ローマ人の物語(31) の商品レビュー
五賢帝の時代が終わった後のローマは、急激に衰退する。その責任は、それぞれの皇帝の愚策や私利私欲ではないか、というのが一般的な解説だが、塩野さんは、五賢帝時代に種が蒔かれていて、それが露呈したのが次の時代だと指摘。五賢帝の4人目である慈悲深い皇帝と言われたアントニウス・ピウス、哲人...
五賢帝の時代が終わった後のローマは、急激に衰退する。その責任は、それぞれの皇帝の愚策や私利私欲ではないか、というのが一般的な解説だが、塩野さんは、五賢帝時代に種が蒔かれていて、それが露呈したのが次の時代だと指摘。五賢帝の4人目である慈悲深い皇帝と言われたアントニウス・ピウス、哲人皇帝と言われたマルクス・アウレリウスの治世を振り返る。
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終わりの始まり、というタイトルがしっくりくるドヨンとした読後。何だかもの悲しさが漂う。ローマの未来は完全に暗雲の中。 カラカラ帝。カラカラ浴場でしか知らなかったが、この先を読むことがしんどくなりそうな始まりの終わりだった。 改めて、カエサル、アウグストゥスの凄さを実感する。 塩野...
終わりの始まり、というタイトルがしっくりくるドヨンとした読後。何だかもの悲しさが漂う。ローマの未来は完全に暗雲の中。 カラカラ帝。カラカラ浴場でしか知らなかったが、この先を読むことがしんどくなりそうな始まりの終わりだった。 改めて、カエサル、アウグストゥスの凄さを実感する。 塩野さんの文章や構成は満点なのだが、ローマのことを考えると評価は3つという結果。
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統治に興味がないのに帝位に居座って、無為無策の限りを尽くしたコモデゥスが暗殺され、次に帝位についたのがペルティナクス。 彼は、年齢が高かったこともあり、次の皇帝までの中継ぎと自覚していた。 その上でコモデゥスの治世中に乱れた世の中を立て直すために、各方面に活躍をした…のだが、彼を一番に推してくれた近衛軍団の長官・レトーに対して美味しいポストを用意するのを後回しにしたため、たった3ヶ月で彼の手の者に暗殺される。 レトーが次に白羽の矢を立てたのはディディウス・ユリアヌス。 しかし、彼がなるくらいなら、と、待ったをかけたのが3人で、ディディウス・ユリアヌスを暗殺した後、ローマ帝国は内乱の時代に入る。 最終的に年齢的に若くてやる気に燃えていたセプティミウス・セヴェルスが皇帝となったのだが、ローマらしいローマ皇帝を目指す彼の政策が、後々ローマ帝国の衰亡を加速させることになった…らしい。 つくづく思うのが、当たり前のようにローマ帝国の礎を築いたカエサルとアウグストゥスはすごかったな、ということ。 自分の行動にどういう意味があるか、人はこうされるとどう動くのか、組織とは、経済とは、国防とは、内政とは…。 特に練りに練ったようにも見えなかったけれど、実はものすごくしっかりとした基礎だった。 というのも彼らは、皇帝という存在が自分のためにあるとは思っていなかったから。 権力を持つ者こそが自己を抑えなければならないことを熟知していたから。 ペルティナクスはそれができたかもしれない。 自分を中継ぎと認識していた彼ならば。 けれど、飴と鞭ではないけれど、ある程度「推してよかった」と思わせることは必要だったんだなあ。 その後に乱立した皇帝候補たちは、多分ペルティナクスの覚悟を持っていなかった。 皇帝として何をなすべきか、ではなく、自分のために何をしようか、が強かったのではないか。 自分から皇帝に手を挙げるということは、そういうことなのではないか。 歴史に「もし」はないけれど、ペルティナクスが統治していたら、ローマ帝国はもう少し長く続いたのかもしれない。
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軍人皇帝セベェルスの巻。 ニゲル、アルビヌスというライバルとの対決を制して皇帝になるが、内乱は国を細らせる。敵対した者にも厳しい対応をして人材も不足していく。そしてセベェルスが大事にしてきた家族も、皇帝の息子たちとして我を強くだしてきて悍ましい兄弟喧嘩に。 カラカラはどこまで増上...
軍人皇帝セベェルスの巻。 ニゲル、アルビヌスというライバルとの対決を制して皇帝になるが、内乱は国を細らせる。敵対した者にも厳しい対応をして人材も不足していく。そしてセベェルスが大事にしてきた家族も、皇帝の息子たちとして我を強くだしてきて悍ましい兄弟喧嘩に。 カラカラはどこまで増上慢になっていくのか。
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このシリーズの長さが奇しくも物語るのかもですが、長すぎるってのはやはりダメなんですかね。作家もこの巻、何かノリが悪い感じもする。 しかし終始権力者のお話、こういうお話が好きな一定層には堪らんのですかねぇ。
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皇帝コモドゥスの暗殺後、首謀者であるレトーはペルティナクスを皇帝に推挙する。皇帝に就任したペルティナクスは、しかし、レトーの処遇を誤り、殺害される。 その後、ディディウス・ユリアヌスがレトーにより皇帝に推挙されるが、セプティミウス・セルヴィスも皇帝に名乗りをあげる。その他、アルビヌス、ニゲルの2名も同時に皇帝に名乗りを挙げ、ローマは内乱の様相を呈する。 彼らはそれぞれ帝国の防衛を担う各方面の軍団長だったが、セルヴィスがアルビヌスと同盟し、ローマを急襲。元老院に認められていたユリアヌスを撃破。その後、ニゲルを東方にて撃破し、同盟相手のアルビヌスをも撃破。セルヴィスが皇帝位を獲得する。 セルヴィスは、軍の待遇改善を実施するが、これが軍の権力を高めることになる。また、パルティアを攻め、パルティアの深くまでに攻め込み、パルティアを弱体化する。 治世の最後半には、ブリタニアの攻略に取り組むが、病に倒れ、前線で死去する。 皇帝位は、息子のカラカラに引き継がれるが、ローマの衰退は加速していく。
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終わりの始まりの終わり。 先帝が暗殺された原因がその治世の失敗にあるとすれば、その後を継いだペルティナクスが半年も経たず暗殺されてしまったのも、先帝のせいと言えるだろうか。 例え暗殺であったとしても、世が悪かったのか、皇帝が悪かったのか、相手が悪かったのか、その原因を絞ることは難...
終わりの始まりの終わり。 先帝が暗殺された原因がその治世の失敗にあるとすれば、その後を継いだペルティナクスが半年も経たず暗殺されてしまったのも、先帝のせいと言えるだろうか。 例え暗殺であったとしても、世が悪かったのか、皇帝が悪かったのか、相手が悪かったのか、その原因を絞ることは難しい。 ただ一つ言えることは、その後世の中はさらに乱れる、ということだ。 カエサル暗殺後のアウグストゥス、ネロ暗殺後のウェスパシアヌス、ドミティアヌス暗殺後のネルウィ。 暗殺後の内乱は常に賢帝によって体制を改善できてきたが、セプティミウス・セヴェルスの改革はそうならなかった。 軍隊の待遇向上による軍事政権化も、軍事緩衝地帯であったパルティアの攻略も、暗雲を残す結果となる。 もちろんこれは後世からの評価であり、その後が上手く続きさえすれば、問題はなかったかもしれない。 だが、血縁による跡継ぎが多くの混迷の原因となったのは疑いようがない。 息子のカラカラが皇帝を継いだ後にまず成したのは、弟の殺害であった。 賢帝がいなくなったローマは何を失い続けるのか。滅びの日は近い。
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賢帝マルクスの子コモドゥスが暗殺されてローマは帝位をめぐって内乱となる。 名乗りを上げるのは皆軍団を仕切る猛者。コモドゥスのような悪帝でも一応はこれらの猛者を抑えていたのだから、皇帝の権威は相当なものだったと想像できる。 内乱を制したセプティミウス・セヴェルスからは完全にローマの...
賢帝マルクスの子コモドゥスが暗殺されてローマは帝位をめぐって内乱となる。 名乗りを上げるのは皆軍団を仕切る猛者。コモドゥスのような悪帝でも一応はこれらの猛者を抑えていたのだから、皇帝の権威は相当なものだったと想像できる。 内乱を制したセプティミウス・セヴェルスからは完全にローマの舵取りが狂っていくのか。悲しい現実だ。
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皇帝コモドウスが暗殺された紀元192年から197年までの間にローマでは、皇帝の椅子を巡って争いが繰り広げられました。5人の人物が登場しますが、その全員がマルクス・アウレリウス時代に国の防衛の一端を担っていた人たちでした。内乱後に勝ち残ったのはセプティミウス・セヴェルス、軍人であっ...
皇帝コモドウスが暗殺された紀元192年から197年までの間にローマでは、皇帝の椅子を巡って争いが繰り広げられました。5人の人物が登場しますが、その全員がマルクス・アウレリウス時代に国の防衛の一端を担っていた人たちでした。内乱後に勝ち残ったのはセプティミウス・セヴェルス、軍人であった彼は、軍事力の強化を図り、軍団一人一人の待遇改善を強化しました。この政策は、善意から発していて間違ってはいないものの、結果はノーでした。軍団生活が居心地良くなり過ぎ、軍事関係者の孤立化を招いたのが理由です。カエサルの時代から250年続いたミリタリーからシビリアンへのスムーズな移行が破られたのです。 このことを筆者は、…人類の歴史は悪意とも言える冷徹さで実行した場合の成功例と、善意あふれる動機ではじめられたことの失敗例でおおかた埋まっていると言ってよいのかもしれない。…と書いています。やはり政治は大局的な見地から判断しないと、いずれ傾いた方向に進んでしまうということなのでしょうか。選挙が近くなると耳触りの良い政策ばかりを強調しがちな何処かの国は、この先大丈夫なのか…とも思います。 その後、彼は不必要なパルティア戦役を行い、軍団優遇策で財政危機に陥っていた国力を更に悪化させたのでした。そして、セヴェルスが紀元211年64歳で亡くなった後の一年後、帝位第一継承者だった息子のカラカラは弟ゲタを殺害したのでした。
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TV NHKスペシャル 異端の王 〜悠久の古代文明紀行〜 で、北アフリカ出身の ルキウス・セプティミウス・セヴェルス を知った。 2012年2月18日(土) 再放送があり、もっと知りたいと思ってこの本を読みました。 塩野 七生には、夢中になっていたとはいえ、 「ローマ人の物語」...
TV NHKスペシャル 異端の王 〜悠久の古代文明紀行〜 で、北アフリカ出身の ルキウス・セプティミウス・セヴェルス を知った。 2012年2月18日(土) 再放送があり、もっと知りたいと思ってこの本を読みました。 塩野 七生には、夢中になっていたとはいえ、 「ローマ人の物語」シリーズは、最初のほうは読んだものの、ここまでたどり着いていなかった。 今回 31 ローマの「終わりの始まり」を読みます。 三日天下のような皇帝交代劇の後、皇帝となったセヴェルス。 在位は193年〜211年。在位18年、64歳で寒いブリタニア遠征中に病死する。 賢帝マルクス・アウレリウスの後継を任じ、混乱していたローマ帝国を立て直してきた。 だが、彼の初めた「軍事政権化」と、息子たちの確執、もはやローマは衰退へと向うのみ。 ローマ帝国皇帝という最高の権力の座に着きながらの最後の言葉は、ドラマの結末としては寂しい。 『・・・充分に勤め上げたという自信はならばある。だが、いまになってみると、そのすべてが無駄であったようだ』 著者の言葉は印象的であり、無力感もただよう。 ・・・いや、もしかしたら人類の歴史は、悪意ともいえる冷徹さで実行した場合の成功例と、善意あふれる動機ではじめられたことの失敗例で、おおかた埋まっているといってもよいのかもしれない。 ・・・。 歴史に親しめば親しむほどメランコリーになるのも、人間性の現実から眼をそむけないかぎりはやむをえないと思ったりもする。 ところで、セヴェルスが遠征したブリタニア。 ちょうどローマ軍が撤退する頃の話を、今読んでいる。 ⇒ ともしびをかかげて 2012/2/23 予約 3/3 借りる。3/4? 読み始める。4/18 読み終わる。 内容 : 失政を重ねたコモドゥスは暗殺され、ローマは帝位を巡って5人の武将が争う内乱に突入した。 いずれもマルクス・アウレリウスの時代に取り立てられた彼らのうち、 勝ち残ったのは北アフリカ出身のセプティミウス・セヴェルス。 帝位に登った彼は、軍を優遇することで安全保障体制の建て直しを図る。 だがそれは、社会と軍との乖離を促すものでもあった。 衰亡の歯車は少しずつその回転を早めていく。 著者 : 1937年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。 「ルネサンスの女たち」でデビュー、70年以降イタリア在住。 著書に「海の都の物語」「わが友マキアヴェッリ」など。
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