ぼくはくまのままでいたかったのに の商品レビュー
人の(熊だけど)価値は他人が勝手に決めるのか、それとも自分が決めるのか。冬眠から目覚めると世界は変わっていて自分が何者かわからなくなる熊。けれど結局人間の世界にはどこにも居場所はなくて又冬が巡り本能のままに冬眠する。哲学的な絵本だなと思った。
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表紙のインパクトよ。 自分のことは分かっとったつもりやったのに、やりたいこともあったはずやのに、否定され続け言われるがままに行動してたらアイデンティティごと見失ってしまった。 社畜やん。 この人ら動物社会派絵本?のイメージなんやけど、工場の機械の見開きページが素敵すぎ。もっと無...
表紙のインパクトよ。 自分のことは分かっとったつもりやったのに、やりたいこともあったはずやのに、否定され続け言われるがままに行動してたらアイデンティティごと見失ってしまった。 社畜やん。 この人ら動物社会派絵本?のイメージなんやけど、工場の機械の見開きページが素敵すぎ。もっと無機物も描いたらいいのに。
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ネットで紹介されているのを、見て、タイトルと表紙から興味をそそられ、アマゾンで中古本を入手。買って良かったです。 全編に渡って風刺が効いているのですが、動物園・サーカスの熊たちの描写が特に面白かったです。飼い慣らされると、ついに「檻の外にいるならば熊ではない。」と思うようになる。
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熊が人間に勘違いされて、怠け者扱いされて、働かないとならなくて。 人間の身勝手さと、熊が諦めて人として生きる悲しさとが滑稽で切なくてシュール。
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くまが冬眠から覚めると、洞窟の外の森は工場になっていた。 くまを見つけた人間達は、くまをクマと認めず、「さぼるな!」と言って工場で働かせます。 工場内で一番ヒマだった社長が、「自分はクマだ」というくまの訴えを面白がり、くまを動物園やサーカスに連れていき、他のクマ達に会わせます。 しかしどのクマも、オリにはいってもいない、芸もできないくまをクマと認めません。 くまは途方にくれてしかたなく工場で働き続けるも、冬眠シーズンが近づいていねむりばかりしてしまいます。 そして今度は一方的に工場をクビになりました。 勝手に働かせておいて、勝手に解雇されたのです。 工場を出て歩きつかれたくまはホテルを訪ねますが、「クマなんて泊められない」と冷たくあしらわれます。 クマじゃないから働けと言われ、クマだからホテルには泊まらせられないと言われ、くまは自分がなんなのかわからなくなっていきます。 雪の中には、洞穴へ続くクマの足跡が続いていきます。 くまは自分がなんだかわからなくなっても、本能で冬眠を始めたのでしょう…。 勝手に人を見定めて、本人の意思を無視して命令をくだす、 という人間社会を皮肉った絵本なのですが、 最近、人間なのにクマのふりをする人も増えてますので、完全同意できない自分がやるせないです・・・。
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なんで表紙画像がないんだろう。私がよみたいと思ったきっかけが鏡に向かってヒゲを剃る悲しげなクマの絵だったのに。ヒゲの濃いクマみたいな男ではなく、本当のクマ。なのにクマだと認めてもらえないんだ。 冬眠の間に森を工場に変えてしまった身勝手な人間が、押し付ける概念に流されて、働かされる。そして再び冬が近づくとクマの本能が… 自分探しとかいうけれど、自分が自分を忘れてしまったら、見つかるわけがない。けれどまた冬眠してしまうクマのように、どんなに流されても、逆らえない本質があるんだね。何か大事なこと思い出したいと思う大人絵本。
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どこかの書評で、たまたま見つけた一冊。 さ〜っと斜め読みにしていた書評だったのに、その「くまのままでいたかったのに…」というタイトルが惹き付け、図書館の書庫から借りてきた一冊。 あきらかに、どうみたって、くまなのに、みんなが「おまえはくまじゃない。労働者だ。」っていいながら、...
どこかの書評で、たまたま見つけた一冊。 さ〜っと斜め読みにしていた書評だったのに、その「くまのままでいたかったのに…」というタイトルが惹き付け、図書館の書庫から借りてきた一冊。 あきらかに、どうみたって、くまなのに、みんなが「おまえはくまじゃない。労働者だ。」っていいながら、一人前の働き人に仕立てようとする。 くまは、どうにかレールに乗っかろうとする。 けど、どうしてもうまくいかない。 だって、くまなんだもん。 どうにかこうにか、つくろいながら、やってるけど、やっぱり無理で、逃げ出す。 しかし、あれ? しばらく文明の機械のネジになったぼくは山に戻って、果て? なにか大切なことが、ぽっかり消えてしまったように思う―しかし、それがなんなのか。うまく思い出せない・・・ こんな気持ちに、わたしも時たまなることがある。 それは大抵、我の大切なものを忘れて、社会のヨシとするものにならないと!と焦り、走っているとき。 そんなときは、たとえ暇な時間ができても、こころここにあらず。落ち着けない。 時間をかけながら、またいつか来た道を手繰り寄せるように、戻ってみる。 野の川を歩きながら、風を頬に感じ、草や木々の香をかぎ、季節の花の色を思い出す。 そうするうちに徐々に、取り戻す。 でも、もう、、単なる社会のネジにはなるまいとおもう。 あんなからっぽな気持ちになるのは、ほんとに切ないんだから。 1970年代にこんな素晴らしい絵本が出ていたのね。 繰り返しくりかえし、思い出した頃に読みたい一冊。 出会って良かった。
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美しい森に住んでいた一匹のくま。ふゆのあいだに、人間たちは森を破壊し工場をつくってしまいます。 目覚めたときくまは・・・ 自然のままでいたかった 「なにか だいじなことを わすれてしまったらしいいな、と くまはおもった。 はて なんだろう?」 この言葉は、人間自身が問いかける...
美しい森に住んでいた一匹のくま。ふゆのあいだに、人間たちは森を破壊し工場をつくってしまいます。 目覚めたときくまは・・・ 自然のままでいたかった 「なにか だいじなことを わすれてしまったらしいいな、と くまはおもった。 はて なんだろう?」 この言葉は、人間自身が問いかけるべき問です。 1978年の初版 もうずいぶんとおなじことを悩んでいる私たちです。目のまえのできること、大事にいきましょう。いきます。
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よく大学入試の国語の評論文で出てくるような「労働による人間性阻害」に対する批判を絵本でやるドイツ人はすごいんだか危険なんだか分かりませんw人間じゃなくって熊だけどね。 示唆深い言葉が案外多かったのに戦慄。やはり絵本も言論なんでしょうかね。子供向けに刷り込み系プロパガンダになりやし...
よく大学入試の国語の評論文で出てくるような「労働による人間性阻害」に対する批判を絵本でやるドイツ人はすごいんだか危険なんだか分かりませんw人間じゃなくって熊だけどね。 示唆深い言葉が案外多かったのに戦慄。やはり絵本も言論なんでしょうかね。子供向けに刷り込み系プロパガンダになりやしないかと心配してしまう自分の感覚がきわめて日本人らしいと思ってしまった読後感。 要は、大人向け絵本だと思います。
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