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キルディー小屋のアライグマ の商品レビュー

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2009/10/04

 その家はとても小さな家。片側の壁は、山のてっぺんの、大きなアメリカ杉に、よりかかるようにして建てられ、海をのぞむ窓には、お店用のショ−ウインドウが使われ、つまり、後ろの壁は杉の木、前の壁一面は、ドア以外は窓になっている、とても奇妙な家。住むのは、ジェローム・キルディー。この家は...

 その家はとても小さな家。片側の壁は、山のてっぺんの、大きなアメリカ杉に、よりかかるようにして建てられ、海をのぞむ窓には、お店用のショ−ウインドウが使われ、つまり、後ろの壁は杉の木、前の壁一面は、ドア以外は窓になっている、とても奇妙な家。住むのは、ジェローム・キルディー。この家は、彼が建てたもので、窓も、暖炉も彼の作。長年、墓石彫りの石工として働き、ついにはこの山奥の小屋で、余生を暮らそうというわけです。  ジェロームといえば、だんまりや。昔から、人付き合いでは、うまくしゃべれず、大変損をしてきました。この山に住んでからも、お隣さんのイッピー一家とも、ほとんど顔を合わさないまま。でも良いのです、山の中ですから。ところが、このごろ思いがけず、ジェロームにも友達ができたのです。それは、アライグマ“ブッチョウヅラ”。もともと、アメリカ杉に巣を構えていたアライグマですが、どうやらこの家が気に入ったよう。そのうちに、ジェロームの小屋には、マダラスカンクやハツカネズミ、そして“ブッチョウヅラ”のおくさん…。いろんな友人が住みつきます。ジェロームにとっては、とても気の合う仲間達。彼らとのつきあいの中、心が柔らかくなってきたところに、お隣イッピー一家の末娘、エマ・ルーが訪ねてきます。エマ・ルーはとても動物好き、すぐにこの小屋が気に入ります。しかし、これだけの大家族、問題が起こらないわけがありません。ジェロームとエマ・ルーと、そして、動物たちの生活が始まるのです。  日本に住む私達にとって、この、動物だらけの生活は想像もできません(私は、床下にネズミがいると想像しただけで恐怖です!)。この作品の、擬人化した、とまではいかないまでも、動物たちと人間を同等にあつかう表現や、動物の細かな描写は、人間も、自然の中に生きる生物であることを、思い出させてくれます。人間も動物です。自然との共存とはどういう事なのか、その一例として、このような心豊かな方法もあるのではないか、と思います。

Posted byブクログ