トリゴラス の商品レビュー
最新作「トリゴラス」にも、少年の鬱屈した凶暴にして性的な想像カが描かれている。真夜中、“びゅわんびゅわん”空に鳴っているあの音は“かいじゅう”にちがいないと想像する少年を描いた絵本である。 それが「トリゴラス」という鳥の怪獣であり、少年の想像によって夜の都市の上空を低飛行している...
最新作「トリゴラス」にも、少年の鬱屈した凶暴にして性的な想像カが描かれている。真夜中、“びゅわんびゅわん”空に鳴っているあの音は“かいじゅう”にちがいないと想像する少年を描いた絵本である。 それが「トリゴラス」という鳥の怪獣であり、少年の想像によって夜の都市の上空を低飛行している姿は、涙ぐましいまでに、よい。 「トリゴラス」は、めちゃめちゃに都市を壊滅していくが、ついに少年のもっともおそれた“かおるちゃんのマンション”に近づいて、彼女をさらっていく。そして「もう まちに ようはないねん」といって、「トリゴラス」は去っていく。「あの音は ただの風の音じゃ」と父にさとされる少年の顔は、凶相を帯びている。長谷川集平は、少年の永遠の姿を捉えたともいえるが、コンテンポラリーに響き合うものも強烈に備えている、と言ってよいだろう。--少年の永遠の姿をとら捉えた絵本 草森紳一(アサヒグラフ「絵本とは何かへの解答」より)とカバーの裏に書いてある。題は少年の永遠の姿を捉えた絵本とある。確かに少年の内面をトリゴラスになぞられているのだろうが、大人になってしまったわたしには良く分からない。少年のお父さんが分からなかったように。少年はお父さんになんて言ってもらいたかったのかな?
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この絵本を、どうしても子ども達に知らせたくて読み聞かせに使った。 おそるおそる読んでいくうちにクラス中が静まりかえっていった。 そして一人の男児が、ハラリと涙を流しているではないか! この絵本のレビューを言葉にするのは難しい。 一人の少年がびゅわんびゅわん吹く風の中に怪獣トリゴ...
この絵本を、どうしても子ども達に知らせたくて読み聞かせに使った。 おそるおそる読んでいくうちにクラス中が静まりかえっていった。 そして一人の男児が、ハラリと涙を流しているではないか! この絵本のレビューを言葉にするのは難しい。 一人の少年がびゅわんびゅわん吹く風の中に怪獣トリゴラスが襲い来る音を聞く。 「おとうちゃん‥、おとうちゃん」‥呼んでも相手にしてくれない父親と母親。 そして大切なかおるちゃんの部屋に巨大なトリゴラスは近づいていく‥。 読み聞かせで涙を流した男児のその涙は「恐怖」だったんだろうか? それともこの絵本の中の「無理解の親」に対してか? 作品に宿る、少年の内面の繊細さと、好きな女の子に対する暴力性。 アンビバレントなその両方を抱えて男の子は成長していくのだろう。 大人になってしまった男性にもぜひ読んでほしい一冊。
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読む人によって解釈が違いそうだけど、キワドイ作品。暴れまわる少年の想像のトリゴラス、かおるちゃんをさらって街を去る。最後のページで純粋な恋の様な、行き場のない泥臭い性欲の様な、複雑な気持ちを沸かせる。
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少年の内面を通して思春期であった昔の自分と重ね合わせ共感するものを感じる。 怪獣にさらわれた女の子が何だかエロチックである。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1978年刊行。シュールな絵本である。闇夜に響く風、鳥怪獣トリゴラスが破壊する街並み、ただ一人の少女を連れ去るトリゴラス。黒を基調にした絵柄が、えも知れない雰囲気をかもし出すのだが…。それにしても、こんな絵本を真剣な目で見ている長男って、いったい…。裏表紙の、窓の外から部屋をのぞき見するトリゴラスの目に、なんともいえない不気味さがある。とはいえ、本書を勧めてきたのは、当時小学低学年の長男である。うーん…。
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男子の性の目覚め?最初の布団のシーン。女の子のシーン。トリゴラスというワイルドな存在。どれも象徴的。
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絵本だが少年のおどろおどろしい感情を上手く描写している。 少年が好きな少女がトリゴラスにさらわれるのもエロちっく。
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トリゴラスと言う怪獣の話かと思いきや、何やら意味ありげな絵本。少年の深層心理っていうのかな。りょうたんには難しいかなと思ったけど、意外にも気に入ってた。
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ちょっと暗い、夢のなかの世界。関西弁のリズムが心地よい。4歳児に読み聞かせ。息子が保育園で読んで気に入って借りてきました。
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※このレビューはずいぶん前に書いたものです。 男の子ができたら、絶対に読んでやろうと決めていた本です。 女の子でも楽しめますが、 男の子に読んであげたかったのです。 空想の怪獣におびえる男の子と、 それをあほかいな、と受け流すお父ちゃんの なんとも言えない会話が大好きなのです...
※このレビューはずいぶん前に書いたものです。 男の子ができたら、絶対に読んでやろうと決めていた本です。 女の子でも楽しめますが、 男の子に読んであげたかったのです。 空想の怪獣におびえる男の子と、 それをあほかいな、と受け流すお父ちゃんの なんとも言えない会話が大好きなのです。 哀愁のただよった大阪弁が魅力です。 え?これでおわり? と思う人がいてもおかしくないようなラストが とくにお気に入りです。 切なくなる表情がなんとも言えません。 残念ながら… 私がその男の子になりきりすぎて 恐ろしい気持ちをたっぷりこめて読んでしまって、 それ以来息子はこの本を怖がって見てくれません。(泣) でもいいんです。 またいつか、その怖さも楽しんで 何度も読んで読んでと言ってくれる日がくると思います。 その日を楽しみにしています♪
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