不祥事 の商品レビュー

池井戸潤【著】

2010/01/28

初の池井戸潤の本。一言おもしろいです。どんどん惹込まれるストーリー展開は見事。遊びもある。登場人物の狂崎舞ちゃんは怖いもの知らずだけど、人情に厚い仕事が出来る女ですぐ好きになりました。

2009/12/30

いや〜スカッっとしますね。
狂い咲きの花咲舞さん。

独特の慣習と歪んだ企業倫理に支配されたメガバンクを「浄化」すべく、
舞さんは今日も悪辣な支店長を、自己保身しか考えぬダメ行員を、叱り飛ばす！　張り飛ばす！　痛快！

2009/10/04

メガバンクに勤め、正しいと信じた道は決して譲らず、いつも周囲からは煙たがられるが、誰もが実力を認める凄腕テラー花咲舞。通称「狂い咲き」の舞。元･凄腕営業マンにして現･さえない中年オヤジである相馬健と共に事務部臨店指導員となった彼女は、事務処理に問題が頻発する支店に派遣されては事務指導を行う。しかし、そこには銀行の悪しき慣例や出世主義の壁が待ち構えていた−−。

「臨店指導」というしがらみのない立場で銀行支店を渡り歩き、閉鎖環境の中で誰にも言い出せずに悩んでいたテラーたちを助け、揺ぎ無い実力と正論で嫌な上役を一括。時にはそこに潜む犯罪行為を暴いてゆく。要するに『水戸黄門』とか『ごくせん』とかに近い構造を持つ痛快バンカー物語です。身近なようでよく知らない銀行という特殊世界の日常を描いているって時点で既に興味深く読めるのですが、その銀行のお堅さを最終的に正論にて突破し、嫌な上司をやりこめる「狂い咲き」の姿が物語にカタルシスを与えます。かなり面白くて、その「狂い咲き」の本領を発揮する痛快シーンだけでも、何度も読み返してしまいました。これはぜひシリーズ化して欲しいところです。

ただ、よーわからんのはこの表紙。『ごくせん』が広い層に受けて高視聴率を記録したように、同じ構造を持つこの『不祥事』も広い層に楽しめるだろうし、嫌な上司に辟易してるＯＬさんとかにこそ痛快なストーリーなのに、ハードカバー版の表紙がコレで文庫版がコレ。なにこの陰鬱なイラストになんとも重々しい「不祥事」の文字は！　全然痛快じゃない！　そもそも『不祥事』ってタイトルもどうかと思うし。なんかこの表紙で本来の読者層に届かずにすげー損してる気がする。部数２万は減らしてる気がする。編集者としては絶対避けたい例だなぁ。

2011/08/06

表紙と題名は暗い感じだけど、中身は痛快でとても面白い。池井戸作品も銀行小説も初めてだったが、かなりハマった。横山秀夫氏の警察小説ほどまではドロドロ・複雑な組織の絡み合いはないものの、企業内の派閥や銀行員、取引先を含めての人間性など、読み手に喜怒哀楽をいろいろ感じさせてくれる。ミステリーとして読むと謎自体は浅いので物足りないかもしれないが、基本的に女子行員・花咲舞による勧善懲悪物語だということで読めば、実際にこんなカッコいいことできる女子行員がいないとは分かっていつつも、とても気持ちいい読後感を得られる。続編をぜひ書いてほしい作品。

2009/10/07

ミステリーと言うより、完全に銀行小説なんだけど、これは面白かった！
銀行の内情を知らなくても、純粋に楽しめる作品。
似たような作品に「女子大生会計士の事件簿」と言うのがあるけど、あれより、文体もしっかりしているし、全然こっちの方がイケる。
連作短編集だし、ミステリーに飽きた時とかにオススメ！

2009/10/04

はい、池井戸潤はまりました。
著者は元銀行マンで、これも主人公固定で銀行ネタの短編。

横山秀夫の銀行版ってかんじ
逆に言うと
横山秀夫は池井戸潤の警察版です。

2009/10/04

いやぁ、実に痛快な気分にさせてくれる一冊です。
主人公は事務部臨店の女子行員。主な仕事内容は事務レベルの低下している支店へ出向いて指導すること...のはずですが、そこで様々な出来事に出会い、銀行組織の論理に真っ向から正論で挑む狂咲こと花咲舞。銀行の毎日の業務を知っておられる作者だから書けるこの作品は、華やかなだけではない世界を垣間見ることが出来ます。

2009/10/04

サラリーマン小説の「勧善懲悪モノ」という感じの小説だ。

企業というものは、年月を重ねていくうちに内部だけで通じる「常識」が根付いてしまうようだ。

しかしそれは普通に考えると「異常」とも思われる「非常識」であることが多い。

だが多くの場合、それをわかっていても従業員は朱に交わり、見て見ぬフリをしてしまう。

もしもそれがコンプライアンス（法令順守）違反につながるものだったとしても・・。

８つの短編それぞれには、銀行の抱える問題が山積している。

それを「正論」でバッサリと解決していく主人公：花咲舞の痛快な行動には、胸がスーッとする。

やはり仕事というのは、「性善説」でやりたいものだ。

文庫の表紙は、上司（？）と思われる男性の机の前でガーッと話をしている女性の姿・・。

ぜひ映像化していただきたいものだ。

2009/10/04

事務処理に問題のある支店を改善指導をして回る女子行員「花咲」を主人公に据えた短編連作集。行内の出世争い・派閥の問題・事務処理の不手際から生じた様々な問題を解決に導くストーリー。やや気弱な上司の相馬と暴走し始めたら止まらない正義感に溢れた花咲のコンビが小気味よい。ドラマ化されないかなぁ…面白そうだけど。