大好きな本 の商品レビュー
川上弘美さんの作品は「ニシノユキヒコの恋と冒険」「夜の公園」「風花」「ざらざら」「どこまで行っても遠い町」を読みました。 この本は書評集です。 川上弘美さんが新聞などに連載した144冊の本が400ページほどに載っていますので、1冊2,3ページと読みやすいです。 知っている本が少な...
川上弘美さんの作品は「ニシノユキヒコの恋と冒険」「夜の公園」「風花」「ざらざら」「どこまで行っても遠い町」を読みました。 この本は書評集です。 川上弘美さんが新聞などに連載した144冊の本が400ページほどに載っていますので、1冊2,3ページと読みやすいです。 知っている本が少なかったので、自分の読書趣味を広げたいと思いました。 今回は拾い読みです。 書評集と言っても、エッセイのようなところもあります。 本を知らなくても楽しめます。 ゆっくりと読みたいと思う本です。 角田光代「草の巣」 「絶対に大丈夫と思った瞬間に、ものごとは大丈夫でない方向に行き始めるように思う。」とあります。 この作品は知らないのですが、読んでみたいと思いました。 永井愛「ら抜きの殺意」 有名な戯曲です。 永井愛さんの戯曲は、「新・明暗」「萩家の三姉妹」は知っています。 舞台は観たことはありません。 小川洋子「偶然の祝福」 川上弘美さんにとって小川洋子さんは新刊が出たら必ず買う作家なのだそうです。 信頼できる作家、追いかけている作家、というわけです。 「ゆっくりと気ままに追う作家が何人かいて、その作家たちの本をまだ読み尽くしていないとき私は幸せである」そうです、そうです。 小川洋子「博士の愛した数式」 この作品は読みました。 映画も観ました。 川上弘美さんは、「私」と息子が博士に感じる愛と、博士が「私」経ちに感じる愛とが決定的に質が異なるために悲劇があり、同時に崇高だと書かれています。 瀬尾まいこ「天国はまだ遠く」 「分からないから好き」という小説があると川上弘美さんは言います。 瀬尾まいこさんには、しぶといものがあり、それが作品を切れ味とコクのあるものにしていると言います。 その実態は「分からない」が痛快だということです。 夏石鈴子「夏の力道山」 「週刊ブックレビュー」で紹介があり、購入してツンドクになっていた本です。 大きなドラマはないが、愛とは何かが端的に表現されているとあれば、読みたくなります。 この作品の中の愛は見えるだけでなく、触れることができると言うことです。 岸本佐知子「ねにもつタイプ」 「週刊ブックレビュー」で特集があり、購入して読んだエッセイです。 本を読むときのTPOを気にすると書いてあって、共感しました。 「冬の伽藍」は冬が良いし、ベッドの上で読む本、図書館で読む本、電車の中で読む本、空き時間を利用して読む本、確かに考えます。 長谷川泰子「中原中也との愛」 川上弘美さんは中原中也の詩を愛読していたそうです。 長谷川泰子は中也の恋人でしたが、小林秀雄のところに走ります。 「不思議な3人の関係」のことについて触れています。 山口湯田温泉の中原中也記念館にまた行きたいです。
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2008.09.06. この本が、大好きな本になりそう。好きな作家の書評集を読むのはとても楽しいし、読みたい本がまた増えてうれしいしで、すごくお得。川上さんの独特な感覚で表された書評、いいなぁ。どの本も読んでみたい。
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川上弘美さんの「書評」を集めた本だけど、どの文章もいわゆる書評っぽくない。特に前半はまるで川上弘美の小説を読んでいるかのようなふわふわいい気持ちで読んだ。作家であるけど、その前に一読者で、一読者として素晴らしい本に巡り合えて読める喜び、幸せが文章からひしひしと立ち上がってくる。...
川上弘美さんの「書評」を集めた本だけど、どの文章もいわゆる書評っぽくない。特に前半はまるで川上弘美の小説を読んでいるかのようなふわふわいい気持ちで読んだ。作家であるけど、その前に一読者で、一読者として素晴らしい本に巡り合えて読める喜び、幸せが文章からひしひしと立ち上がってくる。 後半は、一読者ではあるものの同じ作家として創作者としての鋭い視線が光る文章だ。既読の作品がいくつかあって、どこがどういいのか、言葉に表せずもどかしく思ったのだが、ここで川上さんによって丁寧にすくい上げられ、鋭い視線と深い洞察力で考察し語りかけてくれる。「なるほど。そうなのか」何度思ったことか。 書評として取り上げられている本すべて―未読のものも既読のものも―読みたくなる。読んでからまたこの本を開いて、川上さんと語り合いたくなる、そんな書評集。厚いけど、するすると読める素敵な書評集でした。
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川上弘美の書くものは何でも好きなのだけれど、特に書評には、はまる。本人があとがきでも書いているように、書評を読んでどんな本であるのかを知りたいと思うのであれば、別な書評子を当てにした方がよいが、川上弘美がどれだけこの本を、というかこの作者のことを気に入ったのかを知りたいのであれば...
川上弘美の書くものは何でも好きなのだけれど、特に書評には、はまる。本人があとがきでも書いているように、書評を読んでどんな本であるのかを知りたいと思うのであれば、別な書評子を当てにした方がよいが、川上弘美がどれだけこの本を、というかこの作者のことを気に入ったのかを知りたいのであれば(そして、その審美眼を羅針盤として頼り、出版物の大海原を旅したいと思うのであれば)、これ以上の読み物はないと思う。 読売の書評の後、朝日の書評を始めた頃、そろそろ誰かが彼女の書評をまとめて出版するだろうとのんきに構えていたが、いやはや随分と掛かりましたね。勿論全ての書評が取り上げられている訳ではなくて、記憶にある、あの書評やこの書評が編まれていないということはある。それは残念でもあるが、ぎりぎり文字を成すことを生業とする川上弘美の職業意識の表れなのかと思い納得もする。 とは言うものの、衝撃モノのマニル・スーリーの「ビシュヌの死」の書評なんて、川上弘美にしか書くことが許されないようなものだった、と自分の記憶はしつこく訴える。破天荒なところ、それも川上弘美の文字の世界のいいところで、まあ、それは敢えて書評の中にまで求めずともいいのではあるけれども。 こうして一冊に編まれた書評を改めて読んでみて思うのは、実は不思議なことに川上弘美が放っているオーラというか影響力の及ぶ空間が、意外に時間と密着しているものなのだな、ということだ。これは彼女の個々の文学作品を読んでいる時に感じる非具体性、没固有名詞性とは、全く逆な印象なので、とても意外。 翻ってみるに、例えば短篇であれば、雑誌に発表されたデザイン性の高い頁に置かれたものを読んでも、単行本の中の白黒の文字列を読んでも不思議と印象が変わらないのに、むしろともに文字の持つ情報を主とするはずの、新聞紙上に発表された書評とこうして集められたものを読んだ時に受ける印象の差が大きい。その差を単なる時代性という言葉で集約することは間違っていると思うけれど、何故かそれ以外の理由が思い浮かばない。 それにしても、朝日新聞社の英断には拍手。よりによって読売紙上に発表された書評も入れてくれちゃうとは!紙面を選ばず、それでいて発表する媒体によって微妙に立ち位置を動かす(と言っても、右足を少し外へ向けたりするくらいのことだけど)川上弘美の書評集を、画竜点睛を欠くことなく読めるのはすばらしいことです。
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私の好きな作家が私の好きな作品を賞賛する幸せ。しかも当然のように私よりその作品の良いところを的確にうまく語るのがさらに嬉しい。その上まだ読んだことないものが大半なのでこれからの読書も楽しみになっちゃった。
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