恋人選びの心(1) の商品レビュー
性淘汰にスポットライトをあてた進化心理学の古典の一つ。2000年に原著が書かれた。 性淘汰は自然淘汰と異なる。自然淘汰はランダムで進化の方向性は行き当たりばったりである。一方で性淘汰は、より人為的な品種改良に近いプロセスである。一度性的に装飾形質として好まれるようになると、その...
性淘汰にスポットライトをあてた進化心理学の古典の一つ。2000年に原著が書かれた。 性淘汰は自然淘汰と異なる。自然淘汰はランダムで進化の方向性は行き当たりばったりである。一方で性淘汰は、より人為的な品種改良に近いプロセスである。一度性的に装飾形質として好まれるようになると、その形質は限界に突き当たるまでエスカレートしていく。 筆者は人間の脳、言語、道徳、芸術といった、人間固有と思われるような特質は、自然淘汰ではなく性淘汰によって発生したと考える。というか自然淘汰で発生したと考えるには、あまりにも高コストで役に立たたないからだ。 この問題を最も際立たせるのが、脳の進化した時代背景である。脳は250万年前から10年前までに3倍の大きさになったが、しかしこの期間で明確な脳の用途は見つかっていない。脳が役立つようになったのは10万年よりも最近、サピエンス全史では認知革命と定義される、10万年以降におきた変化からである。しかし自然淘汰は、生存に役立たない形質を進化させることはない。そもそも人間以外に地球上のどの生物もこれほどまでに高コストでエネルギーを消費する巨大な脳を進化させていることはない。現在の知識からみると、これほどまでに有用な脳を進化させることは極めて合理的に思えてしまうが、しかし数百年前の人類にとって、巨大すぎる脳は単なる金食い虫でしかなかった。その状況で自然淘汰が脳を進化させるとは考えられない。そこで筆者が持ち出すのが性淘汰だ。 人間の言語、ユーモア、芸術、その他脳によって生み出される特別な何かは、すべて配偶者へのアピール、性的装飾形質として進化した。これが筆者が一貫して本書で主張する仮説である。 その性淘汰を筆者は3つのプロセスに分解している。 一つはランナウェイ理論、感覚バイアス、そして適応度指標による好みだ。 <ランナウェイ理論>孔雀の尾羽のように、一度それが性的に魅了する性的装飾形質として扱われるようになると、その長さは限界まで際限なく伸びていく。尾羽の長い雄を好む雌は、より尾羽の長い子どもを産み、この形質はより強調されていく。 <感覚バイアス>古くは別の用途があった感覚受容器の好む刺激パターンが、性的にアトラクティブな形質としてみなされるようになる。 <適応度指標>適応度の低いライバルには持つことのできない特質、それが周囲に対する自身の適応度の喧伝になる。適応度の低い、余裕のない個体にはその指標をアピールすることができない(コストが高い)。だから信用に足る指標になる。 これらのうちで、ランナウェイ理論は有用であるものの、基本的には一夫多妻制のもとでなければ進化がおきない。また無目的である。感覚バイアスだけで説明するのは無理がある。筆者が一番重視しているのが適応度指標である。この考えでは、ウィットに富んだ会話、信頼性のおける道徳性、作成に多大な修練とコストがかかる芸術、こういったものは、すべて自身の適応度を周囲にアピールするためのものであり、より優れた配偶者を探すことがこれの進化を促進していった。 ザハヴィによるハンディキャップ理論にも多くを負っている。 最近の進化心理学の本を読むと、本書で提示された仮説のいくつかは自明のものとして扱われ、またいくつかは全く顧みられていない。
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2002年刊。全二巻中の第一。◆雄の孔雀の無駄に見事な羽、また、環境適応に必ずしも必要とは言えない人の言語・芸術の才。これらがいかに進化の過程に乗ったのか?。この疑問に対し、ダーウィンは進化のメカニズムに自然選択の他に別の回答を用意する。それは性選択・配偶者選択仮説。◆本書は、叙述がやや冗長で重複も多いが、この性選択仮説が一旦消滅し後に復活した過程、この内容とこれを基礎づける脳のランナウェイ進化・装飾の適応指標度との関連・感覚のバイアス等を解説。ただ、環境適応度が単線的な指標で序列化できるように読める点。 (人が備える環境適応要因は複数あり、人によりそれらの優劣には多様性があるとの疑問)あるいは、配偶者選択をしているのは雌だけ(特に人)と読める点(雌ほどではないにしても、雄だって配偶者を選んでいる)には疑問もあるが、ともかく、単純なハンディキャップ仮説だけではない分析がいい。また、コンピュータプログラムによるモデル分析以外、数理分析が難しい領域だろうが、その点も可能な限り意識しているのもいい感じかな。
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人は何を基準に恋人を選んでいるのか。人を魅力的に見せる、身体・装飾・言語・美術・スポーツ・道徳性・創造性といった、深く人間性に関わっている特徴は,どうして生まれてきたのか。自然淘汰の理論ではどうにも説明がつかなかったこれらを.恋人選びという視点に拠りつつ,ダーウィンに提唱されなが...
人は何を基準に恋人を選んでいるのか。人を魅力的に見せる、身体・装飾・言語・美術・スポーツ・道徳性・創造性といった、深く人間性に関わっている特徴は,どうして生まれてきたのか。自然淘汰の理論ではどうにも説明がつかなかったこれらを.恋人選びという視点に拠りつつ,ダーウィンに提唱されながらも省みられなかった性淘汰理論で、長年の進化の謎を解き明かす。前半部は良質の性淘汰理論の総説。 ――2009/08/31
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// ------------------------- // 1.セントラルパーク // ------------------------- ・類人猿─彼らはどうやってニューヨーカーに変身したのだろうか? ・心は問題解決にのみ最適化されたわけではない。性淘汰を忘れるな>認知科学...
// ------------------------- // 1.セントラルパーク // ------------------------- ・類人猿─彼らはどうやってニューヨーカーに変身したのだろうか? ・心は問題解決にのみ最適化されたわけではない。性淘汰を忘れるな>認知科学者 ・今まで、進化心理学は性的な好みを進化の原動力ではなく、進化の結果と見なしてきた。が、それは違う。人間の心は月の光のもとで進化した。 ・進化心理学の武器は2つ。生存上の有利さによる自然淘汰と繁殖上の有利さによる性淘汰。但し、広義の自然淘汰は性淘汰を含む。 ・大きな脳を持っている生物は少ない。大きな脳がそんなによいものならば、すべての動物の脳が大きくなっていってもおかしくはないのになぜだろうか? ・人間の脳の巨大化と、心の進化は時間的に相関していない。なぜか? ・ウィットや寛大さ、宗教、文化などは生存上の有利さが説明できない。なぜこれらは進化の過程で発生したのか? // ------------------------- // 2.ダーウィンの非凡さ // ------------------------- ダーウィンは自然淘汰と性淘汰の両方を発見したが、世間からは自然淘汰のみが受け入れられた。ダーウィンは性淘汰を主に研究した。性淘汰の理論はダーウィンから100年近く顧みられることはなかった。 あのフィッシャーは性淘汰の重要性を見抜いていたが、当時それを理解できる人材は物理学に持っていかれており、生物学にはカスしかおらず、フィッシャーもまた理解されるまでに30年の月日(1958年)が必要だった。そして20世紀も終わりにさしかかった頃、ようやく性淘汰は生物学において脚光を浴びる分野となった。 // ------------------------- // 3.脳のランナウェイ進化 // ------------------------- ランナウェイ進化とは、性淘汰による進化が、正のフィードバックループの中でカオティックな振る舞いを見せること。 一見人間の脳の進化を考える上でランナウェイは有効に見えるが、実は人間の脳の進化はランナウェイにしてはゆっくりすぎる。別のプロセスを考えるべき。 また、ランナウェイは性差を大きくする方向に機能するが、人間の雌雄間で脳の質量やIQの差はない。 文化的要因と進化的要因が複雑に絡まっており、結論として何かを言えるだけの十分な証拠はまだない。 筆者は相互的な配偶者選択が、人間の脳の進化をドライブしてきたと考えている。 // ------------------------- 4.恋人にふさわしい心 // ------------------------- 有性生殖は、突然変異によって生じた損害を封じ込めるために出現した。 進化は長期的に見れば勝者が総取りするゲームである。平凡な子どもをたくさん作るよりもうまくいくチャンスの多い子どもを少数作る方が重要。 であるならば、恋人をランダムに選ぶのは愚かなことだ。 人間の心の能力は、性淘汰における適応度指標として進化してきたのかもしれない。(健康な脳理論) 適応度とは何か? // ------------------------- 5.装飾の天才 // ------------------------- // ------------------------- // Ⅱ巻へ続く // ------------------------- 6.更新世の求愛 7.からだに残された証拠 8.誘惑の技法 9.育ちのよさの美徳 10.シラノとシェヘラザード 11.恋人を口説くためのウィット
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ダーウィン以来の性淘汰の歴史から、ランナウェイ淘汰、ヒトの祖がどうやって性的パートナーを選んできたか、みたいな話。動物のことはいいのでヒトのことをもっと書いて欲しかった。
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