ピリオド の商品レビュー
フリーカメラマンとして仕事をしている葉子。流産、離婚を経験し、今は妻がいる杉浦と時々会う生活。そんな葉子の変わり映えのしない生活に、ちょっとした変化が。兄嫁から甥の面倒を見てもらえないかと頼まれたのだ。東京の大学を志望しているらしく、予備校に通いたいから下宿させてほしいという。...
フリーカメラマンとして仕事をしている葉子。流産、離婚を経験し、今は妻がいる杉浦と時々会う生活。そんな葉子の変わり映えのしない生活に、ちょっとした変化が。兄嫁から甥の面倒を見てもらえないかと頼まれたのだ。東京の大学を志望しているらしく、予備校に通いたいから下宿させてほしいという。 不倫相手の杉浦の妻が殺されるという事件が起こるため、刑事が出て来ての犯人探しも少しあるが、大部分は甥や姪との触れあいや、兄の病死、家の相続などで移り変わる葉子の心情を主としたストーリーであり、殺人事件の方はいまいちスッキリしない。甥と姪は自分の母親よりも次第に葉子の方に心を開き懐いてしまい、元は自分の友達だった兄嫁と対立する形になってしまう。これがまた、お互い思っていることを口に出さずに心の中で罵りあっていたり、突然感情を爆発させたりで最後まで後味が悪い。レイプされた経験があり心に傷を持ち、思春期で母親の不倫を疑って反抗する姪。母親の前では決して地を出さない甥。2人のことを思っての行動だとはいえ、やはり叔母としてはだいぶ出しゃばりすぎだろうという感じが否めない。これでは完全に母親の立場が無いし、親子関係修復は難しいだろう。あと、昔住んでいた家を手放す前に浸りたい気持ちはわかるが、いかんせん長すぎ。
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女性視点からの心理描写が鋭く、時には温かく、時には厳しく周囲を観察している主人公・葉子の心境が伝わってくる1冊。 同級生であり義理の姉にあたる女性に対する観察眼などは、かなりリアル。 しかし彼女自身に出来過ぎな程のシチュエーションが重なっていて、やや周辺で人が死にすぎているよう...
女性視点からの心理描写が鋭く、時には温かく、時には厳しく周囲を観察している主人公・葉子の心境が伝わってくる1冊。 同級生であり義理の姉にあたる女性に対する観察眼などは、かなりリアル。 しかし彼女自身に出来過ぎな程のシチュエーションが重なっていて、やや周辺で人が死にすぎているように感じる為、せっかくのリアリティが薄れてしまっている。 後半になると、情景描写の間に同じような言い回しの心理描写が差し込まれていて、中だるみ感が否めない。 登場人物は個性があり、特に主人公のマンションにやってくる甥や姪が好印象。個人的には、主人公が姪と一緒に暮らすようになってからの物語を読んでみたい。
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う~ん・・・って感じ。 こういう気持ちの人がいるだろうなとは思うけれど、 なんとなくどこにも共感がなかった。 せめて、お兄さんがどうしてあんな性格になったのかっていう片鱗でもあればよかったけど。 実際の人間では「知る由もない」んだろうけれど、小説だと求めてしまうから消化不良って感...
う~ん・・・って感じ。 こういう気持ちの人がいるだろうなとは思うけれど、 なんとなくどこにも共感がなかった。 せめて、お兄さんがどうしてあんな性格になったのかっていう片鱗でもあればよかったけど。 実際の人間では「知る由もない」んだろうけれど、小説だと求めてしまうから消化不良って感じがした。 不倫相手の妻の殺人事件もあんな感じに使うなら、別に殺人じゃなくてもって思ってしまう。
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私と同世代の女性・葉子が主人公で、離婚して一人暮らしのカメラマンだ。東京の葉子は自宅のマンションに、長野で暮らす兄の子供たち(それぞれ大学受験、高校受験を控えている甥と姪)を一人ずつ短期間預かり同居することになった。 身勝手でずっと不仲の兄は40代なのに癌となり余命幾ばくもない。...
私と同世代の女性・葉子が主人公で、離婚して一人暮らしのカメラマンだ。東京の葉子は自宅のマンションに、長野で暮らす兄の子供たち(それぞれ大学受験、高校受験を控えている甥と姪)を一人ずつ短期間預かり同居することになった。 身勝手でずっと不仲の兄は40代なのに癌となり余命幾ばくもない。兄嫁・志乃は葉子の元同級生。難しい年頃の甥っ子たち、それから不倫相手の仕事先の編集長などとの人間関係やそれぞれの悩みなどを緻密に描いている。一人で仕事しながら生きる葉子と、いつも誰かに寄りかかって生きて来た専業主婦の志乃の姿が対照的。志乃をかなり嫌ったらしく描いてるのが乃南アサらしい。 兄が死の床に着くことで既に両親を亡くしている葉子は、維持出来ないということで実家を処分することになるのだけど、主を亡くし廃屋となっていた家のシーンがすごくリアルだった。私の両親や実家のことなどを思うと他人事には思えなかった。 女性としての生き方、老いや死のことなど、重いけれどアラフォー世代の女性には考えさせられる内容だった。
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◆あらすじ◆ どこかに帰りたいと思う気分、帰りたいと望む心を描いてみたかった。 多くの人の人生には、とりたてて何が起こるというわけではないと思う。 それでも、かけがえのない時は流れ、人は自分の人生にいくつかのピリオドを打ちながら進んでいく。 進むしかないからこそ、振り返りたくなる...
◆あらすじ◆ どこかに帰りたいと思う気分、帰りたいと望む心を描いてみたかった。 多くの人の人生には、とりたてて何が起こるというわけではないと思う。 それでも、かけがえのない時は流れ、人は自分の人生にいくつかのピリオドを打ちながら進んでいく。 進むしかないからこそ、振り返りたくなるのだと思う。 ちょうど雪原をさまよいながら、時折、振り返って自分の足跡を眺めるように。
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乃南アサ=ミステリーという印象なのですが、これはミステリーではない、かな。主人公は一人暮らしの女性カメラマン、バツイチ、子供なし。兄が末期がんに侵されその家族が崩壊していく。実家や兄家族とかかわりたくないのに関わらざるを得なくなっていき、捨てたはずのふるさとと向き合うことになる。...
乃南アサ=ミステリーという印象なのですが、これはミステリーではない、かな。主人公は一人暮らしの女性カメラマン、バツイチ、子供なし。兄が末期がんに侵されその家族が崩壊していく。実家や兄家族とかかわりたくないのに関わらざるを得なくなっていき、捨てたはずのふるさとと向き合うことになる。一応人は死ぬし警察の捜査とかもあるんだけど、これはやはりミステリーというよりは、30代女性を主人公にしたとてもリアルな物語で、個人的に非常に共感しつつ恐ろしくもありました。乃南アサの本音なのかよくわからないけど、子供がいるとかいないとか結婚してるとかしてないとか、そういう女性をとりまくいろんな現実をビシバシと書いていて、結構読み応えありました。
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中年カメラマンとその周りの人の話 夢を追うってどういうことだろう? 仕事的にダブる所がありそうでいやだ。 一応、最後は明るくなってるけど。 結婚のくだり、出産のくだりとかはダブりたくない。
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人は人生の中で多くのピリオドを打ちます。ピリオドを打たねばならない人間を取り巻く情景と心理描写のリンクがスゴイです。
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