千の脚を持つ男 の商品レビュー
「沼の怪」は、"あの手"の化け物の本来持つべき厄介さを描いていて好き。 また読みたいが、電子化されないものか。 1953年に『ウィアード・テイルズ』誌で発表されたという作品。 H.P.ラブクラフトの『狂気の山脈にて』でショゴスが描かれたのが1931年。 映画...
「沼の怪」は、"あの手"の化け物の本来持つべき厄介さを描いていて好き。 また読みたいが、電子化されないものか。 1953年に『ウィアード・テイルズ』誌で発表されたという作品。 H.P.ラブクラフトの『狂気の山脈にて』でショゴスが描かれたのが1931年。 映画「マックイーンの絶対の危機(The Blob)」が1958年。 おそらくモンスターとして定着するのは1974年の「D&D」が決め手だと思うが、不定形の粘液状怪物というものを生み出したオリジンの一つではないかと思う。
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表題に惹かれて古本を購入。 即座に思い浮かべたのは ジョン・カーペンター『マウス・オブ・マッドネス』。 https://booklog.jp/item/1/B00EIG5QCY きっとラヴクラフト的世界観の短編を収集した本なのだろうな…… という予想は、ちょっぴり当たりで、かなり...
表題に惹かれて古本を購入。 即座に思い浮かべたのは ジョン・カーペンター『マウス・オブ・マッドネス』。 https://booklog.jp/item/1/B00EIG5QCY きっとラヴクラフト的世界観の短編を収集した本なのだろうな…… という予想は、ちょっぴり当たりで、かなり外れていたが(笑) 粒揃いの作品集で、想定外の満足度。 ある種のモンスターが跋扈する英米のホラー小説、全10編。 ■ジョゼフ・ペイン・ブレナン 「沼の怪」 "Slime"(1953年) ■デイヴィッド・H・ケラー 「妖虫」 "The Worm"(1929年) ■P・スカイラー・ミラー 「アウター砂州(ショール)に打ちあげられたもの」 "The Thing on Outer Shoal"(1947年) ■シオドア・スタージョン「それ」 "It"(1940年) ■フランク・ベルナップ・ロング「千の脚を持つ男」 "The Man with a Thousand Legs"(1927年) ■アヴラム・デイヴィッドスン「アパートの住人」 "The Tenant"(1960年) ■ジョン・コリア「船から落ちた男」 "Man Overboard"(1960年) ■R・チェットウィンド=ヘイズ「獲物を求めて」 "Looking for Something to Suck"(1969年) ■ジョン・ウィンダム「お人好し」 "More Spinned Against"(1953年) ■キース・ロバーツ「スカーレット・レイディ」 "The Scarlet Lady"(1966年) ちなみに、あとがきによれば、 編訳者の念頭にあったのは『ウルトラQ』のイメージだったとか。 以下、特に面白かった作品について、ネタバレなしで少々。 スタージョン「それ」 牧場主である兄を手伝う弟オルトンと 相棒の猟犬を襲った“それ”の正体は……。 ロング「千の脚を持つ男」 世間に才能を認められない天才の欲求が捻じれて 奇天烈な発明を……。 ラヴクラフトを囲むサークルの古参だったという作者の、 ラヴクラフト作品をグッと親しみやすく 馬鹿馬鹿しくした雰囲気の怪作。 怪物と接触した人々の証言を継ぎ合わせた叙述形式が ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』風。 ロバーツ「スカーレット・レイディ」 会計士ジャッキー・フレデリクスが手に入れた 美麗な車は生き血に飢えていた。 その真っ赤な車、 スカーレット・レイディに取り憑かれたかのような 弟を必死に止めようとする、 兄の自動車整備士ビルだったが……。 あの長編『パヴァーヌ』 https://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4480429964 の作者が、 スティーヴン・キング『クリスティーン』の 先駆のような作品を書いていたとは。 話の“落とし方”も、凄く好みのタイプ。
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隙間時間にちまっと、さらっと読める文庫版の短編集って大好き。 『それ』が一番の好みだった。やっぱりスタージョン
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①ジョゼフ・ペイン・ブレナン/沼の怪 ②デイヴィッド・H・ケラー/妖虫 ③P・スカイラー・ミラーアウター/砂州に打ちあげられたもの ④シオドア・スタージョン/それ 型は違えど訳わかんないモンスターがドペーッと襲ってくるという。お好きな人は楽しいんでしょうが・・・みんなラブクラフトじゃん!イカとかタコとかって日本人的には平気だし。4つを並べると④が◎かな、追い詰められる感バッチリで。 ⑤フランク・ベルナップ・ロング/千の脚を持つ男 マッド・サイエンティストもの。やーね、暴走する科学者って。 ⑥アヴラム・デイヴィッドスン/アパートの住人 朽ちるに任せる人生、って好きなんだけど、この作者、ドライ過ぎ。 ⑦ジョン・コリア/船から落ちた男 シュリーマンだ!コンラッドだ!これはホラーじゃないでしょう。男はロマンだ。いい話だわ・・・コリアなのに ^^/ ”猫嫌いにつきまとう猫”のようなガイセガー、ってのがいい視点。いるいる、こういう人・・・ ⑧R・チェットウィンド=ヘイズ/獲物を求めて ①~④の系統。今度は巨大な白ミミズ。うへ。 霊感の強い妻も良し悪しかな。同衾は勘弁~ ⑨ジョン・ウィンダム/お人好し アラクネもの。途中で気付くけど、キレイなオチ。 ニヤリとさせられます。 ^^/ ⑩キース・ロバーツ/スカーレット・レイディ スチームパンクの人がこんなのも書くんだー。メカ好きなのね。憑かれている当人は平気で周りが振り回される、っていうこのパターン、疲れるわあ。くどさがキングっぽい。
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既存の生物に似ているものから異形の化け物、命を持った無生物から形を持たない化け物まで。ありとあらゆる化け物の異形カタログ。
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10編の古典ホラーを楽しむことができた。『千の足を持つ男』はタイトルに採用されているだけあり良く練られていて面白かった。特に良かったのは『スカーレット・レイディ』。最期を迎えようという時でさえ、そして最期を迎えたあとでも関わった者に不幸を撒き散らす”彼女”の殺意がこれでもかというほどに徹底的に描かれていて読み応えがあった。
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怪物ホラーアンソロジー。怪物、といってもポピュラーなものではなく、むしろカテゴライズされにくいものが多いような。だからこそより一層おぞましく恐ろしく感じます。 お気に入りはシオドア・スタージョン「それ」。怪物のわけ分からなさ(やたらと思念深いのは何なのでしょう)と不気味さは一番だ...
怪物ホラーアンソロジー。怪物、といってもポピュラーなものではなく、むしろカテゴライズされにくいものが多いような。だからこそより一層おぞましく恐ろしく感じます。 お気に入りはシオドア・スタージョン「それ」。怪物のわけ分からなさ(やたらと思念深いのは何なのでしょう)と不気味さは一番だと思いました。そしてジョン・ウィンダム「お人好し」も好き。軽くさくっと読めるし、アラクネのキャラはなんだか可愛くて。なのに……この結末には最高に悪辣でした。やられたなあ。
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創元推理文庫が世に放つ、怪物ホラー傑作選「千の脚を持つ男」。 本屋で偶然見つけた本です。 タイトルにひかれて手にとって見ると、「創元」「怪物」「ホラー」と、そこには私のツボを刺激するキーワードが3つも揃っていました。 もう、なんというか「ふふっ、買わずにいられるものなら買わないでみろよ」と本に挑まれてるというぐらいに。そう、君の勝ちだよ。 デイヴィッド・H・ケラーの「妖虫」はじい様と犬という、ベストマッチなコンビが怪物に襲われるというお話なのでお気に入りです(何か誤解をまねく感想ですが)。 その中で、怪物を目の前にしたじい様が二十トンもある石臼をコイツに飲み込ませたらひとたまりもないんじゃないか?と考え、躊躇なく「喉でもつまらせやがれ!」と怒鳴るのですね。おお、勇ましい!でも、自分はどこに関心したかっていうと、どちらかといえばじい様は「やっつけたい気持ち」より「やってみたい気持ち」のが、ここは強いように思えたのですよね。分かるわー、と肩を抱きたいです。結局「また今度な!」と口調だけは勇ましいじい様。さて、どうなるのか・・・。 個人的に最恐だったのがP・スカイラー・ミラーの「アウター砂州に打ち上げられたもの」でした。水平線と海の怪物(クラーケンとか)恐怖症な自分には、オヤジが金切り声あげちゃう気持ちがよーく分かる。本当に恐いと背筋が伸びちゃうんだよね。 何度読んでも面白いです。 各物語で、怪物たちがじわじわと話を浸食し始めるとわくわくしちゃいますね。
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同じ編者によるアンソロジー「影が行く ~SFホラー傑作選」がかなり面白かったし、このシリーズ?のネタ元となった「ウルトラQ」をオンタイムで知らぬ自分であっても、怪物ホラーとなれば興味が湧かぬはずもなし。期待を込めて読んでみた。 英米の作品から選ぶとなるともなれば「ウィアード・テ...
同じ編者によるアンソロジー「影が行く ~SFホラー傑作選」がかなり面白かったし、このシリーズ?のネタ元となった「ウルトラQ」をオンタイムで知らぬ自分であっても、怪物ホラーとなれば興味が湧かぬはずもなし。期待を込めて読んでみた。 英米の作品から選ぶとなるともなれば「ウィアード・テイルズ」初出のパルプ・ホラーは避けられないのだろうが、それでも下らなさ、馬鹿ホラー方面に安易に走らず、また凡百のいわゆるモンスター/怪物に囚われない斬新なもの、初邦訳の作品を多く選んでいるところ(有名作品も2点あるが、これも新訳で出すこだわりぶり!)に、編者のジャンルへの愛着と慧眼ぶりが伺える。 良心的なアンソロジー。
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日本オリジナルの怪物小説アンソロジー。編者曰く、コンセプトは「活字で読む『ウルトラQ』」! これは怪獣・妖怪好きにはたまらない……と思ったのだが、スタージョンの「それ」以外はあまりピンとこなかった。むしろ「それ」が出色すぎて、やや浮いている印象。意思を持った腐葉土って設定がまず凄...
日本オリジナルの怪物小説アンソロジー。編者曰く、コンセプトは「活字で読む『ウルトラQ』」! これは怪獣・妖怪好きにはたまらない……と思ったのだが、スタージョンの「それ」以外はあまりピンとこなかった。むしろ「それ」が出色すぎて、やや浮いている印象。意思を持った腐葉土って設定がまず凄いもんね。
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