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通訳者と戦後日米外交 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2021/03/07
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※このレビューにはネタバレを含みます

同時通訳パイオニア ・西山千「アポロの同時通訳」 ・相馬雪香 尾崎行雄の次女、原不二子は長女 ・村松増美「ミスター同時通訳」、サイマル設立 ・國弘正雄「同時通訳の神様」、参議院議員、サイマル設立 ・小松達也 サイマル設立

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2014/12/29

[黒衣、前へ]異なる言語間のコミュニケーションでは欠かせない役割を果たしながらも、通常はまるで見えない存在として言語を訳していく通訳者。「黒衣」、「透明」という形容が用いられる人々のオーラル・ヒストリー(注:(定義は多様ですが)歴史を関係者からの口頭記述によって記録すること)を通...

[黒衣、前へ]異なる言語間のコミュニケーションでは欠かせない役割を果たしながらも、通常はまるで見えない存在として言語を訳していく通訳者。「黒衣」、「透明」という形容が用いられる人々のオーラル・ヒストリー(注:(定義は多様ですが)歴史を関係者からの口頭記述によって記録すること)を通して、顧みられることのなかった通訳者、そして通訳者から見た歴史を紡いだ一冊です。著者は、自らも通訳者として活躍された経験をお持ちの鳥飼玖美子。 著者が2006年に提出した博士論文が基になっていることもあり、通訳についての理論的知識や情報がない方(私もそうだったんですが...)には難しく思える部分もあります。他方で、オーラル・ヒストリーの取材対象となった五名の話がとにかく面白い。戦前から戦後間もない頃という、英語学習にとっては難しい時期に、好奇心と情熱で英語に向き合った記録は感動的ですらあります。特に國弘正雄氏が捕虜に対して初めて英語を使用した瞬間の記述には、背筋に震えが走りました。 「通訳者の役割は何か?」というある種、この職業にとっての根源的なところに鳥飼氏は潜っていくのですが、その回答が五名それぞれ少しずつ異なり、しかもその異なり方が個性やそのときの状況、対話者との関係など、多様な影響から構成されているところが興味深かったです。また、通訳の歴史や特に欧米で盛んな理論教育などについての情報も盛り込まれており、通訳者を志す方にとっては、その言語が何語だとしても読んで損はさせない作品ではないかと思います。 〜通訳者は、「透明な機械」ではなく、異文化接触を橋渡しするコミュニケーションの専門家である。「黒衣」としての役割を果たす中で、共感と情熱、そして強い意志と洞察に支えられ、自身の判断で自立的に創造性に富む決定を下している。その意味で通訳者は、透明性や匿名性を超えた存在だといえる。〜 本当に先人の方々には頭が下がるばかりです☆5つ 本作が今年最後のレビューとなりました。また、諸事情により、来月中旬までレビューをお休みさせていただきます。どうぞ良いお年を。

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2012/10/15

もともと著者のイギリスでの博士論文なので、 内容はとてもしっかりとしている。 同時に西山千、相馬雪香、村松増美、國弘正雄、小松達也の五人の通訳者のオーラルヒストリーをもとに研究、考察されているので、 読み物としてもとても面白い。 戦後日本以降の日米外交をになってきた通訳者たちの、...

もともと著者のイギリスでの博士論文なので、 内容はとてもしっかりとしている。 同時に西山千、相馬雪香、村松増美、國弘正雄、小松達也の五人の通訳者のオーラルヒストリーをもとに研究、考察されているので、 読み物としてもとても面白い。 戦後日本以降の日米外交をになってきた通訳者たちの、 通訳者になるまでの道と、その後の経験、そして自らの通訳哲学などが 口語体で記されていて、それはもう読んでいてわくわくすること請け合い。 言語はちがえど「通訳」をかじっていて、実際の現場を垣間みたので、 自分のどこがいけなかったのかとか、やっぱりあの時の私は正しかったんだ、というのが語学能力以外のところで見えてきた。 それでどうなるという今の私でもないのだけれど。 5人の通訳という仕事に対しての思い。 通訳者の立場などについての考え方が、それぞれに詳しく考察されていて、 面白い話を聞いた後にしっかりまとめてくれていて、読んでいる時間がとても楽しい時間だった。 あと5年、早くこの本を開いていたら、ともおもうけれど、 歴史と人生に「もしも」はない。 通訳とは関係なくても今後に新たにつなげていきたい。

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2010/05/09

 通訳という存在は古代エジプトにまで遡るといわれる。ところが、「翻訳」という仕事が歴史に刻印されてきているのに対し、「通訳」についての歴史は空白に等しい。それは「話し言葉は消えてしまう」からであり、多くの場合、通訳を担った者たちが社会的に高く遇されていなかったからだろうと著者は言...

 通訳という存在は古代エジプトにまで遡るといわれる。ところが、「翻訳」という仕事が歴史に刻印されてきているのに対し、「通訳」についての歴史は空白に等しい。それは「話し言葉は消えてしまう」からであり、多くの場合、通訳を担った者たちが社会的に高く遇されていなかったからだろうと著者は言う。  本書は、同時通訳の第一人者であり英語教育の最前線で活躍してきた著者が、英国の大学に提出した博士論文を編み直したもの。長い通訳の歴史の中でも、とりわけ第二次世界大戦後、日本が国際社会に返り咲いていく時期の外交舞台で活躍した同時通訳のパイオニアたち――西山千、相馬雪香、村松増美、國弘正雄、小松達也――へのロングインタビューを核に構成している。  職業としての同時通訳が確立したのは意外と新しく、第二次世界大戦後の一九五〇年代、六〇年代である。外交における通訳のエピソードは、高度な守秘義務もあって多くが公開されない。本書では、一九八三年に国内外で大問題になった中曽根首相の「不沈空母」発言の真相なども、通訳者の証言として明かされている。書題のとおり、通訳者による戦後日米外交のオーラルヒストリー(聞き書き)としても高い価値を放つものだ。  通訳者の社会・文化的意義に踏み込んだ初めての書籍という。国際問題なかんずく日米外交史のユニークな資料としてだけでなく、現役の通訳、通訳を志している者、通訳・翻訳の研究者にも大いに供するところのある貴重な「通訳論」に仕上がっている。

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2009/10/04

戦後、日本を代表する同時通訳者、西山千相馬雪香、村松増美、国広正雄、小松達也のオーラルヒストリー。ひとりひとりの話が面白いのなんのって。膝ポン!ポン! 特に国広正雄の先見性には脱帽。

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2009/10/04

通訳とは何か、を文化史ともいうべきレベルで多数の同時通訳者へのインタビューを交えて考察し、まとめているという。著者の鳥飼玖美子さんは、若くして同時通訳者として注目された方。現在は、立教大学教授で、異文化コミュニケーション論を教えているそうだ。力の入った良書であるように思える。

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