対岸の彼女 の商品レビュー
ことごとく登場人物が女性。葵の母親と小夜子の義母や娘、職場の同僚、伊豆の女将さん、それぞれのキャラクター化と思考回路を書くのがとにかくうまい。終盤になって葵の章が小夜子の問いかけで始まる形になるのが面白い。このまま小夜子と決別したけどお互いちょっと大人になれたよねエンドを迎えるの...
ことごとく登場人物が女性。葵の母親と小夜子の義母や娘、職場の同僚、伊豆の女将さん、それぞれのキャラクター化と思考回路を書くのがとにかくうまい。終盤になって葵の章が小夜子の問いかけで始まる形になるのが面白い。このまま小夜子と決別したけどお互いちょっと大人になれたよねエンドを迎えるのか?ハッピーエンドが見たいどうやって終わるんだ!?とハラハラした気持ちでいると、最後の最後に綺麗に着地してホッとする。 これは2007年の作品で随所に今と違う価値観がわかるのも面白い。専業主婦の働く母批判なんかは特にそう。女同士って面倒だよね女の敵は女だよね、などという煽りは本当に安っぽく全く軸じゃない。2人の女性を中心に多様な女性像を描いてるのであって、女同士に限った人間関係を描いているわけではない。 なぜ人は歳をとるのか。それは人と出会うためだ。出会いと別れを繰り返すものだ、扉を閉じてはだめだ。という普遍的で前向きなテーマに集約されたのがよい。ナナコはどうなったのか、指輪は買ったのにあげられないまま後生大事にしてるのか、それが気になる。 ナナコを含めたメイン3人が善良なので読んでいてストレスがない。謎に粘着質で湿度の高い学生時代の人間関係も、35歳の母親になっても同じことを繰り返しているというのは、その通りだと思う。木原が実は葵の過去を握るキーパーソンなのか?と思ったら、この上なく現実的で立体的なキャラだった。ここだけ現代のホラーでゾッとした。そんなところも面白い。 とにかく面白いです。私は人に会うのがちょうど億劫になっていて、熱海旅行の約束断ろうか悩んでたんですが、扉を開けてみることにします。
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「隣の芝生は青く見える」って色んなところで言われてるのに、自分のことになるとそんなことは忘れて、他人を羨ましがったり恨んだりまでする人が現実の世界にもいっぱいおるなと思った。対岸におる人とは分かり合えへんって思う未来が、いつか自分にもくるんかなー出来るだけ分かり合いたい
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この小説を最後まで読み終えたとき、誰もがきっと静かな感動の中でこう思うだろう。 自分も前へ進もう、と。 森絵都さんの帯に吸い寄せられた 「おとうさん、なんであたしたちはなんにも選ぶことができないんだろう。」 葵がタクシーの中で泣き出した時、スイッチを押されたみたいに涙がぼろぼろ...
この小説を最後まで読み終えたとき、誰もがきっと静かな感動の中でこう思うだろう。 自分も前へ進もう、と。 森絵都さんの帯に吸い寄せられた 「おとうさん、なんであたしたちはなんにも選ぶことができないんだろう。」 葵がタクシーの中で泣き出した時、スイッチを押されたみたいに涙がぼろぼろ溢れた。 ナナコの存在が大きくなりすぎて、苦しくなった。 「なぜ私たちは歳を重ねるのか。」 小夜子が自問する度にモヤモヤした気持ちになる。 「なぜ私たちは歳を重ねるのか。 生活に逃げ込んでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。」 「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね。」 どうしてこんなに泣いてるのか、自分でもわからくて、小夜子たちの年齢まで歳を重ねてまた読みたいと思った
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大人になるにつれ親友や友達と距離ができて、なんだか学生のように気軽に人と話すことができなくなったなあと思っていた矢先にこの本。人生に別れはつきものだけど、その分新しい出逢いもあるという明るい締めくくり。良い
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私にはハマらなかったかなー 結局なんの話だったのかもよくわからないまま終わりました。 面白くも思えなかったので、読むのに時間がかかりました。
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女性同士の友情について、深く切実に描く作品でした。 学生時代のとある少女と少女の出会い、つながり、友情、やるせなさと、時が流れて出会ったとある主婦と女社長のつながり、友情、亀裂。彼女たちが得たものと失ったものについて、少なからず身に覚えのある感覚に引き込まれる物語となってい...
女性同士の友情について、深く切実に描く作品でした。 学生時代のとある少女と少女の出会い、つながり、友情、やるせなさと、時が流れて出会ったとある主婦と女社長のつながり、友情、亀裂。彼女たちが得たものと失ったものについて、少なからず身に覚えのある感覚に引き込まれる物語となっていました。 視点の切替わりと場面転換が秀逸で、どちらの時代の二人もとても愛しいキャラクターとして見ることができます。 もしかしたら、今作は男性の目線で読むと違う物語に見えるかもしれません。女性同士の友情というのは、複雑です。学生時代でも、大人になってからでも。けれど、複雑に絡み合ったその奥にある物が何なのか、そっと覗き見ることができるような作品であると感じました。 雰囲気は違うのですが、読んでいる最中『光のとこにいてね』の二人を少し思い出していました。 年を重ねることの意味、私も噛み締めていきたいです。
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直木賞受賞作です。 女性ならでは視点で描かれた、友情、仕事、子育て、家族の物語。 自分を強くもつのは大変なこと。 人は1人では生きられないことを再認識。
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専業主婦の小夜子と女社長の葵。 同じ女性でありながら対極にある二人。 女性の友情は立場によって変化し環境に適して繋がっていくが、それは時に脆くて儚い部分もある。 しかし、一度受け入れたその心は忘れられることなく自分の一部となっていく。
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人との向き合い方 繊細な人や、思春期に人との関わり方で悩んだ人には刺さる小説ではないかなと思った。 「人は何のために歳を重ねるんだろう?」という問いが印象的だった。
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昔の自分と今の自分、サヨコの人格から時間の経過を感じられました。 1番近くにいる人の存在、その人との経験、それを見る周りの人たちの反応など複合的な要素から自分自身も変わっていく。
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