしたり切なくなったりしました。

Posted byブクログ

2009/10/04

君が好き…と言いつづけ好きにおわる。…太宰のお弟子さんという程度しか知りませんでしたが、「好き」でも,好きなあなたのそんな所、厭、見たくない、体格のいいスポーツ選手の肉体に潜むほのかで阿附連ほどの気持ち、陽光、海面の光…健全すぎるほどの「好き」という初恋の威力、文章云々でなく文壇...

君が好き…と言いつづけ好きにおわる。…太宰のお弟子さんという程度しか知りませんでしたが、「好き」でも,好きなあなたのそんな所、厭、見たくない、体格のいいスポーツ選手の肉体に潜むほのかで阿附連ほどの気持ち、陽光、海面の光…健全すぎるほどの「好き」という初恋の威力、文章云々でなく文壇の一角をしめる説得力、好き。感情ってこんなに素直に想いつづけ罪とならない言葉の威力を感じ健全、な一作。

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