クワイエットルームにようこそ の商品レビュー
映画を観る前に読みました。 精神科ファンタジーは数あれど、これは面白かった。 こちらの話も、現実とは全く異なる創作だが、 「生きること」「同年代の女性」の困難さと、故のおかしみがリアルだった。 これは私のことだ、と思った。絶望と再生の14日間。私も再生したい。
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松尾スズキ版「カッコーの巣の上で」とイメージしていただけると分かりやすいかもしれない(本当は別物だけど)。自らの意思とは関係なく、違う環境に落とされても生きていく人間の強さと頼るものが必要な弱さ。 無意味な、無自覚の暴力と、無償の愛の同居する空間で、相対的に他人と比較することによ...
松尾スズキ版「カッコーの巣の上で」とイメージしていただけると分かりやすいかもしれない(本当は別物だけど)。自らの意思とは関係なく、違う環境に落とされても生きていく人間の強さと頼るものが必要な弱さ。 無意味な、無自覚の暴力と、無償の愛の同居する空間で、相対的に他人と比較することによって成り立つ自我。短い小説の中に人間の悲喜こもごもが凝縮され、芥川賞はやっぱり文面だけじゃなくて、内面を見ていることがよくわかる作品だった。 全然文学的じゃないけど、目が離せないストーリーと、目を離せない表現はさすが鬼才松尾氏。終わり方は希望を持たせたて、でも現実の無常の繰り返しによる落差とその曖昧さは、字面だけ追うとあっさりした終わり方だけど、安易に想像に身をゆだねると鳥肌が立つ。 でも一番怖かったのは、主人公がオーバードーズするときに飲んだ薬の8割を自分が飲んでいたことを知った時だった。気をつけよ…
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出だしはなかなかだし小物の使い方もうまい(「ダーメダメダメダメ人間」というフレーズが頭の中を巡るとか)。精神病系の話を軽快に書ききることが出来るだけの技能があることもわかる。だけど通して読んでみると、この小説は一体なんだったのか、と思わざるを得ない。「17歳のカルテ」を超えて、貴...
出だしはなかなかだし小物の使い方もうまい(「ダーメダメダメダメ人間」というフレーズが頭の中を巡るとか)。精神病系の話を軽快に書ききることが出来るだけの技能があることもわかる。だけど通して読んでみると、この小説は一体なんだったのか、と思わざるを得ない。「17歳のカルテ」を超えて、貴方が書こうとしたものは何だったのか?と思ってしまう。タイトルも適当だし。そのへんのスタンスも本谷有希子に通じてるかも…。全体性がない。
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とても男性の文章とは思えない。キッカケは些細な事かも知れないが落ちてみると底が抜けていて足場が見つからない…なんて事は本当に落ちてみないと分からない…誰も気付いてくれないし、自分で信じられない事態って、実はその辺にゴロゴロ落ちているんだよね。 ともかく、立て直そうとする気概のある...
とても男性の文章とは思えない。キッカケは些細な事かも知れないが落ちてみると底が抜けていて足場が見つからない…なんて事は本当に落ちてみないと分からない…誰も気付いてくれないし、自分で信じられない事態って、実はその辺にゴロゴロ落ちているんだよね。 ともかく、立て直そうとする気概のある主人公でホッとする。 何だか不思議な2週間だったかも知れないが、色々と御破算にしてリスタート出来たってことである種の再生物語ですかね。 やっぱり、異彩を放つ作者だね彼…いいね。
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Twitterで垣間見る松尾スズキのイメージからして「経験談かな」と思ってしまった(笑) 酔って記憶が曖昧になった日の翌日とかのじわじわくるゾワゾワした感じとか思い出しながら読んで、少し、共感した。 あっさり終わったけど、飽きずに読める丁度いい長さでした。
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なんとなく手に取った。つまらなくはなかったけど、そんなに読む甲斐もなかったかなぁ…。テンポだけは良い。ちょっと下品すぎる…。読後、映画を見てみようかとは思わなかった。
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ニュースを見ていると怖くなる時がある。 この本のような精神病患者だけでなく、犯罪者もしくはその被害者、 ホームレスなどなど、望んでいなくても何かのはずみで 自分が「あっち」側に行ってしまうんじゃないか...と思う。 そんな事を考えてしまう自分にとって 「正常」と「異常」の境界線の...
ニュースを見ていると怖くなる時がある。 この本のような精神病患者だけでなく、犯罪者もしくはその被害者、 ホームレスなどなど、望んでいなくても何かのはずみで 自分が「あっち」側に行ってしまうんじゃないか...と思う。 そんな事を考えてしまう自分にとって 「正常」と「異常」の境界線の脆さを描いたこの小説はとても共鳴できる。 冒頭のゲロのうがいには面食らったが、読み終わった時は 不思議と何かが吹っ切れたような気分になった。 解説にも書いてあるように、男性が書いたとは思えないくらい 女性視点の描き方が自然。 文中の「くだらなさは何にも勝る治療薬」というのは 松尾スズキの信念なんだろうな。
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まさしく希望に満ちあふれた物語! 読後、むくむくと元気が湧いてきた。 向精神薬の過剰摂取で、精神病院の閉鎖病棟に閉じこめられた「わたし」の2週間。閉鎖病棟での悲惨な日常をおもしろおかしく描いているけれど、実はまじめに人間の矜持を描いた物語だ。 「正常」と「異常」の境界っ...
まさしく希望に満ちあふれた物語! 読後、むくむくと元気が湧いてきた。 向精神薬の過剰摂取で、精神病院の閉鎖病棟に閉じこめられた「わたし」の2週間。閉鎖病棟での悲惨な日常をおもしろおかしく描いているけれど、実はまじめに人間の矜持を描いた物語だ。 「正常」と「異常」の境界って、一体何処なのだろう。 人はすぐ線引きしたがる生き物だ。 「勝ち組」や「負け組」だってそうだ。 きっと揺るぎない自分だけの価値を持たない人々が、メディアに流されているに過ぎないんだろうなあ。 確固としたプライドを持って生きる人間を応援してくれるような、そんな元気の出る物語なのでした。映画ももう一度見直さなくてはいけないな。
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精神病棟って・・。人の精神の良否は簡単には判断できない。判断する人の主観もすごく大きくかかわってくる。自分の心身を守りながらニュートラルにいるには、とてつもなく強い精神力が必要となるな。
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大好きな松尾さんの本。狂気と正気の境目にいる人間の素の描写がすごい。でも、どんなダメダメ人間でも、救いがあるのが松尾作品。最後には、前向いて行こう!ってのがいい。映画のDVDも借りたが、何の事前情報もなく、息子が先に見やがり、思いっきり気持ち悪がっていた。本も読んだらしく「映画と...
大好きな松尾さんの本。狂気と正気の境目にいる人間の素の描写がすごい。でも、どんなダメダメ人間でも、救いがあるのが松尾作品。最後には、前向いて行こう!ってのがいい。映画のDVDも借りたが、何の事前情報もなく、息子が先に見やがり、思いっきり気持ち悪がっていた。本も読んだらしく「映画と一緒だった」との感想。自分の思い描く世界を、活字でも、映像でも表現できるなんて、素敵。でも、ちょっと見るの勇気いるわ(^^;;
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