会津藩 什の掟 の商品レビュー

中元寺智信【著】

2011/08/17

江戸時代、幕府守護の急先鋒として働いた会津藩。本書はその教育制度を紹介しながら、とくにシンプルな掟を持つ、未就学年少児の遊びのグループ、什（じゅう）において適用されていた7カ条の教えについて解説している。

この「什の掟」は、あくまでも自治組織としての子どもたちの集団のなかでの規範を示したものであり、決して親がこれに基づいて子どもに強要するものではない。そこに、「掟」の拘束力の強さがあり、また規律に厳しい会津の風土が養われていったゆえんがあるように思う。

そうした意味で、各項目の後に設けられている「チェックポイント」は、やや本書の趣旨に反しているようにも思えた。「什の掟」を、その時代の背景とともに紹介し、最後に著者が現代の教育につなげた議論を残すだけで、とても素晴らしい本になったと思う。

とは言え、そういった部分を読み飛ばしても価値はきわめて高い本である。読みやすさもとても良い。5つ星である。