なおみ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
子供のとき読むのと大人になってから読むのとで、これほど印象の違う絵本も珍しい。 はじめて読んだのは、ちょうどこの本の「わたし」と同い年の頃だ。仄暗い古びた洋館も、「なおみ」という日本人形も、なおみとほとんど同化している少女も、当時の私にはただ不気味としか思えなかった。しかも突然なおみが死んでしまうという驚愕の展開に、私はすっかり怖くなり、以降のページをめくることなく本を閉じてしまった。そして結末を知ることなく、それきりになっていた。 つい最近、この本が福音館の「傑作絵本シリーズ」の一つとして復刊されていることを知った。作者が谷川俊太郎であることもその時はじめて知った。めくることのできなかったページの先には何があったのだろう…。好奇心に負けて、本を購入し再読した。 読み終えて、思わずため息をついた。描かれていたのは、子供の頃に抱いた印象とは全く異なる世界だった。仄暗い洋館は「古い」というより「アンティーク」と呼ぶにふさわしい趣きを備えていたし、純粋な日本人形だと思っていたなおみは意外と西洋的で愛らしい顔をしていた。人形と戯れる少女の姿は確かに異様だが、それは日本版 Gothic & Lolita とでもいうべき世界観であり、ある種のエロティシズムを感じさせるものだった。 そして、ストーリーも私の記憶とは全然違うものだった。子供の頃の私には、なおみが死んでしまった理由がわからず理不尽としか思えなかったのだが、今ならわかる気がする。なおみは何も変わっていない。変わったのは少女の方だ。もはやなおみと同化するのが不可能になるほど、急激に成長を遂げたのだ。それと自ら気付かぬままに、少女時代に終わりを告げようとしているのだ…。 しかしひとつの季節の終わりは、新しい季節の始まりである。かつて私がめくれなかったページには、そのことが描かれていた。大人になった少女は屋根裏部屋でなおみと再会する。そして「むかしのままのなつかしいなおみ」を、自分の娘に与えるのだ。こうして母から娘へと物語は受け継がれてゆく。これまでもそうだったように、これからもずっと。 いろんな意味で、子供向けとは思えないインパクトと詩情を備えた絵本である。復刊によって再読できたのは幸いだった。福音館書店のセレクションに感謝したい。
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怖い絵本だと聞いたので図書館で借りてみたっ 女の子となおみのサイズがあんま変わらなくてびっくり こんな大きな人形いたら怖いだろうなあ なおみの着物が黒っぽい地味なものっていうもの不気味。 小さいころに読んでたらトラウマになってただろうなあ。
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日本人形と対話する少女の話なんですが、絵本というより写真集ですね。 なかなか無いシチュエーションだし、不安、哀愁を感じさせる世界観です。 子供の頃は全く「子供向け」らしくないこの世界観に怖がりながらも何度も読んでいました。 それだけ惹かれる本だったんでしょう。 リアルで、寂しくて...
日本人形と対話する少女の話なんですが、絵本というより写真集ですね。 なかなか無いシチュエーションだし、不安、哀愁を感じさせる世界観です。 子供の頃は全く「子供向け」らしくないこの世界観に怖がりながらも何度も読んでいました。 それだけ惹かれる本だったんでしょう。 リアルで、寂しくて、日本人形の独特の雰囲気と言うか、 エネルギーが写真に閉じ込められいて...。 人形も生きている、それが感じられる作品、でしょうか。 この作品を手掛けた作者は、 「少女アリス」という写真集も出版しています。 アリスの方は哀愁、耽美、官能的な写真集。 どちらも私のお気に入り。ぜひ手に取ってみてください。
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この洋館、今見ると、随所に見られるアールデコ意匠がライト的。 でも、明らかに帝国ホテルでもなければ、明日館でもヨドコウ迎賓館でもない。 ということはお弟子さんかな?と思って調べてみたら、 案の定遠藤新の設計でした。 鎌倉にある邸宅で、たまに公開しているそう。 見学に行ってみたいな...
この洋館、今見ると、随所に見られるアールデコ意匠がライト的。 でも、明らかに帝国ホテルでもなければ、明日館でもヨドコウ迎賓館でもない。 ということはお弟子さんかな?と思って調べてみたら、 案の定遠藤新の設計でした。 鎌倉にある邸宅で、たまに公開しているそう。 見学に行ってみたいな。
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自分のこころの中にいる存在が、そのまま外に出て来たような錯覚をうける。この本が絵だったら面白さはガクンと下がってしまっただろう。写真だからこの独特の空気感が出せたんだと思う。人形の表情がとてもいい。怖いとは思わなかった。
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【閲覧注意】皆のトラウマ絵本ってなに? http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51466594.html ぶっちぎりに名前の挙がっている本 ちょっと読みたいなぁ
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【閲覧注意】皆のトラウマ絵本ってなに? http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51466594.html ぶっちぎりに名前の挙がっている本 ちょっと読みたいなぁ
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怖い、暗い!(画面と雰囲気が) 「私」と「なおみ」は、仲良し過ぎて(というと非常に語弊が有りますが、 文字通り一心同体に近い状態なんです)もはや同化しそうな勢い。 「私」と「なおみ」の呪縛だけでなく、「私」と「子」の呪縛も感じます。 0425-0425 ///// 6歳の私と、...
怖い、暗い!(画面と雰囲気が) 「私」と「なおみ」は、仲良し過ぎて(というと非常に語弊が有りますが、 文字通り一心同体に近い状態なんです)もはや同化しそうな勢い。 「私」と「なおみ」の呪縛だけでなく、「私」と「子」の呪縛も感じます。 0425-0425 ///// 6歳の私と、“私のうまれるずっとまえから私のそばにいた”人形の「なおみ」。この「ふたり」の交流と別れを通して、子どもの「時間」を美しく描き出した写真絵本です。月刊絵本「こどものとも」の1冊として出版され話題を呼んだ作品が、25年の時を経てよみがえります。 とつぜん なおみが びょうきになった だれにも わからなくても わたしには わかる
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文・谷川俊太郎、写真・沢渡朔の写真絵本。未見だが「こわい」らしいので気になる。 買ったので追記:むむ、子供向けと思えぬこの味わい。短い言葉の深さに打たれるのである。そしてラストに。 たしかにこわいと思うのも無理からぬ人形造形&写真であるが。
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