大前研一 戦略論 の商品レビュー
ある程度時系列に沿っているので、筆者の論旨の変遷やその中での一貫性がよくわかる。よって論文の寄せ集めではあるが、読物として面白い。 つまり、旧来型とはいえ現在でもスタンダードと言える氏の経営戦略論が、グローバル化とDX、社会の変化を経て昨今の論調に至る過程がよくわかる、ということ...
ある程度時系列に沿っているので、筆者の論旨の変遷やその中での一貫性がよくわかる。よって論文の寄せ集めではあるが、読物として面白い。 つまり、旧来型とはいえ現在でもスタンダードと言える氏の経営戦略論が、グローバル化とDX、社会の変化を経て昨今の論調に至る過程がよくわかる、ということで、結局すべては地続きである、ということもわかり感動的ですらある。
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大前研一氏がHBRに書いた過去の論文10本と、WSJ紙に載せた短いコラムを寄せ集めたもの。書いた時期もまちまちで本として内容の一貫性は当然無い。 各論文は、80年代から90年代半ばに書かれており記載されている内容は正直古い感が否めない。特に、トライアドという言葉で日米欧の三極を...
大前研一氏がHBRに書いた過去の論文10本と、WSJ紙に載せた短いコラムを寄せ集めたもの。書いた時期もまちまちで本として内容の一貫性は当然無い。 各論文は、80年代から90年代半ばに書かれており記載されている内容は正直古い感が否めない。特に、トライアドという言葉で日米欧の三極をビジネスにおける主戦場として定義しているが、すでにBRICSの台頭によって、現在こうしたトライアド地域が世界経済を牽引している状況には無いのは周知の通りである。トライアドを前提として書かれている企業戦略に対する様々な考察は、もちろん普遍的なものもあるが、市場環境が大幅に変わっている中で違和感があるものも多いという印象を受けた。これら論文の発表当時から10〜20年の年月が過ぎている現在、同じような趣旨の戦略論が後塵より洗練された形で提示されており、それらはより現在の市場環境を的確に反映している。こうした後塵に対する大前氏の功績も大きいとは思うが、今ここで無理やり古い論文集を出す意味がよくわからない。 中身を見ていくと、半導体チップのクロック数の開発競争において、日本企業がキャッチアップし逆にリードする過程で、その競争力の源泉となったのは技術力だけではなく、むしろ変化への対応を迅速に行う組織と制度設計にあったという指摘はうなずける。 また、環境への変化への対応として、現在中核となっていることを、Do More Betterでは乗り越えられないことが指摘されている。ミシンに見切りをつけ、制御技術を利用してOA機器メーカーとなり高収益企業へと脱皮したブラザーと、ミシンの更なる改良・改善への道を走り結局倒産したリッカーの対比はよい例であろう。
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出版自体は古い1冊ですが、大前さんの本は内容が理解しやすく、そしていつのタイミングに読んでもビジネスに生かせる点が凄く多く、ためになりますね。
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大前氏がビジネス誌等に寄稿した論文の中からいくつかをピックアップして書籍にまとめたもの。本自体は2007年に出版されたものであるが、ピックアップされている論文は1980年代のものが含まれていたり、古いものもあったが、その内容に古めかしさは感じない。現代でも散々言われているものであ...
大前氏がビジネス誌等に寄稿した論文の中からいくつかをピックアップして書籍にまとめたもの。本自体は2007年に出版されたものであるが、ピックアップされている論文は1980年代のものが含まれていたり、古いものもあったが、その内容に古めかしさは感じない。現代でも散々言われているものである。 また、論文の寄せ集めかと思いきや、テーマは一貫しているため、内容はひとつのストーリーのように流れている。 本書の内容は大きく分けると2つの内容に分けられる。企業戦略における総論にあたる箇所と企業の海外展開時における戦略についてである。主にはマーケティングのSTP領域の内容となっていると感じた。 企業戦略総論では主に以下について。 ・顧客価値創出を目的とした戦略立案。 ・事業ドメインの考え方 ・ゼロベース思考の重要性 海外展開では主に以下について ・インサイダー化するには ⇒現地統治主義の採用 ⇒現地企業等とのアライアンス ・海外市場の捉え方 (ニーズの類似性で地域をセグメント化する) ⇒事業文化ユニットの考え方 ⇒トライアド戦略 総論的な考え方を理解したうえで、海外展開にあたってのパートを読むと理解しやすいと思う。海外展開についての論文に関しては、1980年代もしくは1990年代に発表されたものであったが、新鮮な気付きを与えてくれた。多くのインテリにありがちな奇抜で突拍子もないような内容が書いているわけではなく、ひたすら論理に忠実に論が展開されている。本当に頭のよい人だなぁと改めて思った。
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戦略立案に大事なことは? →戦略でまず考えるべきは顧客ニーズであり、ライバルを打ち負かすことではない 顧客が求めているのは何かを繰り返す 事業ドメインをユーザーの目的関数に沿って定義し、それに従って市場をセグメント化する 優れた事業戦略には、 1.市場が明確に定義されている 2...
戦略立案に大事なことは? →戦略でまず考えるべきは顧客ニーズであり、ライバルを打ち負かすことではない 顧客が求めているのは何かを繰り返す 事業ドメインをユーザーの目的関数に沿って定義し、それに従って市場をセグメント化する 優れた事業戦略には、 1.市場が明確に定義されている 2.強みと市場ニーズが一致している 3.成功要素において競合以上の実績を発揮している 顧客ニーズの違いと市場カバレッジ、つまり地域、販売チャネル別という2軸のマトリックス 定期的にビジネスシステムを見直し、ゼロベースの再構築を行う
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書は1982年から1995年にかけて「ハーバード・ビジネス・レビュー」、「ウォールストリート・ジャーナル」に寄稿した論文が、まとめられている一冊となっています。 ■ライバルに勝つことは最優先課題ではない 「ライバルに勝つ」という目標は、行動方針や業績評価指標を設定するうえでは説得力がある。しかしその考え方がそもそも間違っているのである。 生産能力や製品開発、ロジスティックスにおける競争優位はけっして悪ではない。だがそれは、戦略本来の目的ではない。また、そうあってはならない。ライバルに勝つことだけに血眼になると、戦略は相手の出方次第で変わることになる。 戦略プランニングにおいて競合他社の存在を考慮するのは当たり前だが、必ずしも最優先事項ではない。まず考えるべきは「顧客ニーズ」である。労を惜しまず顧客ニーズに応えているか、製品やビジネスプロセスはどれくらいの水準にあるか、製品企画、製造、販売といった活動はどれくらい顧客ニーズを満たすものかについて点検する必要がある。すなわち、戦略は顧客第一主義に基づいて立案されなければならない。 最優先すべきは、顧客価値を創出する戦略なのだ。 ■先見力の五つの要件 ① 事業ドメインを明確に定義する ② 事業環境に働いている各種の力の動向を、因果関係に基づいて将来どうなるか推定し、最も可能性の高いシナリオを論理的な仮説として、単純な言葉で簡潔に記述する。 ③ 事業展開のうえで存在する数多くの代替案のなかから、いくつかの案を選ぶ。いったん選択したなら、人、技 術、資金を、大胆にしかも積極的に集中して投入しなければならない。数少ない代替案に、より多くの資源を 集中することによって成功率を高めることができる。 ④ 全力を投入し多くのことを短期間に達成しようとするのではなく、資源の有効活用と、戦略実施のペース配分を検討する。そのことによって成功率を高めることができる。 ⑤ 経営者は戦略選択の条件が有効である限り、それに沿っていかなくてはならない。しかし、想定していた条件が変わったなら、事業の基本的な方向をも変えてしまう用意がなくてはならない。 本書は、このように大前氏ならではの戦略コンセプトの原点が書かれています。 ここでは書ききれないですが、本当に新しい発見が多い内容でした。 戦略論というと難しそうですが、教えられたというより、気づかせてくれたという感覚があっているほど新鮮な内容で分かり易かったです。 みなさまも、ぜひ一度、手にとってみてください。
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1980年代に書かれたものとは思えない先見性には、目を見張る ものがある。 しかも英文で、ハーバードビジネスレビューへ寄稿していたと いうのだから、そのバイタリティは、どこから発生するのか? 大前氏が、日本で正当な評価を得ていないと以前より感じて いたが、この書を読んで、日本...
1980年代に書かれたものとは思えない先見性には、目を見張る ものがある。 しかも英文で、ハーバードビジネスレビューへ寄稿していたと いうのだから、そのバイタリティは、どこから発生するのか? 大前氏が、日本で正当な評価を得ていないと以前より感じて いたが、この書を読んで、日本人は、つくづく日本人を過小評価 するものだと実感した。
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本書は、大前氏がかつて寄稿した論文を日本語訳に直し、パッケージ化 したものである。時代が異なることから、収益機会の損失といった同じ問題であっても 事なる状況、ロジック、そして解決策となると思うが、根本的な考え方、方法論は 一切風化しないと考えられる。 よって、大前氏の数ある論文...
本書は、大前氏がかつて寄稿した論文を日本語訳に直し、パッケージ化 したものである。時代が異なることから、収益機会の損失といった同じ問題であっても 事なる状況、ロジック、そして解決策となると思うが、根本的な考え方、方法論は 一切風化しないと考えられる。 よって、大前氏の数ある論文から一つづつ取上げ、何が大切で、どのような 方法を取っているのか、又はロジックの流れはどのようになっているのか等を 読み解いていきたいと思う。 今回は第一章の「競争は戦略の目的ではない」という論文から知恵を得る。 「競争」が流行っているが、果たして「競争に勝つこと」が目的だろうか。 否、最もよい戦略は戦わずして勝つ事。つまり競争しないで勝つことだ。 そのためには、競争状況においてコストを目指すものでも差別化の名の下に 欧米モノマネで高級路線に走ることでもない。顧客目線で事業開発をする事である。 以上が本論分のコアの部分だ。 だが、上記内容は今では当たり前のことだ。 では、それを実現するためにはどのような方法を取っていけばよいのか。 氏の例示内容からポイントを列挙していく。 ヤマハ:正確な状況の把握(現場ヒアリング等) 家電メーカー:顧客の求めるものは何か?深堀をしていく。 その時のコアは原点に立ち返った質問事項であり、数人からのロングインタビューである。 カメラメーカー:なぜ“出来ないのか”を徹底的に解明。1万8000枚の写真検証。 家電メーカー:数百件の台所写真を取り、検証。 製薬メーカー:そもそもを考える。そして、社員50人、毎日1時間ごとに体調について一年間の記録を実施。 上記を考えると、つまり「現場力」が非常に大切であることが分かる。 昔の言葉では、足で稼ぐ。そこからしかインサイトは生まれてこない。 ただ全ては検証できない。そこで仮説を作ることになるが、その仮説を生む時にも 現場でのインタビュー、又は専門家へのインタビューが有効となる。 と、なんだか当たり前の内容になってしまったが、今のプロジェクトでこうも きれいに出来ているだろうか。と言われるとなかなか難しい部分がある。 見習える箇所は多いにあると思う。 以上
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やはり、原理原則は過去も現在も関係ないと再認識させてくれた本。 過去の事例が役に立たなければ、歴史がこんなに注目を集めることはないと思う。
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大前研一氏がHBRに書いた過去の論文10本と、WSJ紙に載せた短いコラムを寄せ集めたもの。書いた時期もまちまちで本として内容の一貫性は当然無い。各論文は、80年代から90年代半ばに書かれており記載されている内容は正直古い感が否めない。特に、トライアドという言葉で日米欧の三極をビジ...
大前研一氏がHBRに書いた過去の論文10本と、WSJ紙に載せた短いコラムを寄せ集めたもの。書いた時期もまちまちで本として内容の一貫性は当然無い。各論文は、80年代から90年代半ばに書かれており記載されている内容は正直古い感が否めない。特に、トライアドという言葉で日米欧の三極をビジネスにおける主戦場として定義しているが、すでにBRICSの台頭によって、現在こうしたトライアド地域が世界経済を牽引している状況には無いのは周知の通りである。トライアドを前提として書かれている企業戦略に対する様々な考察は、もちろん普遍的なものもあるが、市場環境が大幅に変わっている中で違和感があるものも多いという印象を受けた。これら論文の発表当時から10〜20年の年月が過ぎている現在、同じような趣旨の戦略論が後塵より洗練された形で提示されており、それらはより現在の市場環境を的確に反映している。こうした後塵に対する大前氏の功績も大きいとは思うが、今ここで無理やり古い論文集を出す意味がよくわからない。中身を見ていくと、半導体チップのクロック数の開発競争において、日本企業がキャッチアップし逆にリードする過程で、その競争力の源泉となったのは技術力だけではなく、むしろ変化への対応を迅速に行う組織と制度設計にあったという指摘はうなずける。また、環境への変化への対応として、現在中核となっていることを、Do More Betterでは乗り越えられないことが指摘されている。ミシンに見切りをつけ、制御技術を利用してOA機器メーカーとなり高収益企業へと脱皮したブラザーと、ミシンの更なる改良・改善への道を走り結局倒産したリッカーの対比はよい例であろう。
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