二宮金次郎はなぜ薪を背負っているのか? の商品レビュー
二宮金次郎をイメージするなら貧しいけれど勉強を怠らず そして将来は偉い人になりましたと・・。そんな感じです。 たしかに金次郎の銅像を見ると薪(たきぎ)を背負いながらも読書に励む金次郎少年がいるし 早くに父親を亡くして働かなければならない状況にいた。 しかしあの銅像は「学ぶついでに...
二宮金次郎をイメージするなら貧しいけれど勉強を怠らず そして将来は偉い人になりましたと・・。そんな感じです。 たしかに金次郎の銅像を見ると薪(たきぎ)を背負いながらも読書に励む金次郎少年がいるし 早くに父親を亡くして働かなければならない状況にいた。 しかしあの銅像は「学ぶついでに収入を得る」と言う少年の合理主義者としての象徴だった。 少年という特権を活かして(大人が勝手に薪を拾っていたら地主に怒られる)利益の高いエネルギーを勉強のついでに売っていた さらに得た収入をただ消費するだけでなく低金利で人に貸すことで資産運用する。その複利は金次郎ファンドとして町の領民を救っていく・・。 その後の「分度」という概念は現在の平成ニッポンにもっとも必要なアイデアなのではないでしょうか? 低成長・人口減少・・当時の江戸後期時代と現在の共通点はあまりにも大きい。 その逆境の時代を真正面から受け止めた林蔵(金次郎)の現代版を待望したいものだし 著者である猪瀬さんは東京都副都知事。金次郎の考案した金融モデルを大いに理解した本人そのものだから 当時の領地を再生させた金次郎の如く東京都さらには日本の再生を期待してしまう。
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勤労、勤勉、そういった徳目の象徴くらいの認識でしかなかった二宮金次郎が実は先進的な金融システムの発案者だったことに驚く。 現代と同じ、人口減少、低成長社会であった江戸の中期に金次郎が行ったことから今に学べることは多いようだ。
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※このレビューにはネタバレを含みます
今の日本と同じような低成長、人口減であった江戸の1時代において二宮金次郎はどのような行動をとったのか。という視点が面白いとおもった。卓越したリーダー力とか抽象的なものではなくて、合理的な金融モデルを構築したというところが面白い。グラミン銀行を思い出した。
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「道路公団民営化」を推進した著者のメッセージは、「これからは、農業民営化だ」。二宮尊徳の功績については、詳細かつ正確である。
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10年位前に小田原市の報徳博物館に行った事が、あるがすごく感動したのを思い出した。副知事になった著者は何をみしてくれるのだろうか(期待している)
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当たり前のように小学校にあった二宮金次郎像。 勤勉の人という先生の説明であったが、金融・経営コンサルだったとは。 これからの人口減社会について、もっと考えさせられたしもっと今の日本は歴史から学ぶべきとも思った。 また、猪瀬氏の抽斗の多さ・・・色々な歴史的事実および例え・・・を出し...
当たり前のように小学校にあった二宮金次郎像。 勤勉の人という先生の説明であったが、金融・経営コンサルだったとは。 これからの人口減社会について、もっと考えさせられたしもっと今の日本は歴史から学ぶべきとも思った。 また、猪瀬氏の抽斗の多さ・・・色々な歴史的事実および例え・・・を出し行ったり来たりしながらも核心を突いてくる文章が非常に興味深く読めた。
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二宮金次郎の偉大さが今ようやく分かった。というか、今までにその実像をここまで分かりやすく示してくれた人はいなかった。 報徳教とか報徳思想というものの存在は知っていたが、どうにも雲をつかむような話でよく分かっていなかった。(何より、戦前・戦中の報徳教育のせいでイメージが悪かった) ...
二宮金次郎の偉大さが今ようやく分かった。というか、今までにその実像をここまで分かりやすく示してくれた人はいなかった。 報徳教とか報徳思想というものの存在は知っていたが、どうにも雲をつかむような話でよく分かっていなかった。(何より、戦前・戦中の報徳教育のせいでイメージが悪かった) しかし、本書では金次郎の「財政再建の実践」を描くことで、非常に鮮明にその本質を浮かび上がらせている。 ・分度=プライマリーバランス ・五常講と冥加金の推譲=マイクロファイナンス、(金利の)再投資、非営利活動(利益の分配を目的としない) ・入り札=チームビルディング、モチベーションの維持 ・積小為大=複利効果、余剰の再投資 などなど、現代でも再発見・再発明されているようなアイディアが目白押しだ。 江戸時代の農民・町民のたくましさ、競争の厳しさに比べると、現代日本のなんとぬるいことか。現代に生まれてよかった(のか?)。 それに対して、幕府や藩などの行政機構の頭の固さ、保身に走る卑しさについては、現代の政治家・官僚とあまり変わり映えしていない点は、苦笑するしかない。 [more] ・「終身雇用は日本の伝統」は間違い。江戸時代の奉公は「年功序列」ではあったが、同時に「能力主義」も徹底されていた。 丁稚・小僧などの「子供」は11〜14歳。そこで一旦郷に戻され、実力のある者だけが呼び戻される。次が手代で生き残れば「初登り(旅費とボーナスが付く里帰り)」。呼び戻されれば幹部候補として色んな部署を経験させられる。その後も「登り」を経て実力が認められれば地位が上がる。徹底した能力主義の競争社会だった。 ・五常を指針とした。「忠、考、悌」を除く「仁義礼智信」。身内ではなく他人同士の関係性を重視したためと思われる。(身内意識は腐敗につながる?) ・積小為大。「大きなことを為したいならば、小さなことを怠らず務めなさい。小人は大きなことを望み小さなことを怠るから、成し遂げられない」 ・コンサルタントの限界。実質的な権限(司法、立法権)を武士が握っていて、重要なポイントを押さえられない。権限移譲のための賭けに出る。成田山に雲隠れ。 ・メディアとしての銅像。偉大な教えも、やがては後継者によってゆがめられ、あるいは都合の良い解釈をされ、矮小化してしまう。単なる道徳の話になったり、精神論だけになったり。 ・豊田佐吉は父の影響を受け、報徳思想に帰依していた。つまり、あのトヨタにも金次郎の教えが関わっている。
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全く新しい(知らなかった)二宮金次郎像を知ることができました。現代との比較など、非常にためになりました。自分の行動にも何か活かしていくヒントを得たいと思います。
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「マムシの猪瀬」 著者を私はそう呼ぶことにした。今から。 マムシに最初に睨まれたのは、コクド・西武グループの総帥堤義明だった。 『ミカドの肖像』を書いたとき、著者は無名のルポライターにすぎなかった。プリンスホテルってどうしてあんなに一等地にばかりにあるんだろうねえ...
「マムシの猪瀬」 著者を私はそう呼ぶことにした。今から。 マムシに最初に睨まれたのは、コクド・西武グループの総帥堤義明だった。 『ミカドの肖像』を書いたとき、著者は無名のルポライターにすぎなかった。プリンスホテルってどうしてあんなに一等地にばかりにあるんだろうねえ。誰もが抱いていたそういう素朴な疑問から出発して、執念とも言うべき地道な取材を通じ、隠れた巨悪を実証的に糾弾した名著であった。その年の大宅壮一ノンフィクション賞を獲った。 20年後、マムシの毒が回り、セイブ堤帝国は崩壊し総帥はいまや刑事被告人となった。 マムシが次に狙ったのは道路公団。 最初は民営化推進委員に「物書き」が一人紛れている程度の受け止められ方だった。委員会のもう一人の民間委員が大宅映子、あの大宅壮一の娘だったのも何かの因縁であろうか。 そして、巨大な「道路の権力」道路公団もまた倒れた。マムシの毒は必ず効くようだ。 そのマムシの猪瀬が、「校庭のニノキンちゃん」について書いた本がコレである。 二宮金次郎は苦学と努力の人だったのは事実だが、たったそれだけの人物ではない。背負った「薪」は苦労の象徴なだけではなく、後に商売や運用で巨利を獲得したものの「原資」でもあったのだ。 それらの過程を著者は、家の家計簿のようなものから、貸付帳面、藩財政の建て直しのための計画書など、金次郎自身が記録した膨大な資料を丹念に丹念に読み込むことで浮き彫りにしている。結果として、一級の経済政策論に仕上がっている。マムシの執念に他ならない。 著者が賞賛する「予想外の困難があっても目的を見失わずに、執念深く地道に努力しつづけた」金次郎の姿勢は、猪瀬が本を書き改革に取り組む時の姿勢そのも。 更には、幼いころの家計の建て直しから出発して、奉公先の建て直しを経て、最後には幕臣として困窮する村々の建て直しを任されることになる金次郎と著者の近頃の活躍ぶりとがオーバーラップしてしまうのは私だけではないはず。 そもそもこの本、仕事で青森の県庁に行った時、県議会資料室の「今月の新着資料」としてガラスケースの中に展示されていた。この出会い方の中に、本書と著者の性格が如実に示されていて面白いと思った。 かつては巨悪に挑む批判派という印象の強かった著者だが、いまや地方議会の先生方も注目し、政策の参考にでもと考えるほどなのだ。 最後は幕臣となった金次郎同様、石原都知事に請われて副知事にまでなってしまった猪瀬直樹。 今私がもっとも注目し尊敬する「マムシ」である。
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昔私が通っていた小学校にも二宮尊徳が薪を担いで本を読んでいる像がありました。 当時は薪を担いで本を読む二宮尊徳は偉い、とだけ聞かされていましたが、猪瀬氏の本ではその理由=経済の視点でみる理由が解き明かされて、なるほどそうなのかという謎解きの本になっているのです。 そして読み進...
昔私が通っていた小学校にも二宮尊徳が薪を担いで本を読んでいる像がありました。 当時は薪を担いで本を読む二宮尊徳は偉い、とだけ聞かされていましたが、猪瀬氏の本ではその理由=経済の視点でみる理由が解き明かされて、なるほどそうなのかという謎解きの本になっているのです。 そして読み進んでいくうちに「○○思想」なるものが成立、現在でもそれは連綿と受け継がれており、誰でも知っている高校野球の名門「○○学園」につながるのだということが自然に理解できるようになるのです。 「そうだったのか」ということがわかる本の1冊だと思います。
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