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迷惑な進化 の商品レビュー

4.4

54件のお客様レビュー

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2019/02/28

 祖父がアルツハイマーになった。著者が15歳の時だ。祖父が元気な頃、「体調がよくなる」と言って好んで献血をしていた。その理由を学校の先生や、かかりつけの医師に尋ねてみたがわからなかった。15歳の少年は医学図書館へ足繁く通い、遂にヘモクロマトーシスという珍しい遺伝性の病気を発見する...

 祖父がアルツハイマーになった。著者が15歳の時だ。祖父が元気な頃、「体調がよくなる」と言って好んで献血をしていた。その理由を学校の先生や、かかりつけの医師に尋ねてみたがわからなかった。15歳の少年は医学図書館へ足繁く通い、遂にヘモクロマトーシスという珍しい遺伝性の病気を発見する。体内に鉄が蓄積される病気だった。少年は直感的に、ヘモクロマトーシスがアルツハイマーと関連していると推測した。だが、子供の話に耳を傾ける大人はいなかった。後年、シャロン・モアレムはこれを証明し、博士号をとった――こんな美しいエピソードからこの本は始まる。専門書にも関わらずこれほど読みやすいのは、スピーチライター(ジョナサン・プリンス )の力もさることながら、最初の志を失わない研究態度に由来しているのだろう。 https://sessendo.blogspot.com/2008/05/blog-post.html

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2009/10/04

なぜ病気の遺伝子が受け継がれているのだろう? 糖尿病になりやすい遺伝子は氷河期をのりきるため、鎌形赤血球の遺伝子はマラリアに対抗するため?

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2009/10/04

面白いの一言に尽きる。結構高度な人類の遺伝子進化や変異の話をしているにも関わらず、駆け抜けるように読み切ることが出来ます。これも新鋭の学者:シャロン・モアレムと、筆耕のプロ:ジョナサン・プリンスのおかげでしょうな。さすが大統領のスピーチも監修するだけはあるぜジョナサン氏(笑)。「...

面白いの一言に尽きる。結構高度な人類の遺伝子進化や変異の話をしているにも関わらず、駆け抜けるように読み切ることが出来ます。これも新鋭の学者:シャロン・モアレムと、筆耕のプロ:ジョナサン・プリンスのおかげでしょうな。さすが大統領のスピーチも監修するだけはあるぜジョナサン氏(笑)。「私、文系」?そんなの関係ねえ☆

Posted byブクログ

2011/08/07

病気はなぜ、あるのか。生存にとって不利なものであれば、とっくに淘汰されているはずなのに、病気の遺伝子を持つ人は絶えない。なんでもかんでも目的論的に解釈することが正しいとは思わないが、病気の遺伝子によって有利なこともあるということを一章一トピックで解説している。表紙の軽い感じや題名...

病気はなぜ、あるのか。生存にとって不利なものであれば、とっくに淘汰されているはずなのに、病気の遺伝子を持つ人は絶えない。なんでもかんでも目的論的に解釈することが正しいとは思わないが、病気の遺伝子によって有利なこともあるということを一章一トピックで解説している。表紙の軽い感じや題名で損をしているが、内容は明確で参考文献もしっかりしている。案は医学者が、文章はスピーチライターをしていた人によるもので、読みやすい。■四十年後にかならず死ぬと決まっている薬を飲むとしたら、その理由は?明日死ぬのを止めてくれるからだ。・ヘモクロマトーシスにより鉄分が過剰になるが、マクロファージの鉄分は逆に減っている。そのため、免疫反応として菌などを取り込んだ時の殺菌力が強い。鉄欠乏性の貧血にも同様のことが言える。貧しい国の人々に鉄を与え、貧血を改善しようとするとかえって感染症が増える。ペストに対する反応としてヘモクロマトーシスの遺伝子が生き残ったのか?・DMは寒冷地に多い。寒いと尿が出るが、これは血糖値を上昇させるため?蛙の中には凍り始めると多量の水分を出し、血糖値を高めるものがいる。このおかげで体液の凝固点が下がり、凍った時の結晶も組織を傷つけにくい(とがってない)ものになる。DMの遺伝子は、過去の氷河期を生き延びるための反応の名残?寒冷地に住む人には、抹消の毛細血管が閉じ始めると、これを一時的に開いて暖かい血液を循環させる「ルイス波」とか「猟師反応」という防御機能を持った人が多い。熱帯地方の人にはない反応で、このため朝鮮戦争の時に黒人兵士の多くが凍傷にかかった。・紫外線BはコレステロールをVitDに変えてくれる(そのため、冬場はコレステロール値が高くでやすい)。逆に、葉酸を破壊する。そのため、適度な紫外線を取り込めるよう、日光の量と肌の色には相関があり、肌の白さ=70-年間紫外線量/10という関係がある。色の黒い人や高緯度の住人は、日光を十分に取り込めないため、ApoE4を持っている人が多く、この遺伝子によりコレステロールが増加している。・カプサイシンは粘膜からなかなかはがれない。水では中和されないので、牛乳や脂肪分のあるものがよい。鳥類はカプサイシンの影響を受けないが、これは唐辛子の種子を鳥類の消化器が壊さない(げっ歯類は壊すが、カプサイシンを嫌う)ため、食べてもらって遠くまで運ばせようという戦略なのかも・ウイルスの中には、感染した蟻を夜な夜な草の上でぼんやりさせ、宿主である羊に食べさせようとするものや、ギョウチュウのように肛門をかゆくさせて宿主の手にくっついて広がっていこうとするものなどそれぞれの戦略を持ったものが多い。直接接触を要するものや近づく必要があるもの(風邪やSTD)は毒性が弱い。媒介動物によるもの(マラリア、チフスなど)は毒性が強い(人が死んでも困らない)。食品や水を介するもの(コレラなど)は下痢を起こして水中に移行しようとする。・トランスポゾンは断続平衡を遺伝子のレベルで後押ししている?・妊娠初期の妊婦がジャンクフード中心の生活をすると子供が肥満する。これは環境や栄養の影響ばかりではなく、エピジェネティックな影響もある。ジャンクフードには胚の発生に必要な栄養分がほとんどなく、こういう食事を母親がしていると食糧事情が悪い状況に対処しようとして、節約型の発生がなされる

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