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民主主義という不思議な仕組み の商品レビュー

3.6

31件のお客様レビュー

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2024/07/07

とても良かった。語り口は柔らかいが、世界史と民主主義の基本を踏まえていた方が楽しめるので、高校生向け。シティズンシップ教育の本にも書いてあったが、現状の(中学までの)公民教育は現行のルールをそのまま教え覚えさせるものが多いが、なぜそうなっているのか、メリットや課題はなんなのか、な...

とても良かった。語り口は柔らかいが、世界史と民主主義の基本を踏まえていた方が楽しめるので、高校生向け。シティズンシップ教育の本にも書いてあったが、現状の(中学までの)公民教育は現行のルールをそのまま教え覚えさせるものが多いが、なぜそうなっているのか、メリットや課題はなんなのか、など本質を考えさせ理解を導くことにつながっていない(高校の「公共」に期待します)。 本質を理解し自分で考えられるようになるため、ぜひ多くの子どもたちに読んでほしいが、まず入口の基礎知識をしっかり持っていないと最後まで読み通すことが難しいかもしれない。大人が寄り添い補足しながら読むのも一案。

Posted byブクログ

2022/12/30

あらゆるものの価値が揺らぎ、不安に満ちた先行きの見えない時代に、基本をおさらいしたくて読んでいる。 この本で新書の整理は終わった。でも、本棚を機能させるにはもうちょっとかなり本を減らさないと。 新書の整理だけでも年内に終わらせた私は偉い。

Posted byブクログ

2022/08/12

民主主義は古代においてはあまりよくない政治の一つとされていた。それが近代になって自由民主主義が生まれ、最善の政治スタイルであるとされたが、過度な自由競争によって貧富の差が拡大してしまい、ポスト自由民主主義という形でソ連を始めとする社会主義が台頭した。しかし、その社会主義も20世紀...

民主主義は古代においてはあまりよくない政治の一つとされていた。それが近代になって自由民主主義が生まれ、最善の政治スタイルであるとされたが、過度な自由競争によって貧富の差が拡大してしまい、ポスト自由民主主義という形でソ連を始めとする社会主義が台頭した。しかし、その社会主義も20世紀の終わり頃にはソ連の崩壊と共に瓦解する形となってしまい、結局自由民主主義が一番マシな政治スタイルとして定着し、今に至る。一見してみると自由民主主義は最善の政治スタイルと思われがちだが、結局国民間の経済格差の問題、間接民主主義における民意の反映がしっかりとなされているか、世論がマスコミによって操作されてしまうなどなど、20世紀に挙げられた自由民主主義の課題が今も残っているように思う。(その課題を解決するのが政治システムが社会主義であったのだが) この本では、自由民主主義の課題の部分にフォーカスを当てている。個人的に良いなと感じたところは第5章のソローの話と、第6章のこれからの政治の課題。

Posted byブクログ

2022/05/04

民主主義は本当にいい政治の仕組みなのか? という疑問を抱かせてくれる。 もちろん、国民ひとりひとりの自由意志を反映させるにはいい仕組みなのだろうけれど、自由意思って厄介だなぁとも思った。 そもそもその自由すら実は頑張って守らなきゃいけないのに、私たちはのほほんと過ごしている。 ...

民主主義は本当にいい政治の仕組みなのか? という疑問を抱かせてくれる。 もちろん、国民ひとりひとりの自由意志を反映させるにはいい仕組みなのだろうけれど、自由意思って厄介だなぁとも思った。 そもそもその自由すら実は頑張って守らなきゃいけないのに、私たちはのほほんと過ごしている。 このままではやばいのでは?と読みながら安穏としていた日常を危ぶむ気持ちになった。 そもそも、政治家の良し悪しを決められる賢い国民は全国で何パーセント?というのは誰もが抱く疑問だと思う。 この本ではもっと踏み込んでそうした国民が不在になることで独裁的になっていくかもしれないことであったり、投票率の低下が民主主義そのものの意味を揺るがせていたり、さまざまな視点から問題点を浮き彫りにする。 内容が抽象的だし、これまでごちゃごちゃになっていた言葉…たとえば代表と代理とか…についても実は定義が違っていることを知れる。 言葉を慎重に使っている本だと思うので、さらっとは読めない。 これまで近代化についての評論を読んできたお陰でこの言葉はあえてこうしてるんだなぁと気づくこともあった。 本書に出てくる「みなし」というのは、選挙等によって、国民や選挙者の意向を反映しているとみなすということで、実はなかなか厄介な問題だと理解できた。 独裁的な政治は危険だけれど、考えることを放棄してしまったり、選挙権を行使しなかったり、そんなことが続けば自然と賢い人たちが考えない大衆を操ってしまうわけで、制度があるからといってそこに安住することの危険性も理解できた。 といっても、現在の投票率の低さ、政治への関心の低さなどを鑑みても、民主主義が機能しているとは言いがたく、ますます一部のエリート層が、貧困層を搾取している状況は進んでいるように思う。 コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻によるさまざまな影響など、社会不安も増しているため、考える力を持つ人と、考える余裕のない人もしくは思考停止に安住する人での格差は開く一方。 それでも、こうした本をきっかけに学ぼうとするひとを増やしていきたいと思った。 ちくまプリマー新書なので、中高生も念頭に置かれた本であるはずですが、なかなかに難しい。 政治の仕組み、国民意識、グローバリズムのあり方と、めちゃくちゃ複雑なので仕方ないとはいえ、よく読まないと理解できない箇所も多かった。 まだよくわかっていない点もある。 言葉が凝縮しすぎていて、むむ?と思ったけど流さなきゃ進めないところもあったので、理解度は4割あるかないか。 でも、だからこそ熟考したい事柄のヒントを得られる本でもあった。

Posted byブクログ

2020/04/18

民主主義という思想が内在的に抱える困難とそれに対するこれまでの議論と工夫の数々を、順序立ててわかりやすく説明している。1ー3章が特に勉強になった。4ー6章はやや急ぎ足で雑駁な印象。

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2019/08/19

改めて考えてみれば、民主主義ってシステムにはいろいろと問題が有る。 良くも悪くも世論が権力を補強したり、手続きが面倒だったり、結果として独裁者を生んでしまったり。 などなど問題を含みながらも、現代において今のところ、民主主義以上のものが見つからない。要するに道半ば。未だ試行錯...

改めて考えてみれば、民主主義ってシステムにはいろいろと問題が有る。 良くも悪くも世論が権力を補強したり、手続きが面倒だったり、結果として独裁者を生んでしまったり。 などなど問題を含みながらも、現代において今のところ、民主主義以上のものが見つからない。要するに道半ば。未だ試行錯誤中ということ。

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2018/08/31

ペルシャ戦争におけるペルシャとギリシャの自由の違い。 王政では、官僚の仕組みを整備すればよい。エジプトで官僚制が発達した理由。 ギリシャの自由も奴隷が存在した=基本的人権に基づく自由ではない。 スパルタの寡頭政とアテネの民主政の争い。マケドニアに負けた。 アリストテレスの6つの政...

ペルシャ戦争におけるペルシャとギリシャの自由の違い。 王政では、官僚の仕組みを整備すればよい。エジプトで官僚制が発達した理由。 ギリシャの自由も奴隷が存在した=基本的人権に基づく自由ではない。 スパルタの寡頭政とアテネの民主政の争い。マケドニアに負けた。 アリストテレスの6つの政治体制。王政と独裁、貴族政と寡頭政、国制と民主政。 ピューリタン革命で基本的人権の発想が生まれた。 アメリカの政治的実験=代表制に伴う悩みをいち早く経験=多数派の専制にどう対処するか。 議会制と大統領制のふたつのモデル。 二院制の第二院の性格をどうするか。 フランスは二つのモデルを結び付けたもの。 基本的人権に適合するのは民主政治しかない。 日本では参議院のねじれ現象が生じる仕組み。 共産党政権は人民のための独裁者、人民民主主義という言葉を作り出した。 日本の中選挙区制では御用聞き、利益誘導政治が繁茂した。複数の同一党からの立候補ができたため、候補者個人のサービス合戦になった。 民主政治における強い少数者の存在=圧力団体、利益団体、市民団体など。選挙以外のときでも力を発揮できる。 リップマン「世論」人は見てから判断するのではなく、決定してから見る。メディアはそれを助長する。 大衆には二つ以上の敵を示さず、唯一の敵に絞る(ヒトラーの場合はユダヤ人)。 誰が世論を誘導しているか=マスメディアという意見が多い。いま、とここ、に集中して前後を考えない報道。 学問のすすめにみる明治日本の課題=長い間のお上の思想に慣らされて主体的に考えない。現代のお上頼みに通じる。 ソローの税金拒否。おしゃべりだけでなく行動を起こすべき。 ナショナリズムは民主主義と密接な関係がある。フランス革命はナショナリズムの発露。

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2016/01/24

ちくまプリマ―新書であり、待鳥聡史『代議制民主主義』(中公新書)に近いテーマでありながら、高校生程度でも読めるよう平易に書かれている。 『代議制民主主義』は「民主主義」と「自由主義」の両立の重要性を説いたものだったが、本書は主に政治史を辿ることで民主主義について考えていく。 ...

ちくまプリマ―新書であり、待鳥聡史『代議制民主主義』(中公新書)に近いテーマでありながら、高校生程度でも読めるよう平易に書かれている。 『代議制民主主義』は「民主主義」と「自由主義」の両立の重要性を説いたものだったが、本書は主に政治史を辿ることで民主主義について考えていく。 その始まりはやはり古代ギリシアだが、アリストテレス『政治学』を用いて、「民主主義」(本書では「民主制」)は決して最善の政治手法ではないと考えられていたことを紹介している。 実際のところ、古代ギリシア都市国家は滅亡し、民主制は以降、主流ではなかった。 その後、ホッブズ、ロック、ルソーにより「法の支配」「社会契約」といった考え方が生まれ、イギリスの清教徒革命、フランス革命、アメリカ独立戦争などの形で民主主義国家が生まれる。 とりわけ、アメリカはヨーロッパ人からすれば新大陸の植民地であったがゆえに「中世」という社会を経験していなかったことが、自由と民主主義が浸透した大きな要因だったとしている。 以降の民主主義の内容や構造的問題についてはほぼ『代議制民主主義』でも説明されているが、最後の「これからの政治の課題とは」という章では、2007年刊行という点を踏まえると特筆すべき点が多い。 まず、著者は「国民不在の政治家・官僚による調和」の問題について批判しながらも、あくまで官僚を「専門家」「行政機関」として活用しなければならないとしている点だ。 これは後に、民主党政権が「政治主導」として「脱官僚」を掲げながらも失敗したことで、その正しさを結果的に示していたと言えるかもしれない。 また、今後の課題として宗教とナショナリズムの問題を取り上げている。 本書が刊行されたのは、既にイラク戦争が起こった後とはいえ、2007年時点でこの問題が、日本・中国・韓国や、中東問題、さらにヨーロッパ・アメリカの移民・難民問題などの形で、ここまで深刻になると考えていた人は多くないだろう。

Posted byブクログ

2015/04/20

若い人のための政治入門・・・と帯にあるので、オッサンである私などが読んではいけないのかもしれないけど、民主主義についてもう一度勉強したくて読んでみました。決して内容は簡単ではないと思います。ある程度、世の中の仕組みが分かった大人が読む本のように思います。著者も出版社も主に中高生対...

若い人のための政治入門・・・と帯にあるので、オッサンである私などが読んではいけないのかもしれないけど、民主主義についてもう一度勉強したくて読んでみました。決して内容は簡単ではないと思います。ある程度、世の中の仕組みが分かった大人が読む本のように思います。著者も出版社も主に中高生対象と考えているのかもしれませんが。さて、民主主義というのは決していつでもいいものであったわけではありません。リンカーンは「人民の、人民による、人民のための政治」と言ったそうですが、この人民が利口かどうかは分かったものではありません。民主主義として国民の意志を尊重するあまり、世論にばかり動かされる政治では困ったものです。だいたい世論自体がどうやって作り上げられるのか、マスコミの意図が大きく入っていないのか、その世論が本当に正しい道を指し示しているのか、いろいろと問題はあります。また、国民に選ばれた政治家は、代表として国民全体の幸福のために働かなければいけません。それが、長い間、一部の国民からの要望に応えるという形で仕事をしてきました。そのために、たくさんの無駄遣いが行われていたようです。本書では民主主義のルーツであるギリシア時代の民主制からはじまり、現在抱える問題にまで話が進んでいきます。いまでは民主主義が最も良い政治の形態であるように考えられていますが、21世紀の社会でどのようなタイプの民主主義が理想なのでしょう。そのヒントが最後のほうに書かれています。やはり大切なのは教育(自分の頭でしっかり考え判断する能力を身につける)だろうと感じました。

Posted byブクログ

2015/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

民主政の歴史をたどりながら,衆愚政治と独裁政治(全体主義)という民主政の失敗例を挙げ,有権者の成熟(その条件として情報提供と分析を行うマスコミとシンクタンクの充実)が必要であると説く。 内容は極めて常識的で,断定的結論の提示ではなく,問題提起が多い。 自分で考えることをせず,「教祖」を求める人には,つまらない本。 なお,文献の紹介がなく,「入門」した後の路がないのは,とても残念

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