日本秘教全書 の商品レビュー
時代が大きく揺れた中世に盛んとなった秘教の解説書であり評論である。これも日本の精神文化のベースのひとつとなっていると思う。かなりマニアックだが、かなりおもしろい。 内容は6つの章からなる。陰陽道、星をめぐる秘儀、聖徳太子信仰、天皇の即位灌頂、真言立川流、玄旨帰命壇についてだ。 ...
時代が大きく揺れた中世に盛んとなった秘教の解説書であり評論である。これも日本の精神文化のベースのひとつとなっていると思う。かなりマニアックだが、かなりおもしろい。 内容は6つの章からなる。陰陽道、星をめぐる秘儀、聖徳太子信仰、天皇の即位灌頂、真言立川流、玄旨帰命壇についてだ。 それぞれを語るとキリがないが、それぞれが繋がりあって日本の宗教史あるいは思想史のうえで補完しあう感じだ。 最も関心のあった真言立川流から。1113年に伊豆に流された醍醐寺の僧仁寛から受法した立川の陰陽師が作ったもので鎌倉時代に爆発的に広まった。男女の性によって得られる即身成仏を至極とし髑髏本尊により荼枳尼を勧請する荼枳尼天法を秘法とした。荼枳尼はインドでは人の心臓を食べる夜叉ダーキニーだが、日本では白狐に跨る天女のような姿をしており、大日如来の説法を受けて善なる神に転じたと言われる。全国の稲荷神社が祀る神でしょ。が、髑髏信仰と男女の和合を取り上げた点で邪教でありオカルトである。 この後に天台宗から玄旨帰命壇がという秘教が現れる。人が臨終する時にその人を往生させるために現れて血肉を食らう摩多羅神を祀る。人間がどこから生まれどこへ還るのかという秘密の知識を伝授するそうだ。その答えは人は星(北斗七星)の精より生まれ命尽きれば星(北斗七星)に還るということ。まさに人は死んだらお空のお星さまになっちゃうんだよって子供に言うのはここから来てるようだ。 修験道や道教や諸々の思想から陰陽道が整えられ、聖徳太子が信仰対象として作られ、仏教と陰陽道、神道などが混交した天皇家の即位灌頂があり、中世には密教が陰陽道や他宗教と再結合して真言立川流や玄旨帰命壇が生まれ、近世に弾劾を受けるが、それがまたその後の秘教やオカルトに受け継がれていく。 まさに中世の思想史概論のような本である。お腹いっぱいです。ごちそうさまでした。
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