闇が落ちる前に、もう一度 の商品レビュー
何冊か読んだ山本弘氏の作品の中では、よりダークで恐怖感をテーマに描かれている世界、という印象を受けた短編集。 人の心とは何か、という深いテーマを、AIによってアプローチする氏のいくつかの作品でも見られた手法。 これは興味深い上に、まだまだ探っていくと面白い予感がするのだけれど、...
何冊か読んだ山本弘氏の作品の中では、よりダークで恐怖感をテーマに描かれている世界、という印象を受けた短編集。 人の心とは何か、という深いテーマを、AIによってアプローチする氏のいくつかの作品でも見られた手法。 これは興味深い上に、まだまだ探っていくと面白い予感がするのだけれど、惜しむらくは山本氏が病魔により今後新作を期待できない状況にあることだ。 SF界にとって大いなる損失であり、いちファンにとってもとてもとても残念。 回復を祈る。
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代表作『アイの物語』で心温まる短編を惜しげもなく披露してくれた作者だけに同傾向の話が多いのかなと思って読んでみたが、引き出しの多さに驚かされた。「屋上にいるもの」は完全にホラー小説の類だけど、怖さにステータス全振りしていない所が良い意味で作者の味だと思う。 「夜の顔」や「審判の...
代表作『アイの物語』で心温まる短編を惜しげもなく披露してくれた作者だけに同傾向の話が多いのかなと思って読んでみたが、引き出しの多さに驚かされた。「屋上にいるもの」は完全にホラー小説の類だけど、怖さにステータス全振りしていない所が良い意味で作者の味だと思う。 「夜の顔」や「審判の日」みたいに、普段通り過ごしていたはずの日常が異世界へと姿を変えてしまう描写は、ディックの作品を連想させる。
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29:宇宙の本当の姿を追い求めて独自の理論を打ち立てた主人公だが、その理論は宇宙論の先達にあっさりと誤りを指摘され、理論が間違っていると証明する実験を行うことに。しかしどうしてか、実験によって主人公の理論が正しいことが証明されてしまう。 表題作のほか4つの短編が収録されています。...
29:宇宙の本当の姿を追い求めて独自の理論を打ち立てた主人公だが、その理論は宇宙論の先達にあっさりと誤りを指摘され、理論が間違っていると証明する実験を行うことに。しかしどうしてか、実験によって主人公の理論が正しいことが証明されてしまう。 表題作のほか4つの短編が収録されています。共通するのは、現実世界の物理法則を超えたメタ的な存在を感じさせることでしょうか。そのせいか、どちらかといえば暗めの話が多いのですが、表題作はとても面白かったです。
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ホラーがかったSFの思考実験が中心の話5つ。もしも世界が8日前に始まったものだったら、AIが殺人のために、別の人格を持った人物を想像したとしたら…等。 思考実験的なAIの話は、わかるんだけど他の作品よりも怖くもないし意外性も少なく、何でこれだけSFマガジンに収録で、あとのは単行...
ホラーがかったSFの思考実験が中心の話5つ。もしも世界が8日前に始まったものだったら、AIが殺人のために、別の人格を持った人物を想像したとしたら…等。 思考実験的なAIの話は、わかるんだけど他の作品よりも怖くもないし意外性も少なく、何でこれだけSFマガジンに収録で、あとのは単行本のための書き下ろしなのかなあ?という印象。 小松左京「こちらニッポン」みたいな「審判の日」と「屋上にいるもの」は非常にシンプルなホラーでありSFなので、万人向けに読みやすいのだが、他の作品はちょっとメタな世界観を理解できない人には辛いかもしれない。 買う場合は、電子書籍もおすすめします。ちょうどいいボリュームなので。
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SF短編集。しかしもともとホラー文庫で出すために書かれたそうで、そういう風味で読みやすい。しかし科学で原理や未来について考える必要がある問題は、哲学に近くなるね。高度な人工知能は心を持つと言えるのか、とか。
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「神は沈黙せず」と同じように「アイの物語」の為に読んだ本。短編集です。 やっぱり山本氏好きだ! これでやっと「アイの物語」を読む準備ができた。
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短編集。多少想像し過ぎて混乱するのも有りましたが全体的に好きです。 多分1番ベタで途中でオチも分かるけど『屋上にいるもの』が1番好き。『審判の日』は大阪に住む自分でも少し東日本大震災を思い出してしまったので被災地の人が読むと辛いかも知れません。 『世にも奇妙な物語』が好きな人にオ...
短編集。多少想像し過ぎて混乱するのも有りましたが全体的に好きです。 多分1番ベタで途中でオチも分かるけど『屋上にいるもの』が1番好き。『審判の日』は大阪に住む自分でも少し東日本大震災を思い出してしまったので被災地の人が読むと辛いかも知れません。 『世にも奇妙な物語』が好きな人にオススメかも。
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表題作「闇が落ちる前に、もう一度」を含めた5編で構成された短編集。 ジャンルはSF・ホラー。 擬似的な体を与えられたことで心・意識を獲得し、アイドルとして活動しているAIの少女と、AIには心などないと考えるタレントの男性、二人の問答で展開される1編「時分割の地獄」が特にお気に入り...
表題作「闇が落ちる前に、もう一度」を含めた5編で構成された短編集。 ジャンルはSF・ホラー。 擬似的な体を与えられたことで心・意識を獲得し、アイドルとして活動しているAIの少女と、AIには心などないと考えるタレントの男性、二人の問答で展開される1編「時分割の地獄」が特にお気に入り。 自分の認識している世界の姿は本当に正しいのかを考えさせられる異質な世界のあり方を描いた表題作や、誰もが一度は妄想するような世界の終わりに翻弄される少年少女を描いた「審判の日」など粒ぞろいで楽しめた。 ホラー色の強い残り2編も独特の雰囲気のある話だった。
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山本弘って読んでないなー。と学会に敬意を表して読んでみよっかなあ、と思って買ったけど、何か読んだことあるような気がする。 最後まで読んでも結局読んだことあるのかないのか思い出せなかった。 センス・オブ・ワンダーを追求している作品群なのにワンダーが足りん。
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「闇が落ちる前に」☆4 ストーリー: 宇宙物理学を学ぶ学生を主人公に、「極大エントロピー宇宙モデル」の証明実験が導き出した恐るべき世界の真実が明らかに・・・ 感想: 読んでいて「小林泰三」を髣髴とさせる専門用語、そして未知なる分野へのロマンを感じずにはいられない内容でした。科学で...
「闇が落ちる前に」☆4 ストーリー: 宇宙物理学を学ぶ学生を主人公に、「極大エントロピー宇宙モデル」の証明実験が導き出した恐るべき世界の真実が明らかに・・・ 感想: 読んでいて「小林泰三」を髣髴とさせる専門用語、そして未知なる分野へのロマンを感じずにはいられない内容でした。科学でありながらホラーのような寒気を含んだストーリーが非常に良かったです。 「屋上にいるもの」☆3.5 ストーリー: マンションの最上階に住む男性が、ある雨の夜に、屋上からまるで太鼓をたたくような音を聞く。いったい屋上には何がいるというのか・・・ 感想: 冒頭から露骨なぐらいホラーの雰囲気を醸し出しているのに中々進まない話にやきもきしましたが、これは「闇が落ちる前にもう一度」とはホラー×不思議な感じが黒「乙一」のような感触でした。 「時分割の地獄」☆3 ストーリー: バーチャル・アイドルのゆうなと、AIに心があることを認めない男との対話を通して、心とは何かを問う。 感想: 男とゆうなの答弁が非常にうまく、哲学的な面白さが目立つ作品でした。最後の「良心」は非常にうまく出来ているなぁと感心してしまいました。 「夜の顔」☆2 ストーリー: 会社員の青年が婚約者の実家に挨拶に行った帰り道、夜の街で、路地の奥から彼を見つめている中年男の顔を目撃する。青年は、世界そのものへの懐疑心、作り物ではないかといった恐怖を募らせていき・・・ 感想: なんというか・・・中途半端に哲学的要素を加えたホラー?といった感じで、うまく組み合わせたというよりは中途半端でどっちつかずな感じ。文章、表現、語り口調といった面はさすが「山本弘」と言えるからこそちょっと勿体無さを感じる作品でした。 「審判の日」☆3.5 ストーリー: ある日突然、ほんの一握りの人間を残し、この世界から全ての生物が消えてしまった。その世界に直面した姫田亜矢子と蓮見悟は困惑しつつも生き抜く術を考えていくが・・・ 感想: 実際良くあるストーリーかもしれない、でも結末へのもってきかたでいくらでも色を変えられるストーリーなのかもしれない。こういったストーリーの作品は、特に「自分だったらどうするだろう」とか感情移入してしまい、色々考えさせられた作品でした。
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