天皇と東大(上) の商品レビュー
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大学というのは所詮は多くの人々がそこで人生のある時間帯を共有し合いながら相互に刺激し合い衝突しあいつつ互いに切磋琢磨していく回り舞台のごとき場でしかない 会社を倒産させた経営者には、経営学を語る資格は無い。それと同じように、バブル経済に浮かれて、日本の国家経営を破綻させた大蔵官僚たちは、虚学しか学ばなかった連中と言って良いのである なんでも金さえ出せば買えると思い、成果だけを買ってきて、それをどうやって生み出したかを学ぼうとしないのだ。自ら種子をまくことや、若木を育てる努力を惜しむから、いつまでたっても自分で新しいものを作り出せないのである。昨今の日本が陥っている苦境も、その根っこにあるのは、これなのだ 113Pまで
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歴史は繰り返すと言う。昨今問題となった菅内閣による学術会議メンバーの任命拒否問題も、同様のことは明治38年に東大・戸水教授の休職処分に端を発した「戸水事件」とほぼ同様の展開になっていて、たいへんに興味深い。歴史を学ぶことの大きな意義は、こういうことにあるのだと思う。 日本の近・現...
歴史は繰り返すと言う。昨今問題となった菅内閣による学術会議メンバーの任命拒否問題も、同様のことは明治38年に東大・戸水教授の休職処分に端を発した「戸水事件」とほぼ同様の展開になっていて、たいへんに興味深い。歴史を学ぶことの大きな意義は、こういうことにあるのだと思う。 日本の近・現代史は、自分でその気になって学ばないと、その詳細を知る機会がほとんどない。この大冊に書かれている内容については、恥ずかしながら委細を知らないことばかりであった。下巻も楽しみである。
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日本の近代において、大学教授・大学生が果たした役割を丁寧に叙述した書。本書の大半は、大学の自治の歴史的過程を論じたものと考えられるが、個々の登場人物(加藤弘之や山川健次郎など)の行動や発言、経歴や裏話などを丹念に追うことで、無味乾燥な歴史書とは一線を画するものとなっている。確かに、叙述を煩雑と感じたり、くどく思うかもしれないが、逆に、芳醇な内容ともいえる。立花氏らしい労作であり、個人的には好きな本である。大学を日本史選択で受験したなら、十分読みこなせると思うので、是非チャレンジしてほしい。2005年刊行。
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(メモ) 大学の成立 官僚養成所としての大学⇔ 学問の独立の問題(帝大総長は文部大臣指名) 学生の右派・左派団体など
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東大の歴史をたどりながら、昭和の初め、五・一五事件や二・二六事件に学生たちの果たした役割に重点が移っていく。 第二次世界大戦に突き進んでいく時代を各種資料を引用しながら、描いていく。結局、右翼も左翼も、当時の腐敗した政党政治を変えたいと考えており、革命の必要性を感じていたという点では同じである。
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東大発足から終戦までの東大における思想傾向とそれを弾圧する政府当局とのやりとりを中心に書かれた立花隆の力作。非常に歯ごたえがあった。 発足当初の自由尊重の気風から、天皇中心とする国体重視の思想へと移り変わる様、そして進歩的思想を弾圧していく流れが理解できた。ある思想を何らの深い分...
東大発足から終戦までの東大における思想傾向とそれを弾圧する政府当局とのやりとりを中心に書かれた立花隆の力作。非常に歯ごたえがあった。 発足当初の自由尊重の気風から、天皇中心とする国体重視の思想へと移り変わる様、そして進歩的思想を弾圧していく流れが理解できた。ある思想を何らの深い分析をなくして悪と決めつけこれを弾圧するという風潮が、昔も今も何ら変わりがない。昔も今も為政者の無能さは変わらないと感じ、何とも言えぬ気持ちとなる。 エッセンスは以下のとおり。 本書は、日本の近現代史と東大を通じて読み解く。特に東大と右翼について、天皇と右翼について読み解いている。 帷幄上奏での裁可はあくまで軍の意志の決定にすぎず、国家意志の決定ではない。これを政府が認めるかどうかは政府独自の判断だ。これが軍縮条約時の美濃部達吉教授の統帥権干犯問題に対する答えだ。 美濃部が時節を主張し続けたのに対し、東大総理加藤弘之は、同じく天皇機関説を唱えていたが、これを翻した。 日本人には、明治の時代から、暗記主義、点数至上主義、官に頼り、独立心がない気風がある。 明治天皇も国学を重視していた。洋学中心の東大カリキュラムに不満を示されていた。 歴史を科学的に読み解こうという考えも、皇室への不敬との理由で批判された。 明治の始め頃から現在日本人の気風がある。 東大7博士、日露戦争開戦、満州占領、人口対策としての侵略論を唱えていた。この結果、主の戸水寛人教授は免官。 大学と政府との学問の自由を巡る抗争について、大学が勝ったときもある。柳沢京大早朝による7教授首事件では大学側が人事権を勝ち取っている。 戦前における学説は、天皇は統治権を司り、法律等の制約を受けず、とするものであり、機関説は少数派であった。その後美濃部機関説が主流となる。 岸信介、北一輝の魅力を大いに語る。 東大新人会、共産勢力として大いに活動するが、3.15事件を気に自然消滅する。 今も昔も口だけで行動しない活動家が多い。 左翼活動に触発され、右翼も活動活発となる。 右翼思想は、北の中央集権的なものと、権藤の強度中心的なもの有り。 5.15事件はこく人に義挙と受け止められ、2.26事件への流れを作った。
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人間像として立花隆はあまり好きになれないし著作も巷の評価ほど優れていないと思っているが、本書は分厚いだけに読み応えがあり内容としても明治期から戦前における東大の変革を軸として巻き起こった論争やクーデター事件の実像を浮き彫りとして素直に目を見張る内容だった。 特に東大の成り立ちと...
人間像として立花隆はあまり好きになれないし著作も巷の評価ほど優れていないと思っているが、本書は分厚いだけに読み応えがあり内容としても明治期から戦前における東大の変革を軸として巻き起こった論争やクーデター事件の実像を浮き彫りとして素直に目を見張る内容だった。 特に東大の成り立ちと変革、さらにクーデターやテロ事件の実像などかなり深い部分まで掘り下げているにも関わらず読みやすい文体だったのは評価できる。
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当時の日本には戦争に反対していた知識層がいたはずなのに、彼らはどうしていたのかという長い間の疑問がやっと解けた。 「自由」がなければ真の学問はできない。 大学の自治がいかに大事か考えさせられた。
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上下巻。東大を起点とした明治〜昭和の「天皇制」観をめぐる相克の通史。膨大な資料を渉猟して、後世の我々が考えるより遥かに国民全体国粋的だったと結論づける。弾圧左派組復活の影で、現西欧主流の社会党右派が埋没してったことを戦後の特徴として指摘。世界は断絶と継続の二重織りで至る所でつなが...
上下巻。東大を起点とした明治〜昭和の「天皇制」観をめぐる相克の通史。膨大な資料を渉猟して、後世の我々が考えるより遥かに国民全体国粋的だったと結論づける。弾圧左派組復活の影で、現西欧主流の社会党右派が埋没してったことを戦後の特徴として指摘。世界は断絶と継続の二重織りで至る所でつながっており、そしてその歴史が全て現代の構成要素となっている。そういう二重織りの上に現代を置き直して繰り返し眺め直すという作業の必要性を提言する。
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これはようするに日本現代史の本です。前半は東大が政府と癒着した大学であることが主に書かれていて(その関係で成立した早慶についても触れている)、大学の歴史っぽいんだけど、途中から左右両陣営を踏まえた日本史になっている(もちろん、その重要人物が東大にいるから、そこが切り口になっている...
これはようするに日本現代史の本です。前半は東大が政府と癒着した大学であることが主に書かれていて(その関係で成立した早慶についても触れている)、大学の歴史っぽいんだけど、途中から左右両陣営を踏まえた日本史になっている(もちろん、その重要人物が東大にいるから、そこが切り口になっているんだけど)。でも、世界史と地理の選択だったので、5・15事件や神兵隊事件あたりは実は結構すごいクーデタ(未遂)だったということを知ってびっくりです。面白いです。ただ、日本史を真面目にやってないからよく分からん部分もあるけど。でも長くね、これ?上巻だけだけど、なんていうか資料をふんだんに使ったって感じがして、もっとまとめられるんじゃないか、と思った。けど、ま、これ連載だから仕方ないけどさ。これ、まとめ直して新書とかにしてもっと広く読ませたほうがいいとか思ってしまった。文春は単行本にこだわるところがあると思うんだけど、今の時代を見ると、もっと新書で出したら売れるのに、みたいな新刊タイトルが多い気がする。それがこの会社のプライドなのかもしれないが、相対的にプライドをすぐ捨てられる新潮のほうが実際成功してるからなあ。
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